2014年、今年の100冊
2014年12月30日付 Hurriyet紙


今年の感想は「最悪の年だった」でしょうか、それとも「二度とこんな年はごめんだ」でしょうか。良いも悪くも一年をまた終え、ラディカル出版は2014年の100冊を発表しました。

1-『タンユルドゥズが再び生まれた』 ギュルセル・コラト著、YKY出版

ギュルセル・コラトが歴史小説とは何かという問いに答えるかのような本だ。コラトは再び我々をルームセルジューク朝に、皆が互いを良く知るニーデへと導く。商業的、また政治的支配層に非常に近い立場にあったメヴラーナと現代のある宗教家の心、そして家庭に灯った愛について語る。「語り」の魅力も見過ごしてはならないだろう。

2-『ウェスタン・キャノン』 ハロルド・ブルーム著、イトハキ出版

ハロルド・ブルームのこの名作が英語で出版されると、学術界を始め、アングロサクソン文化圏では宣戦布告として見られた。当時までの著名な何百もの「古典」文学作品を一筆で一掃し、シェイクスピアを中核とする26人の西洋の作家を通じて西洋古典文学を説いた、文学革命ともいえる作品だ。

3-『ある地区の誕生と死:カサプ・イルヤス』 ジェム・ベハル著、YKY出版

2008年に決議が出され進行した区の整理によって、エミノニュ区は完全にファーティフ区に統合された。その結果、「元」カサプ・イルヤス地区が「イェニ(新)・ジェッラフパシャ地区」に吸収された。これはつまり、ファーティフ・スルタン・メフメトの時代に築かれた地区が、公式な決定によって息の根を止められたということだった。ジェム・バハル・スリチを通してひとつの地区の誕生から死に至るまでの一生を描き、その一方で地区の、つまりトルコ人の地区、アナトリアの地区、そして「都市」計画の歴史が語られる。

4-『最後の晩餐』 ジョナサン・グリムウッド(Jonathan Grimwood)著,コレクティフ出版

革命の前には飢餓が来る!『最後の晩餐』の味噌はこの一言に尽きる。数々の賞をとったSF作家ジョナサン・グリムウッドが、フランス革命、ガストロノミーの歴史、革命前のフランスの社会様式と食文化を一挙に綴った、ロマン期のクラシックを超えた小説である。

5-『直立不動の殺人』 イスマイル・サイマズ著、イレティシム出版

「今日の」調査報道者がどのようなものかを体現する記者イスマイル・サイマズ氏の重要な著書である。最近下された兵役免除の決定は、「徴兵制」問題の一面を再び思い出させた。兵役義務期間中に「死んだ」兵士たちの物語だ・・・

6-『仕事部屋』 ドアン・ヤルジュ著、YKY出版

2014年は掌話が多く発表された年であるが、中でもドアン・ヤルジュは「手練」の1人だった。長い休止期間のあと発表された新たな作品群が収録された『仕事部屋』には、ミニマリストな掌話の最も素晴らしい例となる話も含まれている。小説家として成熟を迎えた彼の短編集だ。

7-『鳥たちの集会』 ピーター・シス(Peter Sis)著、アレフ出版

ペルシアの詩人、ファーリド・アル・ディーン・アッタールの「Mantıku’t Tayr」という不朽のクラシックから再び語られることとなった不死鳥、シームルグの物語である。ピーター・シスはこの偉大な作品を挿絵と共に詩に表している。それぞれ美しい挿絵と共に、シスはシームルグに再び命を吹き込む。

8-オルフェウスの歌、ハンダン・インジ著、YKY出版

研究書や関連書が1000を超えるアフメット・ハムディ・タンプナルへの、今日に至ってもなおまったく新たな視線からのアプローチを証明する本である。ハンダン・インジは学術的な退屈さを感じさせず、ところどころ独特な言葉でタンプナルの小説における愛、女性、男女関係や、タンプナルの「夢の女性たち」を取りあげている、

9-『アガペーへの追悼』 ウィリアム・ギャディス著、エベレスト出版

ドン・デリーロ、ジョナサン・フランゼン、デヴィッド・フォスター・ウォレスといった現代文学作家たち、「現代の古典」ともいえる作品を著した作家たちが明らかに影響を受け、またそれを認めている作家がウィリアム・ギャディスだ。『アガペーへの追悼』は彼が病床で書いた、最後の作品である。トルコ語で初となるギャディスの訳本である。難解な作家Gaddisの入門書となるだろう。

10-『悪循環』 ベルナ・ドゥルマズ、ジャン出版

今年のハルドゥン・タネル掌話賞を受賞した『悪循環』は、同時にベルナ・ドゥルマズの掌話作家人生を証明するものでもある。同じメリーゴーランドでの終わりのない回転を見つめる同じ家の住人たち、しかし違う世界の人々を描き出す。

11-『綿布の靴』 ギョルケム・イェルタン著、クルムズケディ出版

友情そして恋愛に関する児童小説である。ギョルケム・イェルタンはこの2つの重要なテーマを彼らの多感さにふさわしい言葉と構成をつかって描き出す。『綿布の靴』は児童文学にさらなる一石を投じる。

12-『ワニの公園』 (訳注:邦題『スワンプランディア!』) カレン・ラッセル著、シレン出版

カレン・ラッセルは、『ワニの公園』で彼女の才能ある作家業に「国際的」な認知を加えた。異なった「ショー世界」で働くビッグツリー家の物語を、そして家族で最年少のアヴァの冒険を描く。

