Serkan Demirtasコラム:クルド問題解決のない憲法改正は、無意味
2016年01月06日付 Radikal 紙

人民の民主主義党(HDP)を除く三政党が憲法改正について合意に至ったことは、重要で有意義である。
新憲法は、社会の合意のもとで制定されるべきであることに異議を唱える者はいないだろう。
コンセンサス形成のためには、社会的平和がもたらされること、つまりクルド問題の解決へ向けた取り組みが必要である。


アフメト・ダヴトオール首相は、先週ケマル・クルチダルオール共和人民党(CHP)党首と、今週月曜日にはデヴレト・バフチェリ民族主義者行動党(MHP)党首と会談を行ない、以下の三点について合意に至った。
国会に憲法改正のための委員会を設立し、滞っていた新憲法案の作成を再開すること、
内規を改正し議会の影響力を強化すること、
成立が急がれるEU調整法を国会で可決すること。

今日も国会の動きが注目される。ダヴトオール首相は今日、野党党首らとの会談結果をイスマイル・カフラマン国会議長に報告し、憲法改正のための委員会の設立に向け各党の合意が得られるよう協力を要請する予定である。

これを受けてカフラマン議長が前向きな返答をし、国会に議席を持つ四政党に委員会への参加を呼びかけることが期待される。
ダヴトオール首相は以前行なった会見で、新憲法案の作成は6ヶ月間ほどで完了する見込みである、委員会の活動期間は定まっていない、と述べている。

つまり公正発展党(AKP)の計画では、2016年内に新憲法案の作成を完了し国民投票に付す。
トルコ‐EU関係において大きな成果が期待される今年、憲法改正はトルコとその民主主義にとって有意義な前進となるだろう。

■二つの基本的な問題

しかし憲法改正には基本的な問題が二つ存在する。
一つは大統領制に対するAKPの固執、もう一つは未解決のクルド問題とその一層の深刻化である。

大統領制は、トルコにおいて近頃頻繁に議論されるテーマである。
もちろん政治体制の改変に対し、どの政党にも提案や各々の主張があるだろう。
しかしここで最も注意を要することは、大統領制に関する固執が憲法改正のプロセスを妨げないこと、つまり憲法が大統領制の犠牲とならないことである。

昨日の党派会議でダヴトオール首相が強調したことは、まさにこの懸念と関連している。
ダヴトオール首相は、新憲法の制定は「精神」と「骨格」の二つの土台をもとに行なわれるべきであるとし、
人間の尊厳の尊重が新憲法の「精神」部分を成し、骨格つまり政治体制もそれにふさわしい形で形成されるべきであると述べた。
骨格とは、明確に言うと大統領制のことである。

これに対し各野党は議院内閣制の強化に対する理解を主張し、新憲法作成に向けた交渉がいずれどのように行き詰まるかということをある意味で明らかにした。

■暴力の中でいかに憲法を改正するか?

新憲法制定の過程において、大統領制の議論よりも重要なことは、クルド問題の現状である。
新憲法の制定の過程には、クルド問題の未解決により―暴力や不安定とともに―生じた二つの基本的な問題が存在する。
一つ目は社会的な合意が形成できなくなったこと、
二つ目はHDPが政治活動の基盤を失い政治から外れる危険。

憲法とは、概念および機能として、一つの社会が至る最高レベルの合意と言えよう。
社会的コンセンサス形成のためには、社会的平和や政治参加に対する全成員の要求を満たす必要がある。

クルド問題の現状を見ると、社会的平和の要求を満たすにはほど遠い。
政治的には、クルド社会の最たる代表者であるHDPに圧力がかけられ、政治参加の要求を満たす上で大きな問題となっている。
セラハッティン・デミルタシュHDP共同党首は、現在の条件下ではHDPへの呼びかけに対し前向きな返答はできないであろうという旨の発言をし、まさにこの問題を浮き彫りにしている。

新憲法は、トルコが最も必要とするものの一つである。
しかしその内容と同じくらい、どのように制定されたか、社会的合意がどれほど優先されたかということも重要となる。
トルコ南東部の多くの県や郡でテロとそれに対する防衛が暴力を生み、クルド問題が解決からますます遠ざかりつつある中、
国会で始まる憲法改正のプロセスがどれほど有意義であるか、どれほどの成果をもたらすかという問いは、これからも重要であり続けるように思われる。
憲法改正のプロセスにおいて与党やHDPをはじめとする全政党に非常に重い責任が課されることは明白である。

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( 翻訳者:篁 日向子 )
( 記事ID:39565 )