西サハラ:国連安保理におけるモロッコとポリサリオ戦線の争い
2016年08月29日付 al-Quds al-Arabi 紙


■安保理はモロッコ・モーリタニア国境における「浄化」作戦に対する非難決議を否決

【ラバト:マフムード・マアルーフ】

国連安全保障理事会は、金曜〔26日〕夕方、モロッコ当局がモーリタニアとの国境近くの「カンダハール※」地域において実施している浄化作戦を非難する旨の決議を否決した。同決議は、ポリサリオ戦線がモロッコ側の活動を停戦協定違反として訴えた異議申立てに基づくものだった。

※訳注:原文では「カンダハール」だが、記事内容から後述する「カルカラート」の誤植と思われる。

一方、安保理の議長国を務めるマレーシアの国連常駐代表は、安保理は分離地域でのモロッコの動きに関する追加情報を要求するだけで十分であると述べ、それ以上詳しいことを語らなかった。

国連によれば、ポリサリオ戦線は、モロッコが「カルカラート」地域において密輸入業者や麻薬商人を標的に実施している軍事的「浄化」作戦について、安保理による公的な非難を引き出そうと試みた。国連が確認したところによれば、西サハラ地域における国連組織(MINURSO、西サハラ国民投票監視団)はモロッコの浄化作戦中にいかなる軍事装置の稼動も観測せず、むしろ「一般市民のもの」と見られる車両を目にしただけであった。

モーリタニアとの国境隣接地域にあり、沙漠の緩衝地帯の外側に位置するカルカラート地域でモロッコ軍が浄化作戦を実施したことは、ポリサリオ戦線による抗議を激化させた。同戦線は緩衝地帯の外側の沙漠地域を、1991年にモロッコとの間で締結した停戦協定に含まれる解放地域とみなしているためである。

ポリサリオ戦線指導部は、土曜〔27日〕、同戦線指導者のイブラーヒーム・ガーリー氏を議長とする緊急会議を開き、モロッコがカルカラート地域で実施した浄化作戦についての調査を指示し、モロッコが行ったことは緊張を増大させ、事態を膠着させるものだと述べた。

同戦線は声明の中でモロッコを非難し、同国が「敵対的手段をとっており、このことはこの地域における平和と安全、安定に対する解決しがたい障害となるだろう。国連安保理はモロッコの責任を追及し、すみやかに抑止的措置をとり、停戦のための緊急かつ確実な介入を行うことが必要だ」と述べた。

同戦線は過去にも国連に〔抗議の〕文書を送付したが、国連は同戦線の訴えに関心を示さず、モロッコが行っていることは自然なことであるとみなした。

(後略)

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( 翻訳者:栗原利枝 )
( 記事ID:41135 )