欧州議会のトルコ進捗レポート、発表さらに延期
2015年05月21日付 Zaman 紙


欧州議会による年次トルコ進捗レポートが、ドイツ、フランス等の国で国内の政争の具に用いられ、悪用される懸念があるとして、6月迄公表が延期されることとなった。

通常、3~4月に承認される欧州議会によるトルコ進捗レポートが、最終承認の数時間前になって6月に延期となった。欧州議会筋によると、レポート延期の決定の背後には、欧州人民党グループ(保守・キリスト教民主主義系)と欧州統一左派・北方緑の左派同盟グループ(共産主義・極左系)が反対したことが影響したとのこと。

欧州議会のトルコ進捗レポートでは、公正発展党政権を強く批判しており、レポート最終承認の数時間前になって延期となった。欧州議会最大派閥である欧州人民党グループによるトルコとのEU加盟交渉プロセス頓挫を狙った動き、欧州統一左派・北方緑の左派同盟グループ(GUE‐NGL)による最終承認直前での約30もの新たな変更提案により議論が停滞する可能性を受け、レポート発行が6月まで延期された。

通常、3~4月に承認されるトルコ進捗レポートが6月に延期された前例はない。ザマン紙は欧州議会筋の情報として、欧州人民党グループがレポート草案における司法関連の第23条、24条交渉開始の要求に異議を唱えたこと、この件で投票による承認を求め、これによりレポートも拒否される可能性が生じた、と表明した。欧州人民党グループは、レポートに関する議論で、レポートからすべての「加盟」という表現を削除するよう要求し、草案ではトルコのEU加盟を予想する「加盟」という表現はたったひとつ残された。トルコのEU加盟を支持するグループは、欧州人民党グループの要望に沿ったレポートが発行された場合、ドイツ、フランスといった国で国内の政争の具に用いられ、悪用される可能性を懸念しており、レポートの発行を延期することに「イエス」と言った。一部グループは、6月7日に行われる総選挙の数日前になって、バランスの悪いレポートが選挙に影響を及ぼす懸念があると述べた。欧州議会の一部ベテラン幹部は、トルコ進捗レポート作成者の若いカティ・ピリ氏が今回のプロセスを上手く調整出来なかったことに不平を漏らした。

■「誤った結果が出ないように」

欧州緑グループ・欧州自由連盟のレベッカ・ハルムス共同党首は、トルコの事態の展開を非常に真摯に受け止めたことによりレポートの発行を延期したと述べ、延期について誤った結論が導き出されてはならないと述べた。ハルムス同共同党首は、「トルコでの事態の展開は非常にネガティブだ、つまり選挙がこれ程迫っている中、欧州議会によるレポート発行延期は筋が通っている。延期は、トルコに関する我々の責任放棄ではなく、逆に、議論により一層積極的に参画することを熱望しているのだ。我々は司法関連の第23条、24条交渉開始を支持している。トルコの民主主義をどのように強化させていくことが出来るかにつき、よりよいアイデアを産むべく、レポートの発行を延期したのだ」と述べた。

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( 翻訳者:山根卓朗 )
( 記事ID:37576 )