イラク:政府軍がティクリートを奪還、国会議長は国の分裂を警告
2015年03月12日付 al-Hayat 紙

昨日ティクリートに進撃した「人民動員隊」(AFP)
■軍がティクリートを奪還、「ダーイシュ」はサッダーム宮殿に退避
【バグダード、スライマーニーヤ:本紙】
「人民動員隊」(訳注:Popular Mobilization、シーア派主体の義勇軍)ならびに諸部族戦闘員らに支援されたイラク軍は、ティクリートを「ダーイシュ(IS)」から取り戻すことに成功し、同市のほとんどの地区を制圧した。イラク軍側が都市の中心地帯へ迫ると、ダーイシュ武装兵らは故サッダーム・フサイン大統領が建造した要塞状の宮殿、またはキルクーク県のハウィージャ市方面へ撤退した。また、サリーム・ジャブーリー国会議長は「要請された形で国民和解プログラムを実施しない限り国は分裂する」と警告した。
イラク国軍ならびに地元高官筋は、昨日(11日)、「ダーイシュ」支配下にあったティクリートとその周辺地帯奪還のための攻撃開始から10日を経て、国軍は同市北部に進撃したと伝えた。少将の階級をもつ将校は「軍は市の中心部に近いティクリート軍事病院を取り戻したが、正に戦場に突入したといえる。地上にいる戦闘員らと直接対決するのではなく、狙撃と地雷による作戦をおこなっているからだ。(…)われわれの動きはスローである」と述べた。
同将校が明らかにしたところによれば「国軍は三つの戦線から攻撃をしかけた。ディヤーラー県側(東)、サーマッラー市(南)そしてスパイカー(Spyker)軍事基地ならびにティクリート大学(北)である」。それによって国軍は、ティクリート周辺地域のドール地区(南部)、イルム地区(北部)などを制圧した。ワシントン主導の有志連合の爆撃機はこれには参加せず、かわりにイランの役割が際立っていた。ティクリート(バグダードから北へ160キロ)は、サッダーム・フサイン大統領の生地であり、バグダード・モースル間に位置していることから、象徴的にも戦略的にも重要な意味合いをもっている。
警察発表によると「ダーイシュ」は昨日、爆弾を仕掛けた車両と迫撃弾によりラマーディーを攻撃した。「FP」通信が警察のムスタファ・サミール指揮官の話として伝えたところによれば、ダーイシュは「自爆攻撃者が運転するハンヴィー型の軍用車両7台で攻撃を開始した」。爆発により治安部隊要員10名が死亡、負傷者は民間人も含め30人であった。複数のジハード主義サイトがツイッター上で「自爆攻撃者の中にはベルギー、シリア、コーカサス出身者がいた」と述べている。
他方、有志連合の声明は「ダーイシュはもはやシリア・イラク国境上での作戦行動の隙を突くことはできない。彼らが人員や物資の輸送に用いていた道路、特にタッルアファルとモースルへ至る道は、有志連合の空爆に支援された反ダーイシュ軍により断たれているからだ」と述べ、「ダーイシュ」に対抗している軍勢が「シリア東部とイラクを結ぶ47の道路の主要部分」を制したことを明らかにした。
また、昨日スライマーニーヤ市のアメリカン大学で開催された「スライマーニーヤ・フォーラム」において、ジャブーリー国会議長は「イランとアメリカの間で分裂し、国が司法と国家機関による統治を行えず武器をコントロールできない現状では、国民和解プロセスを設定しないかぎり、イラクは解体へと向かう」と発言し、「イラクにおける米・イランの戦いは、勢力圏、石油、地理を巡る競争なのか、あるいは、相手を倒すためのレスリング・マッチなのか。それは競争なのか、または与えられた役割なのか?」と疑問を投げかけた。そして「ダーイシュ以後、考える時間はあまり残されていない。国内の平和、そして、全ての政治勢力、市民団体、宗教機関が参与する調和状態に向けた包括的なイニシアチブが必要な段階である」と述べた。
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( 翻訳者:メディア翻訳アラビア語班 )
( 記事ID:37103 )