政府施政方針へのアレヴィー問題不記載へ、アレヴィー団体反発
2016年05月28日付 Cumhuriyet 紙

政府の施策方針内にアレヴィー問題が記載されなかったことに対するアレヴィー団体からの反発は、「驚くべきことではなかった!大統領制の改変に向けて、二極化の継続が必要だ」という見方となった。

アフメト・ダヴトオール前首相が発表した政府施策方針内では記載されていた「伝統的な信仰の継承の場とジェム・エヴィへの法的地位の付与」という文言が、ビナリ・ユルドゥルム首相率いる新体制下での施策方針から削除されたことを受け、アレヴィー団体は不快感を示した。アレヴィー問題に関して何度もダヴトオール前首相と会談を重ねてきたアレヴィー団体の代表者らは、今回の状況を批判した。

ヒュスニイェ・タクマズ氏(カラアーチ・デルギャーフ会長):「私たちはアレヴィーとして、ダヴトオール前首相がこの問題を解決することはできないとわかっていた。ダヴトオール前首相は楽観的にこの問題を捉えていた。『必ずこの問題は解決される』と言っていた。私たちは、この問題が非常に難しいものであること、そして大統領や宗務庁がこちら側に気持ちを傾けることはないだろうと話していた。そして今回のプロセスで、私たちの意見が正しかったことがわかった。自分たちのように考えない、信仰しない、生活しない集団に対して、積極的にアプローチされることはなく、権利も付与されず、これらの集団は見て見ぬ振りをされ、無いものとされることがわかった。エルドアン体制は今後のプロセスにおいて、アレヴィーだけでなくあらゆる民族や信仰の観点からいかなる団体とも和解することはなく、民主的な要求をことごとく退けていくであろうことがはっきりと示された。スンナ派の人々は、この構造をしっかりと捉え、これに反発しなければならない。スンナ派の組織構造がアレヴィーの要求を実現させるために何か発言するといったことを、今まで私たちは一度も目にしたことがない。これは大きな痛みだ。」

ルザ・エロル氏(アレヴィー協会連合理事長):「この国の統治手法には不満がある。アレヴィーをこれほどまでに無きものとすること、二級市民として捉えること、差別すること、そして過小評価することは、いかなる政府にも権限として与えられるものではない。私たちは、市民権や平和で平穏な暮らし、そして自由な信仰を待ち望んでいる。誰もが私たちを尋問することなどない生活を望んでいるのだ。政権の座に残るためにアレヴィーやスンナ派、トルコ人やクルド人の側に寄り添うことを望まない人間は、それらすべてを分裂させているのだ。」

■二極化

フェヴズィ・ギュムシュ氏(ピール・スルタン・アブダル文化協会並びにアレヴィーベクタシ連盟理事長):「公正発展党(AKP)は、アレヴィー問題に対して不誠実だ。民主主義や人権という観点からこの問題を解決することに責任感を抱いていない。この14年間、ジェム・エヴィ問題に対する進展はまるで見られなかった。このため、新政府の施策方針で行われた変更に対して驚くべきではない。テロや大統領制の改変を始めとする2つの主要なテーマが目標とされている。大統領制の改変に向けて、二極化の継続が必要だ。この制度のために行われる進展では、スンナ派を満足させること、そしてアレヴィーと距離を置くことが必要だ。(アレヴィー問題は)国内を貫く緊張状態の過程の中で後回しにされる可能性もある。しかし、民主主義の緊急性という観点からはトルコにとって最も重要な議論の1つだ。」

■不合理への回帰

ムスタファ・ティミシ氏(元アレヴィー政治家):「私たちは今、(政府の)施策変更に直面していることは明らかだ。しかし私たちの研究会が示した結果は、エルドアン・ダヴトオール時代における意見はアレヴィー団体を期待させるものであったということだ。トルコには、オーマヤド朝とイスラムの和解以降アレヴィーとイスラムの和解に対して深刻な誤謬がある。しかし、世俗主義のトルコ政府はこのことに意を介さないべきである。これほどの発展を経験した後に、原点回帰を思い起こすようなことは望んでいないし、私は今までの楽観主義的な考えを維持したい。今の到達点から回帰することは、あまりに不合理な態度となるだろう。ビナリ首相は、東部アナトリア地域出身の人だ。アレヴィーやスンナ派コミュニティーの生活価値観を知る人間の一人であるべきだ。ダヴトオール前首相よりも高い水準で、この問題の解決を支持する態度をとってくれることを願いたい。」

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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:40569 )