収賄疑惑元閣僚関連投票での与党賛成票はエルドアンへのメッセージ
2015年01月21日付 Cumhuriyet 紙


元閣僚4人の収賄疑惑関連投票の結果により、公正発展党(AKP)内の対立が白日の下にさらされた。
トルコ大国民議会の元閣僚4人に関連するユジェ・ディヴァン投票において、党幹部の期待を裏切り、賛成票が50票に達した。これにはアフメト・ダヴトオール首相とタイイプ・エルドアン大統領、閣僚、党幹部らに対する多くのメッセージが含まれている。特にアブドゥッラー・ギュル前大統領傘下の議員らからの「ギュル氏と我々を政治の外に押しやるな」という、エルドアン大統領への申し立てだと考えられる。またダヴトオール首相はエルドアン大統領が特別国会調査委員会へ介入したことを快く思っておらず、投票前に国会議員らを説得するような干渉を行わなかったことでこの不快感を示したと見られる。AKP幹部から投票結果が伝えられたエルドアン大統領は、賛成票の数にいら立ちを見せているという。
元閣僚4人の関連投票の結果はAKPの舞台裏で以下のように分析されている。

■元閣僚らへのメッセージ

元閣僚4人に対する投票結果を見ると、与党賛成票は元閣僚らの間で差があることが分かる。賛成票が最も多かったのはエゲマン・バウシュ氏だ。これはバウシュ氏への反発が他の元閣僚らに比べ大きかったことを示す。こうした反発には「ハカラなど」というあの発言が大きく影響している(※)。バウシュ氏がザフェル・チャーラヤン氏に促されて投票したが、封筒を箱に投じたときの態度は、議員らに不快感を与えた。
※訳注:エゲメン・バウシュに対しては、コーラン第2章の「バカラ(ハカラ)章」を軽々しく扱ったとして、反発が挙がっている。

■党幹部へのメッセージ

多くの国会議員は県や市の組織において困難を抱えている。彼らの要求や提案が無視されている。これを快く思わない彼らは賛成票を投じて党幹部への反発を示した。このことで、「あなたはまだ団体を統括できていない」というメッセージがダヴトオール首相へ送られた。

■内閣へのメッセージ

議員らは、元閣僚だけでなく現職の大臣らに対しても、「大臣だからといって国会議員に対して上から見る態度をとらないで頂きたい。我々の要求を無視せず、関心を持ってほしい。将来的にあなた方の仕事を我々が受け持つ可能性もある」と述べた。

■エルドアン大統領へのメッセージ

特にアブドゥッラー・ギュル前大統領傘下の議員らと3期条項により内閣から退いた議員らはエルドアン大統領に「我々を政治の外に押しやるな、我々にも力はある」と主張した。この主張には「我々も党を組織し、党を分離する」というような脅威はないが、一種の示威行動ではある

■ダヴトオール首相もエルドアン大統領にメッセージを送る

ダヴトオール首相は投票前にエルドアン大統領のように、「彼らは必ず無実となるだろう」という態度はとらなかった。議員を説得するため、党や派閥の幹部に干渉することもなかった。この状況はエルドアン大統領が委員会に介入したことへの不快感の表れである。

■汚職の訴えに反発する議員ら

議員の中にはこうしたことにまったく関わらず、元閣僚ら関連した汚職の訴えに不快感を示す者もいる。特に彼らは選挙区に行った時、有権者への説明に窮している。ユジェ・ディヴァンへ送る方向で投票する、もしくは投票を棄権した議員らにもこの状況は影響を与えた。

■早期警告構造

投票で賛成票が出た後、党では何が起こるだろうか。どんな問題も起こらないだろう。そもそも国政選挙がある。この結果はエルドアン大統領にとって一つの早期警告のシステムとなる。エルドアン大統領は今後党をより厳しく統率するだろう。

■代理投票

エルドアン大統領に反発する一部の大臣らは、自らあるいは代理で投票した大臣らも、賛成または棄権票を投じた可能性がある。

■エリタシュ議員:「議員の意思を拘束しなかった」

ムスタファ・エリタシュAKP会派副代表は、元閣僚4人についてのユジェ・ディヴァン投票での与党賛成票について、「AKP所属国会議員302人が投票に参加した。我々は党員の意思を操作したり、圧力をかけたりしなかった。国会議員らの自由意思を拘束することはトルコ大国民議会の意志を踏みにじることだ。AKPはこれをしなかったが、共和人民党(CHP)と民族主義者行動党(MHP)はこれをやった」と述べた。

また、与党賛成票に反発を示すシャミル・タイヤル国会議員(ガズィアンテプ選出)の「反逆」組織という発言に関して、「あの発言は度を超えたものであったと言いたい。我々はどの国会議員がどんな投票をしたかを追究しない。彼の発言はAKP会派に関係する発言ではない」と述べた。
また、エリタシュ副代表は、バウシュ氏について投票が再度実施されるべきだとするCHPの意見を「詭弁」だとし、アーキフ・ハムザチェビCHP会派副代表は憲法と内規を混同していると主張した。

投票結果にからむ検討会議を開いたAKP幹部らは、賛成票に関して議論することは同党に悪い影響を及ぼすと話し、「この件を終わらせなければならない。もし枝分かれし分派でもすれば、(党は)壊疽してしまう。選挙も近づいている」と判断した。

■バウシュ氏への賛成票が最多

元閣僚4人に対する投票では、エゲメン・バウシュ氏の賛成票が最多となった。投票には517人が参加し、賛成245人、反対255人、棄権7人、白票6人、無効票4人という結果となった。投票には与党AKPから303人が参加したが、48人が反対に投票しなかったことになる。野党側全員が賛成票を投じたとするなら、AKPからは少なくとも31人の国会議員がユジェ・ディヴァン行きを支持して投票したことになる。

■ギュレル氏は2位、チャーラヤン氏は3位に

ザフェル・チャーラヤン氏の投票には517人が参加した。投票は賛成242人、反対264人、棄権7人、白票1人、無効票3人という結果となった。AKPから38人の国会委員が反対に投票せず、野党側の数によると少なくとも27人の国会議員がユジェ・ディヴァンへ送る方向で投票したことが明らかとなった。ムアンメル・ギュレル氏の投票には513人が参加。賛成241人、反対258人、棄権6人、白票4人、無効票4人という結果となった。与党からは43人の国会議員が反対に投票しなかった。野党側の数を見ると、少なくとも29人のAKP所属議員がギュレル氏のユジェ・ディヴァン送りを支援して投票したと見られる。

■無効票が最小だったのはバイラクタル氏

無効票が最小だったのはエルドアン・バイラクタル氏についての投票だった。515人の国会議員が参加し、賛成219人、反対288人、棄権3人、白票3人、無効票2人という結果となった。投票には302人のAKP所属議員が参加し、与党からは14人だけが反対に投票しなかった。野党側で投票に参加した議員の数を見ると、AKPからは少なくとも6人の議員が賛成に投票したと考えられる。

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( 翻訳者:星井菜月 )
( 記事ID:36664 )