息子を失った母親が本紙に激白「心が震え、刑執行目前で殺人犯を赦しました」(2)
2015年06月02日付 Jam-e Jam 紙

刑の執行

 事件発生から8年がたち、死刑囚の男の身柄は死刑執行のためにサナンダジ県の刑務所に移された。殺害犯に対するキサース刑の執行に向けた準備が整えられた。その日、レザーは独房から出され、刑務所付きの宗教指導者の前に座り、遺言書をしたためた。殺害された男性の母親を見て、ただただ彼女に赦しを乞うた。

 死刑囚の若者の家族も、〔刑が執行される〕刑務所の高い壁の向こう側に立ち、祈りの言葉を口ずさみ、コーランを朗唱して、遺族の母親が〔キサース刑の免除に〕同意してくれるを祈った。

すんでの所で命を取り留める

 係官らは死刑囚の男の手に手錠をかけ、目をアイマスクで隠し、彼を静かに絞首台の方へと連れて行った。重い足取りとともに、金属製の台の上に立った。首の周りにくくりつけられた縄のひんやりとした感触を感じて、すべてが終わったと思い、死に向けて気持ちを整えた。もはや命が救われる希望はなく、赦しを乞おうとも思わなかった。

 沈黙が刑務所の構内のひんやりとした雰囲気を支配していた。殺人の被害者の母親が死刑を執行するのを、誰もが待っていた。とその時、刑執行の直前になって、彼女は叫んだ。

彼を赦しました。彼を処刑しないで下さい。自分の権利は放棄します。神の御心に従い、息子を殺した犯人を赦しました。これ以上、私のように子供を失って悲しみに打ちひしがれた母親を見ることなんてできません。この男が神の御前で悔い改め、釈放後、健全な人生をスタートさせるのを望みます。

 その後、殺害の被害者の兄弟が、死刑囚の首から縄を外した。

 係官らは、大変なショック状態に陥って動く力すら失った死刑囚の男を、絞首台から降ろした。刑務所の高い壁の向こう側では、死刑囚の男の家族が、死刑執行時刻から数分が過ぎて、希望を失いながら、レザーの遺体の引き渡しを待つばかりであった。とその時、係官の一人が死刑は免除されたことを知らせたのであった。

つづく


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( 翻訳者:ISH )
( 記事ID:37851 )