CHPは、議員特権廃止法案になぜ賛成に回ったのか?
2016年05月21日付 Hurriyet 紙

現在、訴えられている国会議員の特権を、まとめて撤廃する憲法改正案の第2回目の投票において共和人民党(CHP)が驚くべき行動に出た。

第1回目の投票では『反対』に回ったCHPが、実質的に最後の投票になる第2回目の投票で賛成に回り、この改正案が強制的に国民投票にかけられる危険を避けることに貢献した。これには、クルチダルオールCHP党首が国民投票によって形成されうる勢力図の変化を避けようとしたこと、そして20名のCHP所属議員に『賛成』票を投じるよう望んだことが影響した。クルチダルオール党首は、賛成票を投じたCHP所属議員らを「(この改正によって)私が刑務所へ入れられることもありうるし、私の政治生命も終わるかもしれない。しかし、(賛成に回ることは)国民投票の危険が引き起こす暗黒の未来像が描かれないようにするために質するのだ」という言葉で説得したと伝えられた。

■330票以下には落ちない

ヒュッリイェト紙がCHP関係者から得た情報によると、トルコ大国民議会(TBMM)で昨日の午前中から始まった最後の投票を前に、クルチダルオール党首やその他関係者らは以下のような検討を重ねていたという。

1)最初の投票では、公正発展党(AKP)と民族主義者行動党(MHP)が賛成を示していることにより、『賛成』票は330票以下に落ちることはないことがわかった。

2)『賛成』票が330から367票の間となった場合、それは『国民投票にかけなければならない』という意味になる。CHPが賛成しなくても330票は越えるので、AKPとMHPは、国民投票は避けられないという態度に出るだろう。その場合、この議員特権をめぐる国民投票を前にそれぞれのサイドが打ち出す一手は、高い緊張状態の中にいるトルコをより苦痛な日々へとシフトさせる可能性がある。

3)またそれ以外の側面としては、議員特権をめぐる国民投票が必須事項となれば、大統領が待ち望んでいる『政党所属の大統領』という制度を含んだ憲法改正案も同時に国民投票にかけられる可能性もある。MHPはこの政党所属の大統領という制度に関しても、AKPを支持する可能性があり、その場合必然的に2つの国民投票が議題にのぼることになるだろう。政党所属の大統領という制度は、同列上にある議員特権廃止をめぐる国民投票から追い風を受ける可能性がある。

4)この議論の間、AKPの憲法改正案が『全体をまとめて』という形で審議されていることが、多くの誤りを改正案の中に含ませることになっていること、さらには憲法に反することが、AKPの議員も含めた多くの人々によって認められた。いまやこれらを指し示すという目的が生じた。

■トルコの未来

入手された情報によると、CHPのケマル・クルチダルオール党首も上記の4つの根拠を並べ、20名のCHP所属国会議員らと連絡を取り合った。そして「賛成票を投じることでこのゲームを打ち壊すのだ」と伝えたという。またクルチダルオール党首は、彼への支持を表明した議員らに以下のように伝えたことがわかった。「君たちが投じる『賛成票』の意味は、次のようなことだ。議員特権は廃止されるだろう。廃止されれば私やその他のCHP所属議員らが逮捕される可能性がある。そしておそらく1年以上の刑罰を受けることになり、今後の政治生活を絶たれることになるだろう。しかし、AKPの『国民投票』という賭けは、国の未来を暗いものにする結果を招くことになるだろう。トルコの未来のため、私自身の政治家としての未来を危機にさらしていることはわかっている。」

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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:40526 )