登録数3686、実数40万!ーシリア難民労働者、もはや定着
2015年12月08日付 Hurriyet 紙


トルコは、世界で最も大きな人道的な危機の最中にある。共和国が創立された1923年から今日まで引き取った移民の総数は200万人であるが、今日220万人のシリア人を抱えている。しかし、(移民の)実数ははっきりとせず、(彼らが)働いているか働いてないのかも(はっきりとしない)。トルコ経団連(TISK)はもはやシリア人たちが永続的に残るという現実に備え、(彼らの)経済に対する影響を研究した。 ハジェテペ大学移民・政治研究センター(HÜGO)の協力により行われた研究の結果は(我々を)怯えさせるようなものであった。まず、シリア人の54%は 18歳未満であり、3686人が(雇用の)登録を受けて働いている。そして、大部分が子どもである40万人のシリア人は、未登録で低賃金かつ不健康な条件で雇用されているのだ。

このため、子供たちが未就学の状態で放置されていると同時に、トルコのシリア人の教育状況は悪いものであり、労働力の観点からも価値が見いだせないのである。シリア人はトルコの労働市場で失業と未登録の圧力を高める一方、子供の労働問題も拡大している。そして、シリア人によって作られた企業のほとんどすべてが登録を受けていない。

5か月間のフィールドワークをもとに、シリア人たちが最も多くいる18県で、経済に通じる134人と行った面談によって準備された報告書が、昨日発表された。報告書は、公的整備が恒久的という現実に従って、変更が必要だと強調している。報告書によると、トルコには220~250万人のシリア人がおり、15万人の子供がトルコで生まれ、18歳未満のシリア人の数は120万人だ。今後5年間でシリア人の数が350万人を超える可能性はかなり高い。60万人の就学年齢期の子供のうち15~20%だけが教育を受けている一方、シリア人の90%はキャンプの外で暮らしている。登録を受けずに働くシリア人は、トルコ人労働者の3分の1の賃金を認めているのは注意を引く。

■働かせないで!

研究を進めたHÜGOのムラト・エルドアン所長は、登録を受けずに働くシリア人の数に関する質問に答え、アンテプだけでも約15万人、全体では約40 万人いると推測していると述べた。エルドアン所長が提供した情報によると、「一時的に保護下にあるシリア人」の働く権利に関し整備がなされていないことから、未登録の経済、登録なしの雇用が非常に盛んとなっている。特に季節労働者を初めとして、農業、建設業、繊維業、製造業で集中的な動きがある。加えて、「子供の労働」の問題も再び議題に上った。

低賃金労働のために職を失った、あるいは失うリスクを孕んでいるトルコ人の数と彼らの不安は大きくなっている。そのため研究は、シリア人が働くことに対して許可を与える必要はないと考えている人々の割合が、シリア人が集中している地域で44%、他の県では48%であると示している。エルドアン所長はトルコでの10%を超える失業率がこうした結果に由来していると注目する一方、公的支援と産業界の協力で雇用を確保すれば、この結果を変え得ると強調した。

■畜産業に10万人の雇用

報告書では畜産業部門がシリア人の雇用に関し意欲的であることが明らかにされる中、次のように続けられている。「4万4000頭のヒツジ・ヤギ類、1万4000頭の牛類の動物たちがいる中、動物たちを管理する人材には深刻な不足がある。この点で約10万人の雇用の可能性がシリア人を念頭に計画されている。食産業及び製造業もシリア人たちの雇用に注目している。」

■雇用のために奨励される条件

報告書の結果によると、シリア人の中に手に職を持っている人の割合はかなり低い。大学を卒業した人の数は約3万5000人である。この低い数字は、シリア人が教育や価値の点で直面する問題を表している。シリア人の雇用が政府主導で行われているのは産業界の要請(によるもの)だ。産業界はシリア人を「外国人」の状態で働かせることが生み出す追加のコストについて国家の援助を要請している。

■登録され、制限された措置での雇用

ヤウズ・エユボール経団連会長は、シリア難民が安価な労働力となっていることで、(シリア難民が)集中的にみられる地域で、賃金レベルの低下やトルコ人労働者の失業といった悪い側面が見られることに注目し、登録を受けている職場や企業にとっても不当な競争が生じていると強調した。エユボール会長は産業界が労働権に関する整備を要求していると指摘する一方、シリア難民の職業的な能力の点で、一部の地域や分野で、雇用の制限措置を採ることが適切であろうと明らかにした。また同氏は、シリア人について十分かつ正確なデータがないことが正しい政策の実行を妨げているとし、調査は省庁と協力して実施する必要であると述べた。エユボール氏は政府とNGOが共通の議論の場を作り、実行プランを準備する必要があると述べた。

■産業界は何を欲しているのか?

・シリア人の登録システムは見直されるべきであり、その価値を詳細に示し出すべきだ。このようにして潜在的な労働領域が決定されうるのだ。

・包括的かつ統一的な計画の中で雇用環境が創出されなければ、シリア人がトルコ経済を破壊する可能性は非常に高い。

・政府のパフォーマンスを評価する際、(雇用)登録や定着により法的かつ行政的な整備が迅速に実行されるよう求めている。

・シリア人が既存の条件で雇用されるには、部門的、地域的な分析が行われ、また労働権における不透明さを取り除くことが必要である。

■デニズリ、アンテプに不快感

シリア人が集中的に住むガーズィアンテプで、登録を受けずに繊維業に雇用されていることに、デニズリの繊維業者は不快感を示している。デニズリの小売業者や実業 家は、伝統的に競い合っていたガーズィアンテプがシリア人のおかげで低コストのチャンスをつかみ、もはや自分たちがガーズィアンテプと競争することが出来ないと述べている。

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( 翻訳者:成田健司 )
( 記事ID:39337 )