有権者の支持は外交政策にどのように反映されるか?
2015年11月06日付 Zaman 紙


有権者が出した最も重要な結果は、与党の背後に集まる有権者の支持の高まりだ。

この新たな状況は、トルコの外交政策にどのような結果をもたらすのだろうか。与党はこの状況を、シリアのように外交問題に関して進める戦略に対する社会的な指示として捉えるだろうか。それとも、手に入れたこの新たな支持をもとに、この分野における新しい戦略の開発へとその身を投じていくのだろうか。

トルコの外交政策には、現在2つの根本的で重大な問題がある。その内の1つがシリア危機だ。しかし、この危機の内部にはイスラム国(IŞİD)や国境警備、シリア北部で合併状態にあるクルド自治区、そして難民問題といった非常に重大な問題が含まれている。つまり、ある意味でシリア問題は一種の「他の問題の根源的」分野として捉える必要がある。

そして2つ目の重大な問題は、トルコの西欧を始めとする外交関係だ。しかし、これは単に西欧に限られたことではない。この他にも重要なアラブ諸国を始めとして、多くの非西欧国家とアンカラ政府の関係は、特にここ最近表出した問題により、良好とは言えなくなった。こうした一連の問題の下部では、新たな動きも出始めている。ロシアがシリアで新たに支持し始めた政治と、シリア、イラク、イランといった国々も参加する地域圏の形成がその1つだ。

■外交政策に対する与党の解釈

今後のトルコの外交政策の方針において、変化あるいは継続があるのか否かという問題は、上述した2つの根本的な問題に関連して実施される事柄によって明らかとなるだろう。

論理的に考えて、与党はこの新たな状況に対して異なった解釈をする可能性がある。例えば、「勝ち得たこの大きな社会的支持とともに、われわれが支持する政策を継続していく」と言う可能性もある。これに替わる解釈が次のようなものだ。「われわれが得た有権者の支持は、最も困難な外交政策の分野にでさえもわれわれに変化を生み出させる機会を与えている。」近日中には、与党がこれらの2つの解釈の内どちらにより近いのかがわかるだろう。

われわれの手元には、いくつかのデータがある。例えば、トルコはシリア問題に関してこのまま同じ道を歩み続ければ、イランやロシアといった国々との関係に変化が出てくることはないだろう。外の世界は、与党が獲得したこの大きな有権者の支持を、必ず何らかの形で評価するだろう。しかし直近においては、外の世界は選挙後のアンカラ政府が「変わるのか、変わらないのか、あるいはどれほど変わるのか」をただ観察するにとどまるだろう。

しかしながら、(外の世界には)トルコ(の今後について)をも越えるいくつかの難所が立ちはだかっている。例えばそれは、シリア問題において介入しているすべての国々が、ほぼ手詰まり状態の立場にあることだ。最も直近に行われた国際的なシリア問題に関するサミットで出された唯一の合意点が、これに対してサウジアラビアも支持したことは注目されたが、シリアの「世俗的体制を継続させること」であった。しかしこれとは別に、すべての国々が自身のシリアのスケジュールを1ミリたりともずらそうとはしない。これは断固とした政治的態度ではない。その逆で、これはシリア問題において多くの国々が、経験に基づくリスクを認識しているということだ。つまり、イランやトルコのような国々は、「われわれは望まずして、シリアに巨額の手形を支払うのだ」といった考え方をしているのである。

その他のすべての国々における外交政策が安定した状態を保っている中、トルコがシリア問題といった分野で大きな変化を生み出すことは期待できない。しかし、このことを忘れてはいけない。先日、シリア問題に関してアメリカとロシア周辺で二重の阻止政策が打ち出された。トルコは特にこの半年間で、認識できる形でアメリカを中心とする西欧ブロックに船首を向けた。ロシアの行動が増えるほどに、トルコが北大西洋条約機構(NATO)へ接近するのは避けられない。アメリカを中心とするブロックに、トルコが今後も接近し続けることが予想される。

■ロシア問題は膨らむ一方

これに関連して、危機的な状況はロシアだ。ロシアはクリミア併合の後に、シリアでの存在感を強めている。この観点から、トルコはある意味でロシアの「内陸地」という状態になっている。この先、トルコの外交政策には地政学的な意味で「新しいロシア観」というものを辞書に加える必要がある。ロシアのシリアにおける存在感は、トルコやアラブ諸国を始めとする多くの他分野に(ここにはトルコとシリアのクルド人との関係も含まれる)重大な結果をもたらすことになるだろう。(その一方で)ロシアのシリアにおける存在感が、長期間にわたる大きな戦略となりえることに関して重要なヒントもある。

■トルコの外交政策が変わらなければ…

歴史的に見て、外交政策は常にトルコの内政に影響を及ぼしてきた。トルコがここしばらく内政において抱える「重苦しさ」は、民主化の棚上げといった問題もその要因の1つとして先行している外交政策にある。もし11月1日総選挙の後、トルコの外交政策が変わらなければ、外交政策が内政にマイナスの影響を与え続けることになるだろう。トルコを先導していく人々をも越える形で、中東の政治は安全保障を中心とする状況へと変化している。この状況から、民主的な影響力を期待することは不可能だ。

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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:39111 )