宗務庁「イスラムフォビア・レポート」
2016年07月09日付 Hurriyet 紙


宗務庁は、西欧諸国でイスラムに対する敵対心を調査する国会委員会に、イスラムフォビアについてのレポートを提出した。宗務外部総局のハリフェ・ケスキン局長は、イスラムを名乗って行われるテロ行為を原因にイスラムフォビアがますます増えていると述べ、「イスラム教徒は疎外さsれており、ゲットー化に直面しているのだ」と述べて、以下のように評価を行った。

■すでに産業だ

「2000年代からもはやイスラムフォビアの産業というものがあらわれた
。今回行われた調査では、アメリカだけでもイスラムフォビアの活動に様々な組織から200万ドルを超える基金が流れ込んでいる。これはかなりの金額である。」

■大学進学は1%

 「全体の7.5%に達するムスリム人口は、ヨーロッパの多くの国で第二級市民扱いを受けている。たとえば教育を見ると、この7.5%のムスリムは、ほぼ全員が中学校へ行き、その後は高校や専門学校へ進む。しかし大学進学率は1%にまで落ちる。つまり教育を受けたムスリムの人口が1%程度にまで低下し、いくつかの国ではこの値はさらに低い。」

■疎外化

 「オランダでの一般失業率は4.5~5%だ。トルコ人の人口で見ると12~13%であり、若者の間では17~20%にまで上昇する場所もある。オランダをたとえに出すのは、イギリスとオランダがイスラムフォビア的態度が最も低い場所だからである……もちろん失業問題は社会的な疎外化を引き起こしている。すなわち教育からも、経済活動からも疎外されるこの移民のイスラム教徒たちは、今度は社会的な生活からも疎外されている。もちろん糾弾の対象となりゲットー化に直面してもいる。」

■豚の血を流す

 「今日ヨーロッパ諸国には9000ほどのモスクがある。この1年間にドイツで46のモスクに攻撃があった。(ヨーロッパの)全モスクを言えば146件の攻撃事件があった。多いのはモスクに豚の頭が置かれることや放火の企て、もしくは壁に差別主義者の文言や、鉤十字が描かれるといったことだ。新しいモスクの建築地に豚の血を撒くものもいる、そこがムスリムにとって悪い場所になるように、礼拝できない場所となるようにと。しかし、もちろんいかなる意味も無い。」

■交通上の「危険」

 「2015年の終わりにベルギーのカトリックの単科大学が、スカートが膝下になっていると30人の女学生を学校から遠ざけた。またタクシー女性運転手のスカーフ着用を法規制するための法律が提案されたのだ。その理由が興味深い。「耳が覆われているため外の音が聞こえず、スカーフは交通上危険である」というのだ。これは今も可決されていない。反イスラムが、反ユダヤのような犯罪としてヨーロッパの法律に記載されれば、これらの対策がより容易になるだろう。」

■根幹にテロがある

 「公共の空間でこうした制限が広まり、各国議会で反ムスリムの法律が成立するような社会になったことの根幹には、残念ながら周知の通りテロ行為のネガティブな効果がある。さて、シリアもしくはイラクで何者かわからない人々が(彼らによれば)宗教の名のもとに人の首を切っている。以前は、ただ統合の問題として見られていた。たとえばドイツでは、村人が都市へ来たとき、調和を確保するために何かが必要ならば、それをかなえる法律があった。我々ムスリムに対しても問題は同じだと各国は考えていた。しかし最近フランスであった事件やベルギーの空港での爆発により、今や各国の指導者たちは、ムスリムのことを安全保障問題としてとらえているのである。」

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( 翻訳者:伊藤梓子 )
( 記事ID:40839 )