13-『最後の窓(A)からキリン(Z)へ』 ペーテル・ジラーイ(Peter Zilahy)、モノクル出版
(訳注:ハンガリー語で「窓」はAblak、「キリン」はZsiraf、アルファベットのA to Z を指す)
有名な「オレンジ革命」についての必読書である。『最後の窓からキリンへ』は類まれな小説で、AからZまで項ごとに辞書/百科事典の形式で進んでいく。ジラーイは項目ごとに東ヨーロッパの不運と運命の輪の中に形作られたその宿命を描き出す。明日のハンガリー文学を担うこの一作。

14-『恋愛の痛み』 パトリック・アヴレーン(Patrick Avrane)著、イシュバンカス出版

三流役者ばかりの平均的なドラマでも、良いドラマシリーズでも、映画やたくさんの賞を獲得した作品、どこという取り得のない安っぽい小説でも、高尚な哲学書、宗教書においても、恋愛はいつも私たちの前に現れる。精神分析医でもあるフランス文学家パトリック・アヴレーンは常に人類とともにあった恋愛の痛みの精神分析と、文学史における小説を書き出した。

15-『世界の痛み』 アイフェル・トゥンチ、ジャン出版

あるアナトリアの村の物語を通し、我々の社会的な記憶、狂気、リンチという慣習を取り上げた小説である。

16-『50にして惑う』 キュチュクジャン・イスケンデル、セル出版

30歳のキュチュクジャン・イスケンデルから50歳のイスケンデル・オヴェルへの贈り物。素晴らしい詩人のキュチュクジャン・イスケンデルが自らの詩から選んだ50篇の詩は、彼の人生、詩の世界、また50年のトルコを描き出す。

17-『トルコにおける文学的意識の成立』 ハサン・ビュレント・カフラマン、カプ出版

ハサン・ビュレント・カフラマン教授のトルコにおける現代文化の成立に関する2冊目の研究書である。1冊目では視覚的意識とこの分野における芸術を解き明かし、今回は文学にまで幅を広げている。タンジマートから今日に至るまでのトルコ文学の展開と社会における位置を研究したこの本は、今年の最も重要な研究書のうちの一つである。

18-『神の死と文化』 テリー・イーグルトン著、ヨルダム出版

イーグルトンの本は9.11のその後を追及する。宗教間の衝突の高まりに驚く者たちへ、イーグルトンは宗教の社会と権力にとっての意味を諭し、また宗教以外の選択肢が陥った弱点を指摘し、厳しい批判を試みている。

19-『イスタンブルの猫』 ギュンドゥズ・ヴァッサフ著、YKY出版

ギュンドゥズ・ヴァッサフが贈るトルコ文学で今まで例を見ない詩小説である。何とテーマは猫だ。

20-『オスマン料理帝国』 プリシラ・マリー・ウシュン著、キタプ出版社

ウシュンは、世界各地の文化圏におけるオスマン料理の跡をたどり、多文化の相互影響を浮き彫りにする研究をしている。飲食の文化とその歴史について興味を引く情報がつまった、食欲をそそる1冊だ。

21-『イスタンブルの失われる木造家屋』 レハ・ギュナイ著、イェム出版

レハ・ギュナイがイスタンブルの記憶に残る木造建築を記録に残した。何年にも渡って撮り集めた夥しい量の写真を整理し、それに彩られた重要な本を作り上げた。宮殿や屋敷にとどまらず、通常のイスタンブルの住民たちが暮らしている、あの木造住居の本がまさに本著である…

22-『ミームの戦争』 カレ・ラースン著、アドバスターズ誌 メティシュ出版

金、クレジットカード、政権の嘘と距離を置くこの本は、消費を控えよと言う。現状に代わる仕組みの構築を説き、別の世界があり得ることを協調する。

23-『月にいる男タンプナル』 ナズル・エライ著、ドアン出版

この小説によってエライはその技巧を改めて証明している。彼女の描くハムディ・タンプナルは過去に潜んでいる。ボスフォラス海峡沿いのユダの木の下を歩きながら愛を空想し、ベイオールのナルマンル寮で古い刑務所を思わせる湿気のある屋でそれは素晴らしい作品を書く、美しい女性に目がない、貧乏で、生活もままならず汚れた靴を履いた「下賤なハムディ」だ。

24-『色彩をもたない多崎つくると、彼の巡礼の年』 村上春樹著、ドアン出版

村上は今回「宿命」を操る。この小説の主人公は目標もなく生きる30代の多崎つくるである。つくるは、宿命の秘密を解き明かし、彼の中の癒えない傷の原因を探るために旅に出る、もちろん読者と共に。

25-『21世紀の資本論』 トマ・ピケティ、イシュバンカス出版

トマ・ピケティの本は多くの議論を呼んだ。ビル・ゲイツも自身のブログでこれについてコメントしている。彼の言葉を引用しよう。「自由と不平等さについての議論は、多くのパルチザンのエネルギーを生んでいる状態だ。これに関して魔法のような解決法を持たない。しかし、ピケティのこの著作は構造的欠点があろうとも、少なくともこのエネルギーと等価の光を灯している」

(後略)

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(翻訳者:桑迫静香)
(記事ID:36418)