難民支援予算の不透明性 
2015年11月07日付 Hurriyet 紙

シリアでの戦争から逃れ2011年以来トルコに移った難民の数は210万人となった。10県で25のキャンプが設置され、11月初頭までに26万人近いシリア人難民が避難しているとされている。
民主的な社会において国家予算の支出は透明なものだ。では、2011年から現在までに予算おける合計の難民に対する費用はどのくらいか我々は知っているだろうか?

ダヴトオール首相が2014年3月に書面による議会質問に答えたところによると、この費用は25億ドルを超えているという。この6ヶ月後、支援機構を運営する首相府災害危機管理庁(AFAD)が2014年10月に公表したシリア人権支援報告書では、支出は45億ドル(全部で45億1957万4666ドル)であると明らかにされた一方、10月20日にエルドアン大統領はこの数字を8億ドルと発表した。つまり、現在のレートで230億リラだ。では、なぜこうなったのか?集計していなかったのか?それとも交渉で費用を高く見せているのか?

どの機関が支払っているのか、何年にも渡ってどのくらい支払われたのか、難民1人あたりの支出はどうだったのか、今後の支出見込みは?これらの問いへの答えを私は探した。支出は、AFADによって行われている。

2つの主要なグループで支出が行われている。1つは難民キャンプに滞在する26万人の難民の住、食、安全、精神的・社会的支援、教育、健康といった基本的な必要事項のために行われる支出だ。もう1つは、避難センター以外で自力で暮らす180万人のシリア人の申請による治療や医薬品の費用だ。80億ドルとされる支出は、この2つのグループで行われる合計支出を含んでいるのだ。

シリア人難民に対して行われる支出の計算は2つにわけられる。1つは現金支出、もう1つはこの分野でサービスを行うために割り振られた資金源の機会費用だ。この中にはどんなものが含まれるのか?AFADはこれが「公共機関が行う支出、一時的な避難センターで働く公務員の費用、提供される教育サービスの費用、テントやコンテナの償却費用。トルコ赤新月社が行った運営費用」であると述べている。公的資金のほかに様々な機関が募金運動で得た収入、市民社会組織が行った支援、国際的な寄付もある。しかしこれは5億ドルを超えないことがわかっている。

AFADから詳細な返答は得られなかった。要約すると、「私が金を支払っています。しかしこの資金源は財務省と会計検査院が監査しています」と言っている。「それでは、この数年間でどれほど支払われましたか?」と尋ねると、答えてくれなかった。
私は財務省にも質問した。返答では、現金で行われた支出の図から、2011年から2015年10月までの間に38億リラの現金支出が行われたことを示している。この数年間による平均のドルレートと比較すると合計で18億ドルの支出が行われている。現金以外の支出の、つまりその他のサービスの同等の費用を、AFADは確定しているが、公開はしていない。
AFADも財務省も、難民一人あたりどれくらいの支出が行われているかという数字を持っていない。

繰り返すが、トルコは5年間で80億ドル規模のシリア人難民予算を負わされていると言う一方で、5年間で現金として予算から支払われた合計額は18億ドルだ。この間の62億ドルの誤差の、大雑把に言うと5億ドルは、支援と寄付で賄われているとされている。こうして残った57億ドルが、示唆されているところによると、様々な機関によって提供されるサービスの費用であるということになる。予算における公共機関の支出の部分で、これを感じさせるような区別も今まで注目を集めなかった。

57億ドル規模の費用は存在するのか?この問題の答えを私たちはしらない。しかし何よりもまず、透明性という問題を乗り越えることが必要だ。不明瞭さが残るあらゆる疑問符は、数に関するためらいを生む。

シリア人難民に行われている支出が透明な形で見ることが出来る経路であるかどうかも質問した。財務省は私にAFADのインターネットサイトを見るようにと提案した。AFADのサイトには「76億ドルの支出」と「4億1800万ドルの国際支援」という言葉以外はなにもない。ヴァン地震に対し行われたあらゆる支出の各機関によるリストを公表したAFADは、これらの私の問いに送り出した答えにおいては一切数字を発表しなかった。

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( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:39117 )