ミュンヘン銃撃事件、トルコ系犠牲者3人
2016年07月24日付 Hurriyet 紙

ドイツのバイエルン州ミュンヘンのショッピングセンターで発生した銃撃事件で犯人を含め10名が死亡した。また重症3名を含む16名が負傷した。銃撃を実行し、現場付近で自殺した人物は18歳のイラン系ドイツ人アリ・ソンボリ容疑者とみられている。バイエルン州警察は、銃撃はISに関連したものではないと発表した。また、銃撃による死亡者うち3名はトルコ系だったことがわかっている。

ミュンヘン警察署のフーベルトゥス・アンドレ署長は、記者会見において捜査活動により現地時間の午後8時30分に、ショッピングセンター付近で自殺した人物の遺体を発見したと述べた。銃撃犯はミュンヘン最大のショッピングセンターであるオリンピア・ショッピングセンター(OEZ)内のマクドナルド店舗の前で人込みに向け無差別に発砲した。

アンドレ署長は、目撃者の証言やカメラの録画を検証した結果、犯人がこの人物であることを突き止めたと発表。
捜査により、犯人が18歳のイラン系ドイツ人アリ・ソンボリ容疑者であると述べたアンドレ署長は、「ほかの人物が今回の事件に関連している線に関しては証拠がない」と語った。

■トルコ人も3名犠牲に

アンドレ署長は、この事件で犯人を含めた10人が死亡し、重傷者3名を含む16名が負傷したこと、また負傷者のなかには子供も含まれていると述べた。

トルコのメヴルト・チャヴシュオール外務大臣は、この銃撃でトルコ人3名が命を落としたことを確認した。銃撃で死亡したトルコ系犠牲者は、セヴダ・ダーさん、ジャン・レイラさん、セルチュク・クルチさんの3名。

事件現場では、自殺した犯人が犯行前に「私はドイツ人だ、アッラー・アクバル(神は偉大なり)」と口にしたという証言もある。

■ISとの関連なし

バイエル警察署長の発表では、犯人を含む10名が死亡した事件は難民問題との関連はみられず、犯人の自宅捜索でも、事件とISとの関連を示す証拠は一切見つからなかったと述べた。また、犯人はバイエルン州で生まれ育った人物であることも明らかにされた。

一方、バイエルン州法務長官の行った会見に出席した関係者も、犯人は前科がないが、精神疾患の治療を受けた過去があると述べた。犯人の自室捜索では武器を用いた襲撃に関連する書籍も見つかったという。

■犯人は二重国籍

アンドレ署長は、銃撃に至った経緯については、現状では情報がないと述べるとともに、犯人は2年前からミュンヘン州で暮らしていたと明らかにした。「犯人はこれまの警察記録には残っていない」と語るアンドレ署長は、この人物がドイツとイランの二重国籍を保持していたことについても言及した。
同署長は、犯人がまずレストラン前で銃撃を行い、続いてオリンピア・ショッピングセンターでさらに人々に銃撃、その後逃走したと明らかにした。

犯人を知る隣人は、犯人は静かな子供だったと話す。

他方で、別の関係者は、犯人が偽のFacebookアカウント上で、犯行現場であるショッピングセンターに行くよう人々に示唆していたことも明らかになった。

アンドレ署長からは、事件で死亡した犠牲者の個人情報については一切情報が明らかになっていない。同署長は、まずは家族や近親者への情報提供を優先する必要があると述べるとともに、今回の特別捜査チームとして、約2300人の警察職員が銃撃に関係する任務にあたっていると話した。

■外務省から非難

トルコ外務省からは、ミュンヘンでの銃撃テロに関連して「ミュンヘンで発生した非道なテロ行為を強く非難し抗議する。人類共通の財産を標的としたテロ問題との戦いにおいては国際的な団結と協調が不可欠だ。テロとの戦いの同盟国であるドイツの苦境に対し、トルコは惜しみない支援を送る用意がある」と発表し た。

外務省の声明文では、ミュンヘンでの銃撃テロを非難し「ミュンヘンで発生した非道なテロ行為を強く非難し抗議する。この残虐な銃撃に対し、親愛なるドイツ国民の心痛を深く分かちあい、命を落とした犠牲者の家族には深く共感を示すとともに、負傷者の一刻も早い治癒を祈る。人類共通の財産を標的としたテロ問題との戦いにおいては国際的な団結と協調が不可欠だ。テロとの戦いの同盟国であるドイツの苦境に対し、トルコは惜しみない支援を送る用意がある。これまで複数のテロ組織と同時に戦い、テロの悲痛さを誰よりも理解しているトルコは、テロや武力の系譜により増長されたすべての固定観念に対し、国際社会と同盟諸国とともに、決断力をもって戦いを続けていく」との文言がみられた。

■エルドアン大統領からも哀悼の意

レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領は、この銃撃によってドイツのヨアヒム・ガウク連邦大統領に哀悼の意を示した。大統領官邸筋からの情報によれば、エルド アン大統領がガウク連邦大統領に送った哀悼のメッセージでは、トルコ系国民を含む多数の無辜の人々が今回の銃撃で命を落とし負傷したことに対し深い悲しみを感じると伝えられた。ドイツの傷みを分かち合うと明らかにしたエルドアン大統領は、トルコはドイツの同盟国であるとも述べた。エルドアン大統領は、事件で死亡した人々の遺族を始め、全ドイツ国民に哀悼の意と、負傷した人々の一刻も早い治癒を祈った。

■メルケル首相「非常に耐えがたい一夜」

メルケル首相は首相官邸で安全委員会の後に会見を行い、その際、現状の情報によれば昨夜ショッピングや食事をしようとしていた9名が単独犯による銃撃で命を落としたと伝えた。

メルケル首相は、保安部隊やバイエルン州のホルスト・ゼーホーファー知事と頻繁に進捗を確認していると明らかにし、「ミュンヘン市民は恐怖の一夜を過ごした。我々にとってこのような夜に耐えるのは非常に困難だ。家族のもとに帰ることのできなかった人々には、心痛とともにお悔やみ申し上げる」と述べた。

メルケル首相は、遺族の痛みを分かち合っており、彼らと同じ心境であるとし、負傷者の一刻も早い治癒を願った。

最近、仏ニースや独ヴュルツブルグなどで発生した襲撃事件にも言及したメルケル首相は、ドイツでの襲撃事件を解決するために出来る限りのことを行うと表明した。

メルケル首相は、警察の呼びかけに応じたバイエルン市民と保安部隊に謝意を述べ、各国からのお悔やみのメッセージにも、「国民の間に団結があることがわかるのは良いことだ」と表現した。

メルケル首相は、安全を確保し自由を守るため、すべての保安活動を行ったことも付け加えた。
ミュンヘンでは、昨日「オリンピック・ショッピングモール」というショッピングモールで、18歳のイラン系ドイツ人による銃撃事件で9名が殺害され、犯人 もその後自殺した。ノルウェーの極右系アンドレス・ブレイヴィクが多くの人々を殺害した事件から5年後の昨日、ミュンヘンでの銃撃が行われたことにも関係者が言及したという。

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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:40938 )