Oral Calisirコラム:暴力の連鎖―HDPに爆弾、シリア難民を排斥・・
2015年05月19日付 Radikal 紙

選挙の場で政党が互いに否定的に評価し、非難し合うのは、予想される事態である。言葉が時折、厳しい調子になる、というのは恐らくは自然なことである。しかしながら、「暴力的な言葉」を避けるのは、重要なことだ。

選挙は、一つの「生存競争」なのではない。選挙は、民主的なシステムでなければならない。

為政者、政権の候補者達は、民衆の、有権者の元に向かう。彼らを満足させて票を獲得することを見込んでいる。誓いをたてて、解決の提案を発展させようと励んでいる。

選挙が、喜ばしく、そして楽しい側面がある一方で、時折、計算外の結果となることもある。トルコは、多党制に、残念ながら、とにかく馴染むことができなかった。60年間に渡る努力にもかかわらず、定着せず、政治はまったくノーマルな状態にならないのである。軍事クーデターの積み重ねというのは、この図式に道を開く要因の一つである。

最近はいくつかの措置が講じられ、いくつかの障壁が乗り越えられた。政治における軍の後見は後退した。軍の影がない選挙戦というのが、これだ…。しかしながら、軍の後見に終止符を打つことは、「問題の収束」を意味するわけではない。

■政治における暴力

選挙の場で政党が互いに否定的に評価し、お互いに非難し合うのは、予想される事態である。言葉が時折、厳しい調子になる、というのは恐らくは自然なことである。

しかしながら、「暴力的な言葉」を避けるのは、重要なことだ。武力闘争の試みを終わらせようと努める時期を過ごしている、結果として。

人民の民主主義党(HDP)の選挙事務所爆撃は、暴力的言葉がきっかけとなって生まれた状況である。実際に、昔から、クルド政治運動に対する、「極右派の攻撃」、「暴力的傾向」は、常に存在していたのだ。我々は非常に痛ましい経験をしてきた。

最近に起こった暴力事件は、一般的社会の傾向を反映したものではないとしても、選挙の雰囲気を害している。お互いへの非難が各政党支持層を非常に扇動的な雰囲気に包まないよう、各政党、各党首たちは、一層気をかけなければならないのだ。

アダナとメルスィンは、クルド人勢力の影響を最も受けた県の一つである。これらの都市では、あるきっかけで事態を過激化しうる。扇動的なアプローチというものを想像するのは、難しいことではない。結果を分析して、注意を払うよう呼びかけるのは重要である。

■シリア人への敵意に対して

選挙キャンペーンにおいて最も不運だった言行の一つは、内戦のために国を捨てて、外国で暮らさなければならなくなったシリア人に対する「排他的な言説」である…。共和人民党(CHP)の党首のケマル・クルチダオール氏が、「シリア難民たちを送り返す」という発言からあまり時を経ずして、「見ろ、この政府はシリア人たちに労働許可を与えている」と非難することに向かったのは、大変に悲しいことだった。

クルチダオール自身も、「疎外化された」アイデンティティの持ち主である。シリア人に対する排他的な言説は本当に奇妙である。もしもこの言説によって自身に票をもたらすと見込んでいるとすれば、誤った判断であると思う。

■解決プロセスの後退

選挙キャンペーンの喜ばしくない側面の一つは、「解決プロセスに対するネガティブな姿勢」を作ることである。政府、人民の民主主義党(HDP)、オジャランとの間で、4月に行われた同意とPKK(クルディスタン労働者党;非合法)の武装解除関連したポジティブな雰囲気は、選挙の中で崩れた。PKK党員が、「和平プロセスは終わった」という言葉を繰り返す一方で、エルドアン大統領は、[和平プロセスを監視する]「監査委員会」を否定した。[4月の]ドルマバフチェ合意を承認しないとするエルドアン大統領は、「進行中のプロセスをくじくことに導く」立場で話をした。

選挙に近づくと、様々な場にある緊張が上昇する可能性が次第に増大している。

13年間選挙で敗北している野党も、「大統領制をとにかく実現する」と言っているエルドアン大統領も、最低得票制限越えの緊張にはらはらするHDPも、緊張の上昇へ貢献している。

選挙というのは、誰にとっても「世界の終わり」というわけではない。選挙は、「民衆の選択が票に反映するということである。」誰かは勝利し、誰かは敗北する。民主主義とは、結果に誰もが敬意を表することであり、不首尾におわった人も、そのことを認めなければならない(そして必要とあれば、退任しなければならない)。選挙は行き過ぎるが、人生は続くのだ。

問題は、この現実を完全に内面化できる政治文化にたどりつけるかである...。

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( 翻訳者:堀谷加佳留 )
( 記事ID:37548 )