Murat Yetkin コラム:誰が?なぜ今?などの問い
2016年07月18日付 Hurriyet 紙

クーデター未遂が社会に与えたトラウマ、衝撃はまだ生々しい。
軍や司法をはじめ、あちこちで捜査と逮捕が続いている。
まだ続く模様だ。
クーデターは罪だ。クーデターを唆したものも、司法の前にでなくてならない。
それに疑いはない。

一方、たとえば、降伏した軍人の喉がかき切られたというような噂にまでいたる、(クーデターへの)反発に目をつむることは危険だ。どこかで食い止めなくてはならない。

さて、多くの人の頭にある疑問への、我々の答えをみてみよう。

1.誰がやったのか?

 タイイプ・エルドアン大統領から、ユルドゥルム首相、共和人民党(CHP)や民族主義者行動党(MHP)の多数の議員にいたるまで、このクーデター未遂の背後には、フェトフッラー・ギュレンとその教団があるという。ギュレンが、フィナンシャル・タイムスへのインタビューでこれを否定し、エルドアンに対し偽クーデターだと非難したが、昨日、面会した外国メディアは、使われた決まり文句は、犯罪組織が自己防衛私用としているのに似ている、といっていた。クーデターに反対した軍人たちの証言では、クーデター首謀者のなかに教団関係者として知られる、あるいはそう疑われている人物がいるという。しかし、現時点では、はっきりしたことはわかっていないが、私が話したアナリストは、「教団ではないとは主張できない」といっている。

2.クーデターはエルドアンの自作自演だったのか?

 この質問自体、多くの人の反発をかうだろう。しかし、彼らだってこの噂を聞いたことはあるだろう。それならば、この問いへの答えを考え、共有しようではないか。
 この噂は、7月14日の夜にはじまったクーデター計画が、15日に入り、壁にぶつかりはじめたころ、SNSで広がり始めた。ギュレン教団だけでなく、「エルドアンさえいなくなってくれれば」と思っている人々が飛びついた。このクーデターが、なんとも理屈に合わないと思っている人々なのに、「エルドアンが大統領制のためにやっている」という説の矛盾には頓着しなかった。たとえば、軍のなかの、エルドアン嫌いだが、この秘密組織にも加わっていない人やグループが、この反乱が「偽装」だとしらずに、(クーデター側で)行動するというリスクを、まったく考慮していない、この説は。また、エルドアンに最も近い側近で、選挙宣伝の立役者エロル・オルチャクが、16歳の息子とともに、戦車に抗議して殺されたという事実も忘れてはならない。さらに、エルドアンが、(軍の)司令官であることを殊更に自慢していたこの時期に、自身の権威をこうした議論にさらすようなことをすると考えるのは、自然ではない。

3:なぜ、今か?

2つのシナリオがある。ふたつとも、クーデターの背後に教団があるというものだ。1つ目は、より陰謀説っぽい。それによると、エルドアンがロシアやイスラエルと和解し、アメリカとも関係が改善するのでギュレンの返還の可能性が出てくる。これを心配した教団が、軍のなかの「休眠組織」の目を覚まさせ、玉砕覚悟で国家の主導権を握ろうとした、というもの。
 二つ目は、最近の裁判官や判事の任命で弱体化し、次の任命でさらに基盤を失うと考えた教団が、近づく高等軍事評議会でも、軍のメンバーが解任されるという危惧から、全力でそれを阻止する最後のチャンスとだ行動に移したというもの。

(中略)

8:エルドアンは今後どうする?

クーデター未遂を制圧し、エルドアンへの支持は増しているように見える。エルドアンが、これを協力な大統領制への移行する機会だとするという観測は、政治評論家の間でも、また市民の間にも、ある。

一方、クーデター未遂は、トルコが「棘のないバラの園」ではないことを、つまり、ことは外見より、はるかに複雑であることを示した。

これに際しては、CHPやMHP、HDPが、クーデターの動きがでるやいなや、「無条件で」反対するとしたことは重要だった。
この状況は、ユルドゥルム首相の「仲間を増やそう」スローガンを、エルドアンが実行するために適当な条件を作り出している。

もしも、この状況が政治における歩み寄りの文化を活性化するなら、「災転じて、福となす」という言葉が正しいということになる。そうでないとすると、政治の緊張がさらに高まるかもしれない。

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( 翻訳者:トルコ語メディア翻訳班 )
( 記事ID:40904 )