連立政権か閣外協力体制か?―新大統領制は不可能に
2015年06月07日付 Hurriyet 紙
www.milliyet.com.trより
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今日の選挙結果により、12年間続いたAKPの単独政権は終わった。6月7日の選挙結果により、どのような組閣が行われるかは、議会入りする政党数だけの可能性がある。アナトリア通信の数字によれば、AKPは260議員を当選させるが、安定多数は不可能だ。連立政権となるか、あるいは閣外協力により少数派の与党となるか・・・。

2011年の総選挙では、AKP(公正発展党)は49.95%をとり、327議員を獲得していた。CHP(共和人民党)は、25.93%で135議席、MHP(民族主義者行動党)は12.98%で53議席だった。その多くが、現在、HDP(人民の民主主義党)に属する無所属候補は、6.58%で35議席をえていた。これに対し、今日の選挙結果では、AKPは組閣するに必要な276議席を獲得できず、一党与党時代は終わった。HDPが最低得票率規定をこえ、第4の政党として議会入りする。想定されるシナリオは次のとおり。

■シナリオ1:AKPが276議席をとれば、単独政権だった

HDPが最低得票率規定をこえるとすると、1党が単独で政権をえるには45%の得票率が必要になる。これに一番近いのはAKPだった。AKPが45%以上を取れば、単独政権だった。しかし、選挙結果により、これは不可能となった。

■シナリオ2:少数派政権

AKPの議員数が276を下回ったときは、単独過半数以下の少数派政権となる。政権外の1党から協力をえる。この可能性は、選挙前から、元交通相でエルドア大統領の顧問ビナリ・ユルドゥルムの口から表明されていた。

■シナリオ3:AKP・MHP連立政権

AKPとMHPの国会議員数は、連立をくみ、国会で政権樹立に必要な数に達している。ダヴトル首相をはじめAKPの人々は、選挙選を通じ、HDPとCHPを激しく攻撃していたのに対し、MHPには、あまり攻撃的ではなかった。さらに、ダヴトルは、MHPのバフチェリ党首のおひざ元オスマニイェの演説会で、そこに参加したした人々が、バフチェリやMHPをやじるのを、自ら止めたのが目撃されている。

■シナリオ4:AKP・CHP連立政権

第三のシナリオは、AKPとCHPの大連合だ。しかし、選挙選の途中でクルチダルオールCHP党首にこの問いがとわれた際、クルチダルオールは全否定していた。

■シナリオ5:AKP・HDP連立政権

選挙選を通じ、もっとも観測を生んでいたのは、このシナリオだ。しかし、HDPのデミルタシュ共同党首は10%を超えて議会入りしたら、AKPと協働はしないと、何度か発表している。

■シナリオ6:CHP-MHP- HDP連立政権

AKPが単独政権をとれないとすると、CHP-MHP- HDPの合計数は、数学的には連立政権が可能だ。しかし、MHPと HDPが、このような連立に並ぶとは、まず考えられない。

■シナリオ7:CHP-MHP連立政権、HDP閣外協力

現時点の得票率では、CHPとMHPが連立政権と組むことは不可能とみられる。両党をあわせても220議席程度だからだ。CHPとMHPの連立政権は、少数与党ならありえる。HDPかAKPが政権外から協力すれば可能となる。

■大統領制議論の行方

4党が国会入りした状況では、各党の公約を考え合わせると、新大統領制の導入は難しくなった。選挙選で新大統領制を支持していたのは、AKPだけだった。残る3党は、はっきりとこれに反対していた。大統領制への移行には憲法改正が必要となる。憲法の規定によれば、憲法改正の国民投票をおこなうには、国会で330~367の票で認められる必要がある。この賛成票により国会を通過した改正案を、大統領が、国民投票に付すか、国会に差し戻すことになっている。国会がまた、同票で憲法改正を認めたときは、大統領は国民投票に付さねばならないことになっている。

以上のように、憲法改正の国民投票の実施には、367議席が必要だ。これがあってはじめて、大統領が改正案を国民投票に付すことができる。あるいは、大統領がみとめ、憲法改正が実施される。今回の選挙結果による図式では、新大統領制のための憲法改正は不可能とみられる。

■AKPは5%以上の後退

AKPは、2011年の選挙では49.95%を獲得していた。これにくらべ、2015年7月選挙では、開票率80%の状況で、AKPの票は42%前後となっている。

■CHPは、現状維持

CHPは前回の選挙と比べ、大きな変化は得られなかった。2011年には得票率は25.94%だった。今回の選挙でも、25%前後となりそうだ。

■MHPは、増加

MHPは前回の選挙より5%、得票率を伸ばした。MHPは2011年選挙では12.98%だったが、今回は、17%近くとなっている。

■HDPは、最低得票率ラインを突破

今回の選挙は、HDPが党として参加した最初の選挙である。2011年には、HDPの前身であるBDP派の政治家たちは、(最低得票率ラインを越えられないとみて)無所属で立候補していた。

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( 翻訳者:和泉由美子 )
( 記事ID:37748 )