Murat Yetkinコラム:コザ・イぺキ・ホールディング事件は何を意味する?
2015年10月28日付 Radikal 紙

コザ・イぺキ・ホールディング捜査と22社の経営が凍結されたことは、司法の独立性と報道の自由という問題だけでなくて、財産権や投資の自由にもかかわる問題だ。

裁判所は、検察によって用意された書類に印をおして承認した。決定は、コザ・イぺキ・ホールディングの経営の凍結に関わる。9月1日に警察による強制捜査によって始まった調査の結果、10月27日に同社に管財人が任命された。報告書では、同社の会計には虚偽がないことが特に明記されているにも関わらず、テロ組織への支援の疑いにより、この決定はなされた。

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テロ組織と彼らがいっているのは、フェトフッラー・ギュレン教団のことだ。
つまり、ごく最近まで、タイイプ・エルドアン大統領およびAKPと一緒に政権を担い、その恩恵に十分あずかってきた人々だ。

裁判所の任命した管財人は、本来、独立したものであらねばならないのに、AKPに近いか、さらには党員である人物が任命されていることが、昨日、明らかになった。

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コザ・イぺキ・ホールディングの創設社で会長のアクン・イペキは、もし裁判所が不正に使われた1クルシュでも見つけたなら、全財産を政府がいうところに差し出すと宣言している。その財産とは、金山の採掘から、金融、さらにはメディア数社にいたるまで、広範囲な業種に及んでいる。
系列のメディアとしては、ブキュン紙、ミッレト紙、ブギュンTV、カナルチュルク・テレビ局がある。
そもそも、11月1日選挙の5日前にこうした捜査や凍結が行われたことは、同グループのメディアを黙らせるためだという主張が、昨日来、野党の政治家らによってなされている。

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アクン・イペキは、フェトフッラー・ギュレンへの信奉をまったく隠さなかった人物だ。エルドアンとギュレンの関係がよかったころ、すなわち、ギュレン派の警察幹部、検察官、裁判官らが、軍や司法、大学のなかでエルドアンのための道を均していたころには、毎年すこしづつ拡大するコザ・イぺキ・ホールディングが、新聞やテレビを使って、そのプロセスを支援していた。
しかし、2012年に国家諜報局のハーカン・フィデンへの取り調べに始まり、2013年12月17~25日のエルドアン政権の閣僚、党員、さらには家族にまで拡大した一連の不正捜査に至るプロセスにより、その流れは大きく変貌した。

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あれ以来、ギュレン派の人々は、国家のなかに「影の国家」と作ろうとしたもの、それをエルドアンとAKP転覆のために試みたものとされ、これがクーデターとされ、このクーデターも、武力的なものは一切含まれていないにも関わらず、テロリズムだとされ、その結果、テロリストだと言われはじめた。
彼らの道は、遠く離れたものとなった。
アクン・イペキとそのグループが、テロ支援と非難されるのもそのためだ。

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コザ・イぺキ・ホールディング捜査は、司法が政府からどれだけ独立しているか、また、報道の自由がどのような状況にあるかという議論に油を注ぐような事例といえよう。
しかし、コザ・イぺキ・ホールディング捜査と22社の業務凍結は、単に司法の独立、報道の自由だけに関わるわけではない。
同時に財産権や投資の自由にもかかわってくる。

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自由主義的な統治の3つの原則が、「宗教と良心の自由、表現の自由、投資の自由」であるという考え方を、トルコ政治にもちこんだのは、1980年クーデターからの回復プロセスで自由主義経済へと向かっていたトルコを率いた第8代大統領のトゥルグト・オザルだった。今、それから30年をへて、「うまくいかない、もう一度」選挙に向かうなか、早々と「まただめなら、また選挙だ」というような脅しのもとで、トルコは、財産権や投資の自由に関する議論に直面している。
トルコは、昨日、企業が我々の手から離れ、我々に敵対し我々とは異なる経営陣により差し押さえられ、投資が、党・政府の監督下に置かれるかもしれない時代へと踏み出したのだ。

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この門が一たび開かれたなら、明日には、―たった一人の裁判官が決定する―裁判所決定により、ほかの会社にとっても同じことが起こりうるのだ。
EUの門をたたきその加盟を申請し、世界のG20のひとつして外国からの投資を待つ政府であるならば、独立した司法、報道の自由、財産権の保障された投資の自由を、この条件下で、どう約束しようとおもっているのだろうか。

CHPのケマル・クルチダルオール党首は、昨日、NTVで、もしこの状況に反対しないなら、次は他の場所が同じ目に合うだろうとの警告を行った。

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しかし、昨日、別の警告も行われた。今度は、与党の側から。
最近まで、エルドアン大統領の演説の執筆者の一人であったAKPの国会議員アイドゥン・ウナルは、テレビのアー・ハベル局に生出演し、11月1日に政権をとったなら、ヒュッリイェト紙、ジュムフリイェト紙、ソズジュ紙には「つけを払ってもらう」と述べた。トルコにおいて権力争いは、これほど赤裸々に行われたことはなった。本当に残念だ。

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( 翻訳者:トルコ語メディア翻訳班 )
( 記事ID:39004 )