ディヤルバクル県スル攻防で歴史遺産破壊―PKK、モスクを焼く
2015年12月08日付 Milliyet 紙


ディヤールバクル県スル郡にある、歴史的なモスク、クルシュンル・モスクでトルコ軍とテロリストとの間で起こった激しい戦闘の際、火災が起きた。県当局の発表ではテロリストらがモスク内で放火したという。

スル郡でのトルコ軍とPKKグループの間で続く攻防戦において、ディヤールバクルのユネスコ遺産リストに登録されており、500年の歴史を持つクルシュンル・モスクが火災に見舞われた。熾烈な攻防戦の為、火事に消防チームは出動できず、火事は自然に鎮火したもののモスクのオリジナルの門と鎧戸が焼けたと発表された。モスクの庭とトイレ部分がPKKグループによってトルコ軍との戦闘時に前線基地として用いられていたという。

ディヤールバクル弁護士会会長のターヒル・エルチ氏が頭部に銃弾を受け、命を落としスル郡では、(その事件以来)戦闘が続いており、激化の一途を辿っている。ミッリイェト紙が入手した情報によると、エルチ氏の死亡事故の後に司法・行政調査による事件現場の捜査が始まったが、テロリストらが攻撃してくるため、その作業は完了していない。そしてこの戦闘中に郡内のファティーフパシャ・モスク(クルシュンル・モスク)で火災が起きたとのことである。

■山岳ゲリラが下山

この郡では、PKKは塹壕を掘り、トルコ軍と交戦している。そしてこの郡唯一のモスクであり、中央モスクの位置づけにあるクルシュンル・モスクの庭はしばしば、PKKの武器や弾薬の貯蔵庫となっており、このため、モスクでの礼拝が中止されていたという。
また、戦闘において、モスクの周辺やスル郡の様々な地区では、壁と壁が接する形で建てられている家々の壁に穴があけられ、家から家へと通行できる様になっていることがわかった。
地元の情報筋によると、スル郡にはおよそ80~100人のPKKメンバーがいると推測されている。また、同筋によると、グループ内にYDG-Hのテロリストだけでなく、PKK組織の山岳メンバーからもテロリスト達が参加しているという。山岳メンバーから戦闘に加わっているものの中には二人の組織幹部がいると言われ、彼らが現在、ディヤルバクルPKK組織が主に集結しているスル郡内の武装PKKメンバーを統率し、活動の指揮を取っていることが判明している。
ディヤールバクル県当局によると、歴史的なモスクでの火事はテロリストによって起こされたという。この発表によると、過去のテロ事件のため、モスクの北口の側とオリジナルの門、建具、そして周囲の壁がかなりの割合で損傷を受けており、ワクフ(総局の)地方支所が歴史遺産であるこのモスクを修補するために調査計画を準備していたという。
しかし、この地域ではトルコ軍が塹壕を封鎖し、バリケードを撤去するための作戦を展開しており、この作戦を妨害する目的で昨日午前9時20分頃、テロ組織メンバーによってモスク内で火災が起こされ、モスクのオリジナルの門と鎧戸が燃え、壁が被害を受けたという情報が入ったと述べられている。発表によると、「分離主義テロ組織による塹壕とバリケードによって通路が封鎖され、攻撃が続けられているため、消防局とトルコ軍による消火は不可能であったが、16時頃に火事は自然鎮火した。地域の安全を確保した後に必要な作業が行われる予定である」という。

■消防チームは消化活動できず

スル郡の六つの地区、一つの大通り、そしてダーカプ広場での外出禁止令が続く中、軍事作戦により時々戦闘が激しさを増している。外出禁止令がだされている六つの地区の一つであるファティーフパシャ地区のクルシュンル・モスクで起きた火事は10時頃に消防に通報された。消防チームはモスクのある地域に出動したが、戦闘が続いていたため、撤退せざるを得なかった。ディヤルバクル広域市の当局者によると、クルシュンル・モスクのほか、同じく歴史的価値を持つパシャ・ハマム、また2軒の家についても火事の通報があったが、戦闘が継続しているため消防チームは活動できなかったいう。
また、DSIのブルトーザーがクルシュンル・モスク付近の塹壕を埋める作業をしていたが、その最中に戦闘が始まると、運転手はブルトーザーを放置し逃げた。

■モスクから攻撃

クルシュンル・モスクは1516~20年ごろ、ディヤールバクル知事を務めていたブユクル・メフメト・パシャによって建てられた。「クルシュンル」とはドームが鉛でコーティングされていたことから「鉛の」という意味である。ディヤールバクルで初のオスマン朝時代の遺跡であるこのモスクに以前、テロリストが小銃で攻撃した。この攻撃でモスクの門、壁、ガラスが被害を受けた。
歴史的モスクである、ファティーフパシャ・モスク、アラプ・シェイフ・モスク、ハジュ・ハミト・モスク、そしてハスルル・モスクとアルメニア・カトリックやアルメニア・プロテスタントの教会の周辺にはテロリストによって作られた塹壕とバリケードがあり、そこにはか多数の爆発物が仕掛けられていた。ファティーフパシャアルメニア・の中からPKKメンバーが土曜日、攻撃した結果、特別機動隊部隊局で任務中の警察官ムスタファ・カトゥルル氏が重傷を負い、病院での治療もむなしく殉職した。

■路上で待ち伏せ

ディヤールバクル県スル郡でテロリストがトルコ軍に対して武装攻撃したのがヘリコプターから撮影された。
アナトリア通信が入手した映像によると、裏通りでライフル銃で攻撃するPKKに対する軍事作戦の瞬間が映っている。空(ヘリコプター)からの援護を受けて行われた軍事作戦では、ヘリコプターから撮影されたサーマルカメラの映像によると、小人数で移動し、交差点に陣をはりトルコ軍に待ち伏せをしようとしていたテロリストたちが、警察官チームにむけ、ライフル銃で攻撃していた。
映像では15人のテロリスト部隊が裏通りを手に武器をもってうろつき、トルコ軍に待伏せしようといているのがわかる。映像では、追い詰められたテロリストたちが時折家々へ逃げ込んでいるのが見える。作戦が継続する間、地域の一部の市民が、家の屋根に上っているのが分かる。

■ギョルメズ宗務庁長官、「決して許容できない」

宗務庁長官メフメト・ギョルメズ氏はTwitterアカウントからファティーフパシャ・モスクに行われたテロ攻撃を非難した。ギョルメズ氏は「この攻撃はモスクの神聖さに向けてなされた攻撃であり、決して許容することはできない」と表明した。

■警察にバズーカで攻撃、四人負傷。

ディヤールバクル県スル郡でトルコ軍が実行した作戦で昨晩、移動中の警察装甲車にPKKメンバーによるバズーカ攻撃があった。ロケット弾が命中した装甲車に乗っていた警察官のうち、一人が重症、四人が負傷した。警察が応戦して戦闘が起こり、そのため救急車が戦闘地域にしばらく入ることが出来なかった。警察官のうち三人はパトカーで病院に運ばれたが、救急車は負傷した警察官を収容するために長時間の待機を余儀なくされた。

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( 翻訳者:市野太音  )
( 記事ID:39378 )