ラマダーン月のキャッレ・パーチェ屋は大盛況—テヘランの年間の市場規模は2200億トマーン(3)
2016年06月29日付 Iran 紙

斜陽業界としてのキャッレ・パーチェ屋

 テヘラン・ナールマク地区〔テヘラン北東部〕でキャッレ・パーチェ屋を営む人物は、近年〔中・上流階層が多く住む〕テヘラン北部の市民が朝食としてキャッレ・パーチェを好むようになったと指摘し、「〔新たにキャッレ・パーチェ屋を〕始めたいと考えている人たちにしているただ一つのアドバイスは、儲けたいのなら、市の北部地区に店を出すべきだ、ということだ」と述べた。

 この人物は近年キャッレ・パーチェ業界は下火になっていると指摘し、次のように続ける。

〔人気業種の〕枠から外れてしまい、誰もその業種で活躍したい、その業種に参入したいと思わなくなってしまった業種というものがあるが、そうした業種の一つにキャッレ・パーチェ屋がある。キャッレ・パーチェ屋の金回りは、かつては結構よかったが、ここ最近は不景気に直面しており、没落傾向にある。仕事にかかる副次的なコストも結構高い。〔‥‥〕

 この人物は人々の食習慣の変化に触れ、次のように述べる。

キャッレ・パーチェ屋は人々の食習慣に合わせて、自分の仕事の時間を変えざるを得なくなっている。われわれも、人々が娯楽のために外出してくる時間に営業したいと考えている。そうすれば、人々が食に使うお金の一部を、自分たちのものにすることができるかもしれないからだ。早朝の時間帯にだけキャッレ・パーチェ店が営業を行っていたかつてとは異なり、今では日中のほぼすべての時間帯でお客を受け入れる態勢を整えているのは、そのためだ。

※訳注:キャッレ・パーチェは主に、トラック運転手などの肉体労働者が精をつけるために、早朝に食べる食事だった。

 彼はキャッレ・パーチェの値段は、サービスの種類や店のある場所その他によって様々だと指摘し、上等なキャッレ・パーチェを二級品から区別する方法について、次のように教えてくれた。

上等なキャッレ・パーチェは、「シーシャク」と呼ばれる若く肥えた子ヒツジを使っているが、二級品のキャッレ・パーチェは歳をとった痩せたヒツジを使っている。シーシャクは美味で、若ければ若いほど、また肥えていれば肥えているほど、キャッレ・パーチェの味もよくなる。

 彼はその上で、「キャッレ・パーチェの色や匂い、形からもまた、品質が分かる。頭の色が白いのは、黒いのと比べて上質である〔‥‥〕」と付け加えた。

 彼はキャッレ・パーチェが最もよく売れるのは、冬季やラマダーン月だと指摘し、さらに次のように付け加えた。

キャッレ・パーチェに対する人々の興味や人気は、かつてよりも高まっているのは事実だが、しかしそれは主に市の北部の住民たちの間でのことだ。というのも、キャッレ・パーチェはかつて、貧しい都市の下層民の食事だったが、今やキャッレ・パーチェはゴージャスでオシャレな食事の一つになっているからだ。

 彼はまた、次のように強調する。

われわれが努力しているのは、この伝統料理がどんな人にも消費できるものにすることだ。しかし中には、〔キャッレ・パーチェの〕値段を高くつり上げることだけを考えている人もいる。そのせいで、〔貧困層が多く住む〕テヘランの南部では特に、業界の売り上げが落ち、一部の店が休業する事態となっている。

 彼は、市の南部ではキャッレ・パーチェ業界は良好な状態にないと強調しつつ、「この仕事は、中・上流階級の人々が住む地域〔=テヘラン北部〕では、儲かる職業となっている」と付け加えた。

 キャッレ・パーチェ屋を営むこの人物によると、10年前テヘランには約620軒のキャッレ・パーチェ屋が営業し、うち500軒が営業許可を得ていた店で、その他の120軒は無許可営業の店だったという。キャッレ・パーチェ屋の数は現在減り、約600軒になっている。

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( 翻訳者:MO )
( 記事ID:40873 )