Murat Yetkinコラム:ダヴトオールと変わりたい人はいる?
2015年08月26日付 Radikal 紙

ダヴトオール首相を最も悩ませることの一つであるのは、足切り条項である得票率10パーセント以下に追いやろうとしている国民の民主主義党(HDP)と選挙を迎えなくてはならないことである。

アフメト・ダヴトオール首相の仕事は実際のところまったくもって容易ではない。

昨日8月25日トルコの歴史上初めて「暫定」政府として再選挙を行う政府を設立する任務を負ったことを明らかにした際に、彼の顔に珍しく浮かんでいた緊張感はこれを反映していたのではないだろうか。

それともタイイプ・エルドアン大統領からこの任務を進んで引き受けたわけではなく、これが憲法上義務的に彼に任されたからなのか。

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その後、「各党の党首」に改めて話し合いの呼びかけを行ったが、実際に呼びかけを行ったのは共和人民党(CHP)の党首であるケマル・クルチダオール氏と民族主義者行動党(MHP)の党首デヴレト・バフチェリ氏に対してだけであった。

HDPの共同党首のセラハッティン・デミルタシュ氏は朝の時点で既にこの政府において、自分たちのうち誰にどの任務が与えられようとも、「責任感をもって」引き受けることを望んでいると述べた。

ダヴトオール首相を最も悩ませることの一つはこの悪夢のシナリオである。

AKPは、大体HDPを足切り条項である得票率10パーセント以下に追いやり、クルド人有権者の票で新たに政権につくべく選挙に臨むつもりだったが、これを行う際の彼らの連立相手は、実際にはライバルであるHDPになるのだ。

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エルドアン大統領はこの責任は最初からHDPにあると考えていた。

PKK(クルディスタン労働者党)のテロ活動の開始は、軍と警察の軍事作戦の機会を与えた。(解決)プロセスは凍結され、その間エルドアン大統領はHDPを「分離主義テロ組織の政治部門」として非難した。

ダヴトオール首相は昨日25日の、CHPとMHPの「(暫定政府に)我々からの入閣はない」という意味の発表を受けて、CHPまたはMHPに属さない人々とたった一つ、このHDPと、連立政権として選挙を迎えるのであろうか?

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現在ダヴトオール首相には5日間が与えられている。 
ダヴトオール首相の「(AKPに)近い人」を見つけようという考えに対し、CHPとMHPが「我々を数に入れることはできない」という態度を変えた兆候はない。

バフチェリ党首はというと、今から(HDPの示唆により)「PKKは数日中に政府に参加するだろう」と述べ、選挙運動における争点の一つを示している。

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昨日、トルコのテレビ局NTVの放送でサバフ紙のオカン・ミュッデシオール氏が、選挙区に赤色のナンバーを付けた閣僚用の車で向かうHDPの議員らは、特に西部の県でどのように迎えられるのかについて、懸念を述べた。

同じことを既存の条件で東、南東部に向かうAKPの大臣たちにも言うことができる。

もちろんこの間にAKPがHDP党員らと選挙政府から奇跡的な結果を出し、PKKの攻撃を止め、軍事作戦を停止させれば、それはまた別の話である。そうでなけでばダヴトオール首相がこの状況を、AKPを支持する有権者にCHPとMHPのみを非難し、説明することは容易ではない。

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エルドアン大統領や彼が6月7日の選挙で求めていたことは実現していない。

ダヴトオール首相が党首として最初に迎えた選挙でAKPは単独過半数を失った。

こうしてエルドアン大統領が単独与党に基き、あたかも大統領制に移行したかのように幅広い執行権限を行使できる可能性が危機に陥った。

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しかし再びAKPは議会における最大の党であり、AKPなしには連立できないとみられている。

13年この国を統治した後に紙一重で政権を失い、選択肢を生み出せないようにするための選挙を再度試行することは、エルドアン大統領から見ると、試さざるを得ないことであると見えたかも知れなかった。

また数学におけるゲーム理論の観点からもそれが憲法上可能であることは選挙強硬の根拠となった。

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エルドアン大統領はまずデニズ・バイカル氏と会談し、注目を政府の動向から議会議長の選出にそらし、AKPの傷をいやすための貴重な時間を稼いだ。

その後ダヴトオール首相に、CHPとの連立が近いと思われていた時に世論の前で行ったインタビューで、それ(CHPとの連立)を取り消させた。

最終段階では憲法の規定にも関わらず組閣の任を、それを求めるクルチダオールに与えないことで、自身の意向をはっきりと示した。YSK(高等選挙委員会)はこれを適切とみなし、昨日24日正式に11月1日が「仕切り直しの選挙」の投票日とされた。

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選挙は目前である。

今回の選挙で4つの党による国会の構成が変わらないのであれば、アフメト・ハカン氏は、MetroPoll(戦略・社会研究所)所長のオゼル・センジャル氏との対談で変わらないと主張しているのだが、その場合、何が起こるであろうか?

その場合、エルドアン大統領とダヴトオール首相に突き付けられるのは、もはやその結果が本当に国民の意思であることを認め、それに従い行動することである。戦争と経済危機に直面しているトルコがより多くの時間を失わずにその道を進み続けることが必要である。

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( 翻訳者:松井友紀 )
( 記事ID:38509 )