メルケル・ダヴトオール会談「イスラム国の被害を最も受けているのはトルコ」
2015年01月13日付 Milliyet 紙


メルケル連邦首相とEU及びトルコに関して「静かな応酬」を交わしたダヴトオール首相は、「テロはテロであり、テロリストはテロリストである。宗教的肩書を持たせれば、集団犯罪を犯す者らに口実を与える」述べた。

アフメト・ダヴトオール首相は、自身がパリ襲撃に関し発した「トルコがEU加盟国であったならば、この文化的緊張は起こらなかったであろう」という声明に対し、「もしこうだったら、こうなっていなかったという仮説を立てる事は極めて憶測的なアプローチである。我々はテロに対して一致協力すべきである。これこそが重要だ」と発言したドイツのアンゲラ・メルケル連邦首相に、「ヨーロッパで暮らすムスリムにとって、成功談が必要なのだ。トルコのEU加盟は、この素晴らしいモデルを成功談へと変えることになるため、過激派、宗教対立、文化対立をもたらそうとする者らの活動領域を狭める事になる」と返答した。

ダヴトオール首相は、同声明の好例としてドイツ閣僚のアイダン・オズオウズ大臣を挙げた。同首相は、ドイツのアンゲラ・メルケル連邦首相と共に連邦首相府での会食後に共同記者会見を開いた。会談の本題はトルコのEU加盟プロセス及びヨーロッパ におけるイスラームフォビア運動から成った。ドイツで300万人以上のトルコ人が居住している事に触れたダヴトオール首相は、以下の事を伝えた。

■ 過激主義に対する共通認識

「ドイツ在住のトルコ人が独自の文化、言語、及び伝統を保持している事は、ドイツ多文化主義の至極当然の結果である。この枠組みの中で特につい昨日、パリで団結し、肩を並べて行進した事に多大な幸福を感じた、何故ならば国際テロに対し、ヨーロッパの多文化を脅かすこの過激主義に対し、全世界が完全なる共通認識を以て行動した事は重要だからである。パリで生じた光景は大きな重要性を持っている。我々はあの光景が世界中の過激主義及び多文化を脅かすゼノフォビアに対しても反意を示すべきだったと考えている。

■ 「我々は団結せねばならない」

何故ならばゼノフォビアは過去同様に今日においても人類にとっての脅威を孕んでいるからである。出所、起源を問わず、テロに対しても、人々を排除し、周縁化するあらゆる姿勢に対しても我々は団結する。親愛なるメルケル首相の先の、特にドイツ多文化主義に関して発された声明及びドイツ政府の姿勢に関して満足を表明したい。 ヨーロッパの地で昨今徐々に増加し、特にモスクに対する襲撃を筆頭とするイスラームフォビア運動に関してもテロ活動に対してと同様に共通の姿勢を示す事 は、ヨーロッパ人として我々の、ヨーロッパ大陸の文化保全という文脈において非常に重要である。ドイツ語をトルコ語同様に巧みに話し、かつトルコ語を忘れない事、この方向性での教育に関し所要の処置を講じる事は我々皆の共通目標である。

■ 「テロはテロである」

「テロはテロであり、テロリストはテロリストである。宗教的肩書を与えれば集団犯罪を犯す者らに口実を与える。イスラームとテロは両立しない。テロ組織が非ムスリム以上にムスリムを殺害していることはご存知の通りだ。テロと民族、宗教を結び付ける事は正しいと言えない。イスラーム・テロと言えば、ムスリムがテロリスト視される危険性がある。2013年にノルウェーで虐殺が行われた際、我々は「白人のヨーロッパ・テロ」、「キリスト教徒のテロ」とは言わなかったし、正しいとも言えない。アルカイダはアルカイダであり、イスラームとテロが混用されてはならない。さもなければ、テロリストの罠に陥る事になるだろう。我々はNSU(国家社会主義地下組織)殺人事件の実行犯らを「ドイツ人」とは呼ばなかった。

■ 首相の不興を買った質問

ロイター紙の「トルコはジハード主義者に対する姿勢の中でより一層の取り組みを行うべきではないか」という質問に対しダヴトオール首相は声を荒げて、以下の様に返答した。

「シリア危機における最大の代償をトルコが支払った。最も広範囲に及ぶ難民流入が発生した国はトルコである。200万人の難民がいる。彼らはアサド政権から逃亡した。彼らはイラク・シリア・イスラム国(İŞİD)のテロから逃げた。トルコ国境を封鎖するのであったならば、人道的理由であれ国境を封鎖すべきだっただろう。テロリストの越境のためでなく両親を殺害された人々、夫を殺害された人々、罪のない女性たち、子供達のために我々は国境を開放した。明日国境を封鎖するが、国境の向こう側でシリア爆撃で命を落としている子供一人一人に対する報いを我々の国境封鎖決定を求める者たちが受ける事になる。国際社会は当該問題を解決する義務がある。最もİŞİDの影響を被っている国はトルコである。

■ 「情報を我々が提供した」

一方、外国人戦闘員に関して我々はヨーロッパ諸国、世界諸国に対して情報協力を呼びかけた。年間3500万人が入国しているが、我々は名前からテロリストか否かという分類は出来ない。我々は情報が入り次第、必要な行動を試みる。寄せられた情報を基に我々は7000名の入国を禁止し、2000名を入国と同時に国外退去させた。

