アレヴィー・政府会合で「タリーカ復活」の疑念
2016年01月26日付 Cumhuriyet 紙


アレヴィーの代表者を招いて開かれた政府会合で、政府側が「イルファーン(訳注:イスラムの神秘主義思想)の家」について言及したことを受け、アレヴィー系諸団体の間では「タリーカ(神秘主義教団)の法的認可が進められるのではないか」という不安が広がった。

法務省が主催し、アレヴィーの代表者が出席した「ジェムエヴィ」会合は、「伝統的イルファーンの場」という表現を巡り、早くも暗礁に乗り上げた。「『イルファーンの家』とは何を指しているのか」というアレヴィーの代表者に対し、法務省の担当者は「その他タリーカの活動場所」を示唆した。このことは、ジェムエヴィに関する議論を通じてタリーカの活動場所が合法化されるのではないかという疑念を生んだ。

アレヴィー系諸団体の代表者たちは「あなた方がアレヴィーを通じて共和国と取引するつもりなのであれば、我々はこれを決して許さない」とした。また、アレヴィー・ベクタシー連盟(ABF)のバーキー・デュズギュン理事長とピール・スルタン・アブダル文化協会(PSAKD)のガニー・カプラン会長は、運営のあり方を批判し、昨日の会合を欠席した。

公正発展党が選挙公約と政府の方針として掲げている「伝統的イルファーンの家及びジェムエヴィ」に関して法務省は取り組みを開始し、法的土台を構成するための作業部会を設置した。作業部会は、アレヴィー市民社会団体を傘下に持ついくつかの上位組織及び有力者を集め、別々の会合を5回にわたって開催 する。会合では問題に関する意見及び提案が集められ、その後法案が準備される予定だ。初回の会合は、アンカラのハーキムエヴィで昨日開始された。

■イルファーンの家

(ハジュ・ベクタシュ・ヴェリ・アナトリア・文化財団の)エルジャン・ゲチメズ理事長は、同会合についてコメントした。彼らは2週間前、「アレヴィーの諸問題及び解決の提案」というレポートをアフメト・ダウトオール首相に提出した。彼らは同レポートを首相府の委員会でも発表し、首相本人に対して「ジェム エヴィのあり方は、アレヴィー自身が決めることだ」と伝えたという。
彼によると、これに対して昨日の会合で現れたのが「イルファーンの家」問題だという。「『イルファーンの家』が何を指しているのか、法務省からの説明は なかったのですか」という質問に対し、ゲチメズ理事長は「その他のタリーカを想定しているとのことだが、詳しいことについては明らかにしなかった」と述べ た。

■聞いたこともない

会合を欠席したABFのバーキー・デュズギュン理事長とPSAKDのガニー・カプラン会長は、その理由についてジュムフリイェト紙に説明した。カプラン 会長は「このような重要な会合に際しては事前準備が必要だ」とした上で、次のように話した。「話し合いに関する資料が何も渡されていない。ジェムエヴィに 対してどんな地位を付与しようというのだ。渡されたのは一枚の招待状だけだ。ここには『伝統的なイルファーンの家に対する法的地位の付与及びこれらにおける支出への補助に関する法改正』とだけ書かれている。これで一体、私にどんな用意をしてこいというのだ。」
カプラン会長はまた、「イルファーンの家」という用語について、アレヴィーたちの用語ではないことを強調し、「我々は聞いたこともない」とした。

■冗談のようだ

デュズギュン理事長も、「この会合は、アレヴィーたちの要求に耳を傾けるものではない。むしろアレヴィーを愚弄するものだ。話し合いなどというものは端から存在しない」と話した。同理事長は、会合の運営のやり方に問題があることを特に強調する。「アレヴィー団体を一堂に集めるのではなく、個別に呼び集めている。また首相もしくは法務相の代わりに、政務次官補佐が会合を開いていることも問題だ。ここで責任を果たすべきなのは官僚ではなく政治家だ。ジェムエヴィはアレヴィーの信仰の場である、その一言でことは終わるというのに。」

法務省は、一連の取り組みの一環として、ジェム財団の関係者とも別に会合を開いた。

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( 翻訳者:今城尚彦 )
( 記事ID:39733 )