ロシア危機、どうなる?観光業
2015年11月28日付 Milliyet 紙


トルコ観光代理店組合(TÜRSAB)のバシャラン・ウルソイ組合長は、「ロシアとの関係が回復しなければ2016年の観光者数は 250万人減るだろう。この損失分は中東やイランからの観光客で補填できるだろうが、重要なのは危機を平穏に、外交によって解決することだ」と述べ た。

トルコ観光代理店組合(TÜRSAB)のバシャラン・ウルソイ組合長によれば、2015年度、観光業分野は2%のマイナスで締めくくられる。ロシアとの関係が正常化されないままであれば2016年の観光客数が5~6%減少し、年間で250万人の減少が予想されると話した。ウルソイ組合長は、「この損失を軽減させるため、ロシアから観光客を連れてくる旅客機燃油チャージへの援助を7000ドルに引き上げてもらうよう申し入れた。損失は中東諸国イランからの旅行者で補填できるだろうと期待している。また、極東や中国、インドにも目を向けている」と語った。

戦闘機撃墜事件はいまだ詳細が明らかになっていないとウルソイ組合長は語る。そして次のようにつづけた。
「軍は事件を技術的な観点から明らかにすべきであり、その後、外交ルールの枠組みに沿った問題解決が必要だ。例の飛行機がISによってハイジャックされていなかったともかぎらない。そうだった場合、あの飛行機はトルコ国内の都市に自爆攻撃をしかけようとしていたのかもしれない。それならトルコ軍を非難することなどできませんよね。ロシア領空に飛行機が一機入ったところでどうなるのか?冷静になることを勧める。エルドアン大統領とプーチン首相は外交を通じてこの問題を解決せねばならない。非常に悲しい事件ではあるが、やはり外交の枠組みにより、両国がお互いに説得し合う必要性がある。」

■包丁で切り落としたような減少率

続けて、ウルソイ組合長は、トルコは地理的に戦火に円のように取り囲まれていると語り、次のように述べた。「地中海周辺には安寧がない。唯一トルコが安寧の地であったが、我々も巻き込まれてしまった。しかし、トルコの観光を取り巻くマイナス要素に反して奇跡的な出来事も起こっている。観光者数が4000万人を超えたことだ。非常にうまくいっていた。だがアンカラやパリでのテロ発生、エジプトでのロシア機墜落、そして今回の飛行機撃墜事件による危機で最悪の状況になった。パリでの襲撃事件以降、フランス人観光客の数は包丁で切ったかのようにズバっと減り、イタリア人観光客の数も減少した。退職後の世代をターゲットにしたウィンターキャンペーンも計画していたが、この道も閉ざされた。アッラーの思し召しがなかったのだ。冬の4ヵ月間、痛みをやわらげ、お互いに傷を舐めあうことになるだろう。」

■旅客機への燃料援助

ウルソイ組合長は、文化・観光相のメヒル・ウナル大臣を訪問し、ロシアからの観光客を連れてくるチャーター機への燃料援助を6000ドルから7000ドルに引き上げ、2016年末までに延長してもらえるよう要望を伝えたとことも明らかにした。同組合長は、「妥当性を判断したうえで、できれば要望を通していただきたい。この奨励策の廃止は我々に対する適切な対応ではない。ロシアの友人たちを私たちは歓迎している。ここは落ち着いて休暇を過ごせる場所だ。どうか来てほしい。ドイツに関しては、ネガティブな損失を感じていない。また、我々にとっては、金を使い、観光し、楽しんでくれるロシア人のほうがありがたい。トルコはロシア人にとっても安心して観光に来られる国だ」と語った。

■ソチが選択肢に

今回の危機が平静化しないうちは、ロシア市民が国内旅行に向けられる可能性もあるとウルソイ組合長は語る。「ロシアに非常に素晴らしい観光地がある。特にソチはパーフェクトな場所だ。ロシアが「国内市場を喚起する」と言い、自国民に対して割引を行おうものなら当然ロシア人はそちらに行くだろう。そうなればクミリアとソチが彼らを受け入れるだろう」と話した。
ロシアとは、歴史、交易、文化的な共通点のほかにも、社会的な面でも共通の価値観をもっているとウルソイ組合長は強調した。曰く、「お互いの国に嫁いでいった娘たちがいた。そこで家族をなし、現在では、そういった家庭が最低でも30万戸はある。そして彼らが結婚し、たくさんの子供が生まれ、新しい世代が生まれている。決して少ない人数ではない」と続けた。

■ロシアはビザ協定を停止

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、トルコーロシア間でビザなしでの行き来を可能にしている協定を1月1日以降、停止することを一方的に明らかにした。ラ ブロフ外相は、モスクワでシリアのワリード・アル=ムアッリム外相と会談した後、共同記者会見で、「トルコーロシア間のフリービザ協定を2016年1月1 日以降停止する」と述べた。ロシアは、フリービザ協定の停止はロシアとロシア国民の安全に関わるものであると明らかにしている。

■「旅行の自由に反する決定」

ウルソイ組合長は、ロシアが再びトルコにビザを課したことに対し、以下のように考えを述べた。
「ビザを強固に義務づけ、誰もが自国内でのみ旅行するようになれば、テロリストの往来の自由を奪う行為を受けいれたということになる。そのために、「おまえはこっちにくるな、西のほうにいるムスリムは全員テロリストだと考えている」というのなら、イスラムフォビアと呼ばざるをえない。ムスリム諸国のほうも文明を受け入れるべきである。」

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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:39278 )