我々は寄せられる全情報を評価する。諜報組織間で連絡が取り合われる。先のフランスでの事件で指名手配の女性に関する諜報活動をトルコの情報筋が行った。 通告はなかったが我々の諜報活動で確認し、フランス諜報機関へ通報した。トルコとフランスは現在、連携している。当該女性はトルコへマドリード経由で入国している。スペインを非難することが出来るだろうか?トルコを非難することが出来るだろうか?不当な非難は容認しないでおこう。誰の手に証拠があれ提示すべきである。フランスでの過敏反応と同じ過敏反応が過去にイスタンブルのテロ襲撃にもあった。レイハンル襲撃発生時に私はドイツにいた。レイハンル襲撃もシリアに端を発していた。トルコは50名近い市民を失った。当然、昨日の連帯を当時も取るべきであったというのが我々の正当な要求である。」

■ ダヴトオール首相とメルケル連邦首相の一触即発の討論

記者会見でメルケル連邦首相に対し、ダヴトオール首相の、「トルコがEU加盟国であったならば、文化的緊張は発生しなかったであろう」という声明が触れられ、「ドイツのトルコのEU加盟に関する見解」が問われた。

メルケル連邦首相は、この問いに対し、「私は考えを変えていない。現在、完全加盟問題で必ず協議が継続されるべきという点を支持した。もしこうであったなら、こうであっただろうという仮説を立てる事は極めて憶測的なアプローチだ。テロに対し我々は一致協力すべきである。これこそが重要である。当然ながら我々が協議しなければならない諸問題がある、それらは未だ解決されていない」と回答した。

■ 「願わくばその日を迎えたい」

ドイツ人記者が同様の質問をダヴトオール首相へ投げかけたのを受け、「私が意図しているのは以下の事だ」と伝え、明確に述べた。同首相は、「ヨーロッパで暮らすムスリムにとって、成功談が必要なのだ。トルコのEU加盟は、この素晴らしいモデルを成功談へと変えることになるため、過激派、宗教対立、文化対立をもたらそうとする者らの活動領域を狭める事になる。如何にしてアイダン女史がドイツ閣僚入りを果たしたことが、テロ・暴力を扇動しようとし、『ムスリムとキリスト教徒は共存不可能』と唱える者たちに対する最良の答えである。ムスリム、キリスト教徒、ユダヤ教徒、誰であれ世界平和を望む者は同士であり、世界で暴力、圧制、強制を唱える者は対敵である。トルコがEUに加盟すれば、この事がヨーロッパに対する最高のメッセージになるであろうと確信している。願わくばいつの日かその日を皆一同で迎えたい」と述べた。

メルケル連邦首相は、記者会見でイスラームがドイツの一部であり、それに応じてドイツの法を遵守する人々、同じ言語を話す人々が皆同様に温かく歓迎されると述べ、「私は皆がいかなる出自を有しているかに関係なく全国民の首相であり、アイダン・オズオウズ女史も閣僚である。ムスリムたちが非常に明確に弁別し、「暴力が問題となれば即座に我々は制止に入るし、容認はしない」と発言した事は、我々から見れば非常に重要である。宗教間の共存の観点で非常に重要である」と述べた。

メルケル連邦首相は、「特定の諸問題に関し意見の相違は生じ得るが、テロに関して我々は同じ見解を有している。エルドアン大統領はクルド人との和平プロセスの開始に自ら踏み出した。もっと早くこれが為されていれば、イラク情勢は今日程までにはなり得なかったであろう」と語った。

■ ミッリー・ギョリュシュ(国民の視座)代表らと会談した

ダヴトオール首相は、ベルリンでトルコ系非政府組織の代表者らと一堂に会した。会議には、「欧州トルコ人民主主義者協会」、「イスラーム社会ミッリー・ ギョリュシュ」、「宗務トルコ-イスラーム協会」「ベルリン・トルコ人コミュニティ」、「ベルリン・トルコ宗教共同体」、「イスラーム文化協会」といったプラットフォーム及び団体が出席した。その後、ダヴトオール首相は昨年、放火を受けたメヴラーナ・モスクを訪問した。同首相はその後、「当然この事件は ヨーロッパで昨今、台頭している反イスラーム主義の最も顕著かつ最も恐るべき分野の一つである。この美しいモスクでも、目の当たりにした通り襲撃は予期せぬ影響がある。我々がいる場所からこれらモスクの建設を継続する予定だ」と述べた。

 メルケル連邦首相とも当該問題を詳細に協議した事を伝えたダヴトオール首相は、「ヨーロッパ大陸のこれら全ての過激主義運動及び宗教を周縁化し、分極化させる運動を我々は一掃しなければならない。この危機的な歴史的プロセスにおいて皆が重要な役割を担っている。PEGIDA(西欧のイスラーム化に反対する愛国的なヨーロッパ人)の人種差別運動周辺で実施された反イスラームデモは我々皆を危惧させた。当問題で親愛なるメルケル連邦首相と見解を共有した」と語った。イスラーム社会ミッリー・ギョリュシュのケマル・エルギュン代表は、ここ2年でドイツで100件近いモスク襲撃が発生し、これら襲撃に歯止めがかかるよう望んでいると伝えた。

■ YDİK(ハイレベル協力会議)が設立される

ドイツと共にハイレベル協力会議機構の設立を決定した事を公表したダヴトオール首相は、「親愛なるメルケル連邦首相との共同決定を以て以後、当該機構を格上げし、両国首相が共同議長となり、2年に一度の開催を決定した。また1年に一度、両国外相の連携会議が開かれる予定だ」と述べた。

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( 翻訳者:藤井庸平 )
( 記事ID:36535 )