Taha Akyol コラム:ロシアの新ツァー、プーチン
2015年12月04日付 Milliyet 紙

(ロシアの)プーチン大統領を「新しいツァー」とするのは、私の専売特許ではない。ツァーたち、そしてソビエト帝国に倣っているため、彼自身こう呼ばれている。スティーブン・リー・メイヤースの「新しいツァー、プーチンの興隆と統治」という本はこのテーマにおける重要な作品だ。

私はニューヨーク・タイムズ紙の紹介文を読んだ。プーチンが、ソビエトとKGBにルーツを持つことは知られている。彼がつくったシステムの権威的構造と、ソビエト帝国への執着は明らかだ。本では、プーチンが病的なまでに「力の誇示する」ことへ執着する様がとてもよく説明されている。

柔道の試合で彼本人がとても強いことを示している。ソビエト帝国を「大ロシア」として復活させようとつとめることで、どれほど大きな力のトップに立っているのかを誇示している。

■プーチンの2つの暗号

プーチンに関する全ての分析で、特に二つの話に注目している。
一つは、「ソビエト連邦の崩壊は、20世紀の最も大きな悲劇である」という言葉…。

もう一つは、誰も彼のことを知らないインテリジェンスの一員である際、突然首相候補として表舞台に現れた際に、1999年8月にロシア国会で行った以下の演説がある。

「ロシアは何世紀にもわたって大きなパワーであり、今後もそう有り続けるだろう。ロシアは、旧ソビエト領でも、他の地でも合法的に利益を手にし、現在もそうである。この点で、今後も後退はない。」

この言葉はプーチンを、プーチニズムを明らかにした発言である。
ソビエト体制が1989年に崩壊した時、多くの人は新しいロシアが大きいが「ふつうの国」となるだろうという希望にとらわれた。しかし、プーチンはこれを覆した。

■帝政

有名な戦略家のズビグネフ・ブレジンスキ氏は、未だ1999年のようなロシアが重大な危機の中でもがいていた時期に、このような希望を持つのは時期尚早と説明していた。

なぜなら、ツァーの絶対主義的伝統、共産主義の組織的全体主義に由来するメンバーから「普通の国家」の誕生を期待するのは楽観的すぎたからだ。

こうした伝統ならび構造がもつ特徴は、「権威、過度のヒエラルキー」と「膨張主義」である。プーチン政治もこうだ。

オバマ大統領の、ずっと以前ではなく、6か月前の以下の言葉は、外交的論争というよりもっと、物的事実と学術的調査による事実を反映している。

「プーチンは、ソビエト帝国の栄光を取り戻そうとして、ロシア経済を犠牲にしている。」(2015年6月)

プーチニズムは体制として「強化された権威主義」である。「膨張」政治も明白に現れている。グルジア、ウクライナ、そしてクリミア戦争…。

現在はシリア戦争…。そして、「新しい冷戦」の標的として、トルコを選んだ!

■西側へ挑戦している

プーチン・ロシアの力は西側に及ばない。東ヨーロッパはすでにNATOとEUの中にある。ウクライナとクリミアが原因で西側の厳しい経済制裁にさらされ、深刻な被害を受けた。

オバマ大統領が「プーチンはロシア経済を犠牲にしている」と言ったのは、このためである。

ロシアは、軍事技術の他、大いに天然資源によって大きな経済を築いている。権力にとらわれているプーチンは、こうした状況にあって、力を誇示する場所として、「イスラム国」を口実にシリアに入った。シリアはもはやプーチンの東地中海の手である。

NATOとEUに対し「力を誇示」を「一翼のトルコ」を通じて行っている。

ソビエト的プロパガンダ手法を用いてトルコをテロ支援国家として非難しようとしている。

西側諸国はこの構図をよく見るべきだ。

プーチニズムの帝国と力に執着する[政策]は、トルコを通して実際は西側へ挑戦している。トルコと西側諸国、つまりアメリカ、EU、NATOの間で関係が強化されるべきであり、西側世界は、プーチニズムのこの挑戦に対し、トルコを全力で支援するべきである。

トルコは西側世界の一部である。

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( 翻訳者:矢加部真怜 )
( 記事ID:39312 )