レバノンにおけるダーイシュの組織構造
2015年07月01日付 Mardomsalari 紙

【マルドムサラーリー紙14面】ダーイシュ(イスラーム国)は約1年前、イラクならびにシリアにおいて自らの「カリフ制」を宣言した。そしてこのテロ組織が、イラクとシリアだけでなく、その他の域内諸国、さらには世界中の国々でも作戦行動に着手するのに、この1年間という時間は十分なものであった。

 レバノンもまた、ダーイシュによるテロ活動から安全ではなく、テロリストたちはしばらく前から、同国のシリアとの国境地帯で自らの存在を宣言していた。そればかりか、複数の報道が伝えるところでは、ダーイシュはレバノンの政治関係者たちや同国の治安機関の責任者らの動きを注視しているという。

 イラン学生通信(ISNA)の報道によると、レバノン紙『アッ=サフィール』は同国におけるダーイシュの保安・組織構造に関するリポートのなかで、次のように書き記している。

シリアおよびイラクで多くの地域を占領したダーイシュは、レバノンでも活動しており、その部隊はシリアのカラムーン地域にいる、サウジ出身のダーイシュの司令官アブー・サイヤーフ・アル=ジャズラーウィーことウマル・サイフから指令を受けとっている。アル=ジャズラーウィーは多くの自爆犯を抱えていた「カティーバ・アル=ハズラー」(緑の大隊)〔※シリアで活動するジハード主義組織〕の元司令官である。実際のところ、レバノンで活動するテロ組織ダーイシュとその司令官たちを、シリアにいるダーイシュの構成員たちと分けて考えることはできないのである。

アル=ジャズラーウィーは自ら、ダーイシュ(イスラーム国)側の「ダマスカス知事」アブー・アイユーブ・アブドゥルハーディー・アル=イラーキーに臣従している。アブドゥルハーディー・アル=イラーキーは元イラク軍将校で、米軍に拘束される前、イラクを出国し、アル・カーイダとともに戦場に身を投じた。彼はグアンタナモ刑務所に入った最初のイラク人である。

ダーイシュはレバノンを非常に重要視している。そのため、〔‥‥〕テロ計画の実行のため、自らに合流した経験豊富な外国人兵士をレバノンに派遣しているが、自らの司令部の中枢にはレバノン人を登用していない。

注目すべきなのは、レバノンの治安部隊によって拘束されたダーイシュの構成員らが、自分たちの指導者や仲間らの名前を明かすことは決してないということだ。このことは、ダーイシュがレバノンにおいて、ピラミッド式のネットワークを採用しており、主要な指導者以外の構成員の正体がほとんど分からないようになっているということを示している。

疑いの余地なく明らかなのは、ダーイシュが〔‥‥〕すべてをフォローしているということ、国会議員や大臣、そしてその他の治安機関〔の動き〕を注視しているということである。彼らはレバノンで配下の組織—監視・観察活動のみを専門とする組織—を立ち上げた後、同国のほとんどの政治関係者や治安関係者に関する詳細なアーカイブをも作成しているのである。


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( 翻訳者:ST )
( 記事ID:38181 )