ロシア、アックユ原子力発電所建設を中断?
2015年12月09日付 Radikal 紙

ロシア軍機撃墜事件を受け、ロシアがトルコに対して発動した経済制裁はエネルギー部門にまで拡大した。ロイター通信によれば、ロシア国営ロスアトムはアックユの原子力発電建設を中止させた。一方、ロシアのインターファクス通信はロシア関係者が、この話を否定していることを明らかにした。

トルコが二週間前にシリア国境でトルコ領空を侵犯したロシア軍機を撃墜させたことを受け、ロシア国営ロスアトムは、設立したアックユNGSのメル スィン・アックユ原発計画の建設を中止させた。
事情に詳しい当局者はロイター通信に対し、二カ国間の協定に多大な補償支払いの取り決めがあるため、ロシアは協定を破棄することを避けていると話した。
一方、ロシアのインターファクス通信のインタビューを受けたロシア当局者は、プロジェクトは計画通りに進んでおり、中断などはありえないと主張した。またインターファクス通信はロスアトムがこれに関する説明を拒否したことを明らかにした。
アックユ原子力株式会社もこれに関する説明を避けた。
エネルギー省関係者もCNNトルコのインタビューに対し、「アックユ原子力発電所やロシア政府による当省への正式な通告はなされていない」と話した。
トルコ・ロシア間の協定によれば、ロシアは合計4800MWの発電能力を持つ4つのユニットからなるアックユ原子力発電所に200億ドルを投資する予定であり、この原発はトルコ初の原子力発電所となることが見込まれていた。
ロイター通信が「事情を知る当局者」とする情報提供者は「ロシア軍機撃墜後、計画は不透明になった。しかしロシアの会社はこの計画に現在までに約35億ドルの投資を行っている。協定の取り決めで片方が協定を破棄する場合には多額の補償金を支払うという条件が定まっている。そのため現在、ロシアは協定破棄に 踏み出せないでいる」と述べた。

ロシア機撃墜事件以降、トルコとロシアの間で、激しい非難合戦が続く中、ロシアはトルコ・ストリーム天然ガスプロジェクトを中断した。

さらにロシアは1月1日よりトルコに対する経済制裁を発動することを発表した。関係者は「計画の見通しが立っていないため、現場は動けないでいる。多額の補償金の支払いは協定破棄を踏みとどまらせる大きな要因だ」と述べた。
当局者らは協定の破棄に関する取り決めの補償額に関しては一切情報を漏らさなかった。

◼過去に特別な検討が行われたことはない

ロシア政府のドミトリー・ペスコブ報道官は「事件後、近いうちに必ず諸計画に関する調査が行われる」と話す一方、アックユ原発計画に関しては特別な検討を行わない意向を表明した。
当局者は計画の見通しが立っておらず、今後予想されている遅れがさらに長引く可能性があるとし、「この危機的状況がいつまで続くか分からない。ロシアが計画から撤退する可能性もあるが、2022年に発電所を稼働させるのはもはや一筋縄ではいかないだろう」と述べた。
アリ・ルザ・アラボユンエネルギー相は11月中旬にアンタルヤで開かれたG20サミットで、ロイター通信の質問に対して、エルドアン大統領とプーチン大統領が行った会談ではアックユ原発建設に関する決意が双方から明らかにされており、原発を2022年に稼働させることを想定していると答えた。当局者は「ロシアが計画を中止すれば、他の選択肢が検討される。この計画に手を上げる、先進国も他にある」としており、「トルコで三番目となる原子力発電所のための取り組みは続いている。この状況が、この問題に関して強い態度に出ているロシアを選択肢から遠ざけているのは間違いない」と話した。ロシア当局者はジハン・ ハベル通信のインタビューに対し、計画に関する報道は誤りだと説明した。また計画を請け負うロスアトムが設立したアックユNGSの関係者は、計画が進んでおり、中止されることはないとの見解を示した。

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( 翻訳者:星井菜月 )
( 記事ID:39351 )