Murat Yetkinコラム:6.7総選挙、エルドアン初の敗北となるか?
2015年05月08日付 Radikal 紙

アフメト・ダウトオール首相が再び公正発展党の一党体制を構築する、と考えてみると、民主主義でそうであるように、トルコにおいてもこれは選挙の勝利に他ならない。しかしながらその結果、エルドアン大統領を「唯一の権限者」にするような憲法案が賛成多数を得られなければ、これはエルドアンにとっての敗北となるであろう。

タイイプ・エルドアン大統領は、2001年に公正発展党が創立されて以来、常に選挙で勝ってきた。
当時の共和人民党のデニズ・バイカル党首が妨害を取り除く手助けをした2003年のスィイルト選挙もこれに含まれる※。これらは決して少ない勝利ではない。
※訳注:2002年11月の総選挙でAKPは初めて第一党となった。党首であったエルドアンは当時被選挙権を剥奪されていたが、法が改正され、翌年3月の補欠選挙でスィイルト選挙区から国会議員に初当選した。

しかしながらこの輝かしい躍進は、次の6月7日の総選挙で止まるかもしれない。エルドアン大統領にとって公正発展党の創立以来、初めての政治的敗北が訪れる可能性があるのだ。

そもそも、これは大統領選挙ではない。大統領選挙は2014年8月に既に行われており、エルドアンが当選している。
しかしながら、6月7日の総選挙を新たな議会と政府を選ぶという目的から脱し、後に「唯一の権限者」となることを目論んでいるのは他でもないエルドアンである。

アフメト・ダウトオール首相が再び公正発展党の一党体制を構築する、と考えてみると、民主主義でそうであるように、トルコにおいてもこれは選挙の勝利に他ならない。しかしながらその結果、エルドアン大統領を「唯一の権限者」にするような憲法案が賛成多数を得られなければ、これはエルドアンにとっての敗北となるであろう。

だからこそ、大統領はダウトオール首相とは平行線の選挙キャンペーンを行うことで、結果を運に任せないという意思を見せたのだ。

これは選挙キャンペーンなどではなく、「集団セレモニー」や職業集団との「会談」のように見える。

その様子はすべてテレビで生放送されている。これらのスピーチではエルドアン大統領が、野党に対してのみならず、ダウトオール首相に対しても厳しい言葉を投げかけており、民衆に対し野党や首相の言うことに耳を傾けないよう呼びかけているのだ。

「ここに党旗というものはありませんが、私の心の中に政党があるのです」と語り、トルコの政治で最もよく使われる決まり文句、「私は中立ではありません、あなたたち市民の側にいます」という表現でスピーチを締めくくった。

大統領は憲法違反であるという野党の抗議や、欧州安全保障協力機構がトルコにおける選挙の公正に関して今また再び懸念を示し、査察団を派遣したことも全く気にしていない様子である。
自らが何をしたいかをよく分かっており、次の選挙で負ければそのチャンスが二度と戻ってこないかもしれないと考えているのだ。

選挙の日が迫るにつれ、自身が最もよく知る分野である宗教と信仰にも深入りしている。
1980年の軍事クーデターを率いたケナン・エヴレン元大統領以降、初めてコーランを手に演説して人々の支持を集める大統領となったのがエルドアンなのだ。

要するに、エルドアンは自らの態度をはっきり示したといえる。
まるでこの選挙を自身のための事前選挙に変えてしまったようだ。

こうすることで、6月7日選挙の結果が自身にとって好ましい結果とならなければ、ダウトオールに責任を負わせることも出来なくなって来るだろう。勝利を自らの功績にしようとするが、しかし敗北になればそれも自らに返って来るのだ、もはやそのように見える…

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( 翻訳者:三井景介 )
( 記事ID:37461 )