ヴァーチャル世界、犯罪者どもが跳梁跋扈する空間(8)
2015年05月20日付 Jam-e Jam 紙

専門家の視点4:ヴァーチャルな愛を好む傾向

【談:サイード・レザー・アーメリー(テヘラン大学コミュニケーション学教授)】

 通信産業、そしてその延長線上にある世界的な通信・情報ネットワークとしてのインターネットの出現と拡大は、生活の領域に新たなヴァーチャル空間を生みだした。それを「第2の空間」ないし「ヴァーチャル空間」といった名称で呼ぶことができるだろう。

 ヴァーチャル空間が有している負の側面としては、さまざまな病理・害悪や規範の喪失〔といった現象〕を指摘することができよう。そしてそれは、現代の犯罪学研究とも関連した要素のひとつになりつつあるのである。

 インターネットには、

▼情報のアップデート〔の加速化〕、
▼科学的研究の活用〔の可能性の拡大〕、
▼最新技術へのアクセス〔の簡易化〕、

などの肯定的な影響・成果もある。

 しかしそれはまた、これらと並行する形で、

▼青少年や若者がチャットルームやヴァーチャルな愛を好むようになったこと、
▼〔悪徳業者によって〕虚偽のプロフィールが提示されることで未婚男女が詐欺に遭い、つけ込まれるようになったこと、
▼インターネットでの出会いをきっかけとした結婚〔が増加したこと〕、
▼情報の詐取、
▼〔インターネットを介した〕ゆすり、

といったものの背景も生んだ。

 10年前よりこの方、インターネットはイランでも自らの地歩を固め、男女の関係も新たな様相を帯びるようになった。まずチャットルーム、そしてSNSがイラン人ユーザーらを魅了した。こうしたヴァーチャルな世界の隣では、結婚相手を見つけるためのサイトが、イランでは多くの顧客を集めるようになっている。

〔‥‥〕

 こうしたサイトの運営者らは、自分たちの目的は若者の結婚の促進だと主張しているが、しかし実際には、これらの者たちはこうした表面上、真っ当で宗教的なセンターを立ち上げることで、多くの人たちを自らの利益追求のための犠牲・踏み台にしているにすぎない。彼らが、こうした空間が利用者たちにもたらす害悪や負の影響を考えることはさらさらなく、いかなる懸念にも悩まされることはない。

 犯罪者らにつけ込まれて強請られること、さらには生活のパートナーとなる人物が道徳的腐敗という不毛地帯に身を投じて、姦通を働き、〔結婚相手となる人物との〕未来の共同生活に疑問を抱くようになること、これらはこうした空間〔=婚活サイト〕が未婚女性にもたらすもっとも深刻な害の一つであるが、しかし未婚男性もこうしたことから逃れているわけではない。

Tweet
シェア


この記事の冒頭にもどる
原文をPDFファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:HN )
( 記事ID:37713 )