ファズル・サイへの禁固10か月判決を、最高裁、棄却
2015年10月26日付 Radikal 紙


世界的に有名なピアニストで作曲家のファズル・サイ氏は2012年に自身のツイッターアカウントでオメル・ハイヤームのいくつかの詩句を投稿したため「一部の人民がもつ宗教的な価値を公然と侮辱した」罪で10か月の禁固刑判決を受けたが、最高裁判所第8刑事小法廷はその判決を棄却した。

Hürriyet紙のメスト・ハサン・ベンリ氏の報道によると、世界的に有名なピアニストで作曲家のファズル・サイ氏は2012年に自身のツイッターアカウントでオメル・ハイヤームのいくつかの詩句を投稿したため「一部の人民がもつ宗教的な価値を公然と侮辱した」罪で10か月の禁固刑判決を受けたが、最高裁判所第8刑事小法廷はその判決を棄却した。同法廷は、多数決で下した決定で、サイ氏の投稿は思想と表現の自由の枠内で考慮されるべきであると規定した。
ファズル・サイ氏は、ツイッターアカウントで2012年にオメル・ハイヤームのものとされる4行詩の一部を投稿した。サイ氏は、ほかのアカウントで行われたいくつかの投稿のリツイートもしている。3人の国民は、当該の投稿でサイ氏が「イスラム教に、そしてこの宗教を信じるムスリムたちに向けたひどい屈辱をあたえて宗教的な価値を公然と侮辱した」という要件で検察に刑事告訴した。この訴えを受けてイスタンブル共和国検察庁は、サイ氏に関し「一部の人民がもつ宗教的な価値を公然と侮辱した」罪で調査を開始した。

■禁固刑10か月の判決

サイ氏は弁論において、投稿したメッセージは引用であると述べ、「これらのどの投稿においても屈辱を与えたり侮辱したりする意図はない。それどころか、宗教的な価値を誤解している人たちによる不快さを明らかにしたかった。私の目的は、一人の芸術家として、一個人としての自分の考えをツイッターというSNSで、私をフォローしている人たちと共有することだ。これも、憲法における思想と言論の自由、思想を発表し公開する自由、そして欧州人権協約(AİHS)の第10条でも保障されている表現の自由の枠内で行った。書かれたものによって公衆の平和を危険に陥れることはしていない」と述べた。
検察側は、サイ氏に関して、イスタンブル第19簡易刑事裁判所で訴訟を起こした。裁判の後同裁判所はサイ氏へ「一部の人民がもつ宗教的な価値を公然と侮辱した」罪で10か月の禁固刑を下し、判決の公開を先延ばしにする決定をした。

■最高裁の道が開けた

サイ氏は弁護士を通じて、裁判所が「判決の公開を先延ばしにする」決定に不服を申し立てた。高等裁判所は、サイ氏の不服申立てを認可した。こうしてサイ氏について再び裁判が行われることになった。最初の決定を下したイスタンブル第19簡易刑事裁判所は、最後の裁判の結果、以前下した10か月の禁固刑の判決を公開しなければならなくなった。こうしてサイ氏への決定は最高裁へ持ち越されることになった。
上告の申請を考慮した最高裁第8刑事課は、地方裁判所が下した10か月の禁固刑を多数決によって棄却した。4人の裁判員は、ファズル・サイ氏の投稿が思想と表現の自由の枠内に留まっているとし無罪放免の方向で票を投じた一方で、1人の裁判員は、この芸術家(サイ氏)がツイッターの投稿を理由に処罰される方向で票を投じた。最高裁は下した決定の理由を後日発表する。棄却の決定後、訴訟の記録書類は地方裁判所へ送られる。地方裁判所が最高裁の決定を受け入れるならば、ファズル・サイ氏を処罰せず無罪放免するだろう。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:金戸 渉 )
( 記事ID:39083 )