ヨルダン:激動の中でヨルダン王国に息づく自制心
2016年06月23日付 al-Quds al-Arabi 紙


2016年06月23日付 al-Quds al-Arabi紙
■ヨルダン:激動の中でヨルダン王国に息づく自制心

【ヨルダン:本紙記者】

中東が混乱を極めている今日、ヨルダンは約一週間前に生誕100周年を祝った。今年の5月にヨルダン国民が祝った独立70周年の話ではなく(それも祝福すべきことではあるが)、第一次世界大戦中にハーシム家が指導して引き起こしたオスマン帝国に対するアラブ大反乱勃発100周年のことである。この叛乱終結とともに、ハーシム家の子息であるアブドゥッラー国王がヨルダンにもたらされ、彼はそこにヨルダン王国を建国した。

ヨルダン王国の誕生に導いた大反乱から100年後に、王国が依然安定を保ち、自分の足で立ち続けているなどとは誰も予想だにしなかった。イラクとシリアはかつてもっとも強大な地域勢力とみなされ、国家組織は強固な独裁体制下にあったが、それとは対照的にヨルダンにはパワーと適応力がみられ、同国は国家崩壊の危機に直面しながらもそれに耐え抜いてきた。それが可能だったのは、同国が弱体であるのに加えて、王国の指導者たちが国民に対してサッダーム・フセインやハーフィズ・アサドとその息子のバッシャール・アサドのようなふるまいをしなかったためである。

ヨルダン王国の存続には多くの要因が働いているが、その要因の1つとして、ヨルダンがシリア、イラク、サウジアラビアとイスラエルを分かつ戦略的位置を占めている点を挙げることができるだろう。貿易の活性化はヨルダンの存続にとり明らかに重要な条件である。またヨルダン王制がヨルダンやアラブの文化遺産を拠り所に維持されていることによって、シリアやイラクとの関係正常化につながる点も注視する必要がある。最後に、ヨルダン王国とその支配層に自制心と冷静さと相違点の修正能力が際立ち、それによってヨルダン世論の国家批判がいかに激しようとも、エジプトやシリアの国民の多くが支配層に対して抱く強い怒りや嫌悪感の域に達することはかつてなかったという事実を指摘しておかねばならない。

(後略

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( 翻訳者:青木優奈 )
( 記事ID:40743 )