シリアから新たな難民の波
2016年05月28日付 Cumhuriyet 紙

イスラム国(IS)が、アンカラ政府が緩衝地帯としていたアアザーズ・マレラインを制圧せんとしている。この地域からトルコ国境へ逃れてきた市民の数は16万500人にのぼり、トルコ国軍は国境から700メートル先の地点に検問所を設けたことを発表した。

アンカラ政府の緩衝地帯計画が、レッドラインの示唆が、要するにシリアへの干渉の基盤となっていたアアザーズ・マレラインが、ISの手中に落ちる段になり、クエスチョンマークとともに重大な人道危機が生じた。トルコが封鎖している国境とアアザーズの間には、ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)によれば16万5000人が、国境なき医師団(MSF)によれば10万人の市民が押しかけている。

ISは、アメリカの支援を受けるクルド人民防衛隊(YPG)率いるシリア民主軍によるラッカ侵攻に対応していたが、突如アアザーズへ侵攻した。木曜日以降、ISはトルコ国境において過去2年間で最も重大な進出を成し遂げ、アンカラ政府が支援する武装組織への激しい攻撃の結果、途上の村を手中に収めつつ、 国境まで10キロメートルの距離にあるアアザーズへ大きく近づいた。アンカラ政府と、「テロリスト」と宣告されたYPGは、この状況に狼狽している。

■マレへ2度の自爆テロ攻撃

YPGは、西部のアフリーン地区から進軍し、アアザーズ南方のシェイフ・イサ村を制圧した。トルコ国軍も北から進軍し、「国境から700メートルの地点に検問所を設置した」といわれる。アアザーズ・マレラインは、トルコからアレッポへと延びる武装組織の補給路にとって非常に重要なものだ。

一昨日26日、ISは、アアザーズへ3キロメートルの地点まで接近し、さらにいくつかの出入り口も制圧したといわれ、アアザーズのすぐ南東に位置するマレへの補給路を切断した。こうして孤立したマレへ、昨日27日、爆発物を積んだ車両による2度の自爆攻撃が行われた。これに続く、戦車を引き連れた2方向からマレへの侵攻によって、町中で激しい衝突が起きた。

1万5千人の市民が身を寄せ合いマレに留まっていることや、衝突から逃れて何万人もの人々が避難したアアザーズで、トルコが国境を開放しないために悲劇が起きたことが明らかになっている。国境なき医師団は、この地域の病院を移動させざるを得なくなり、患者たちの処遇に頭を悩ませている。また多くの支援団体が、 これまでに難民となったシリア人たちのためにこの地域に設置していたキャンプの移動を開始した。国際救援委員会は、8500人へ提供していたキャンプに滞在している人々が、この地域から逃れようとしていると述べ、「人々は恐怖の中にあり、殺されるのではないかと怯えている」と話した。たった一日で2万人がアアザーズを離れ、3日の間にクルドの拠点アフリーンへ6200人が移動した。アアザーズの新聞記者であるマームーン・ハティーブさんは、「これは最悪の事態だ」 と警告を発した。

■「トルコ軍が国境を通過した」

ジャラール・タラバーニー元イラク共和国大統領率いるクルディスタン愛国同盟(KYB)のホームページは、ISによるアアザーズ侵攻によって、何千人もの市民がクルドの拠点アフリーンへ避難したことを受け、トルコ国軍が行動を起こしたと明らかにした。このホームページでは、この地域からトルコへの移動者を制御するため、トルコ軍がシリアの領土へ700メートル侵入したと主張している。これによると、トルコ軍は、戦車2台、複数の装甲車、重機1台を用いて、アフリーンのヘマン村とメロニイェ村の間に検問所を設け、この地域に出入りを管理している。

■「トルコは我々を攻撃している」

KYBは、国境の700メートル先で撮影されたといわれる動画も公開した。一昨日26日には、アフリーン地区のアブド・イブラヒム防衛大臣が、国境地帯に配備された榴弾砲によるアフリーンの村々に対する砲撃に関して、トルコを非難している。

アメリカ軍が支援しているYPG率いるシリア民主軍が5月24日に開始した、ISのシリアにおける「首都」ラッカを取り戻すための作戦が北部では進んでいる。インジルリキから離陸したアメリカの航空機が空から援護し、北部の16の村がISから奪還され、15キロメートル前進した。

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( 翻訳者:粕川葵 )
( 記事ID:40578 )