バシカのトルコ・キャンプ、ISは目と鼻の先
2016年10月20日付 Hurriyet 紙
ヒュリエト記者、ベシカキャンプで
ヒュリエト記者、ベシカキャンプで

イラク・クルド自治政府の軍事力であるペシュメルゲのモースル戦線に我々はいる。モースルへの軍事作戦が始まったハズル戦線を通ったとき、多くの戦車の中にあるクルド人の村々を見た。道の左側にはモースルから逃げ始めた避難民らのためのキャンプが設営されていた。我々の目的地はバシカ戦線である。道は岩や砂が堆積した丘に阻まれている。バシカ戦線には着いたばかりである。ここではイスラム国とペシュメルゲが対峙している。

バシカ戦線はイラクのモースル市から15㎞北東に位置する。すべての斜面に数百の戦車が配置されている。ペシュメルゲは警戒状態である。みな指令が来れば行動できるように準備・待機している。最終管理ポイントにいるペシュメルゲの1人はとても流ちょうなトルコ語を話す。トルコ軍はどこにいるのかと問うと、笑って手を広げながら、今回はクルド語で答える。“Nızanın”つまり「知らない」と言うのである。

アスファルトの道が堆積物の丘で終わっている最終ポイントの丘で駐留しているペシュメルゲのヘルガルド・ハミド司令官に、イスラム国からはどれくらい離れているのかと問う。彼は指で3を示し、 「1か2か3キロだ」と言う。イスラム国が占領した村々は目と鼻の先なのだ。司令官は、1㎞向こうにあるビルヘラン村を示す。「クルド人の村だった。 イスラム国は、村人を皆殺しにし、この村へ移った」と言う。我々の少し先にあるイスラム国戦線から黒煙が上がっている。イスラム国は連合軍の飛行機の爆撃を防ぐために穴に満たしたガソリンに火をつけている。

■バルザーニがいつ指令を出しても

バシカ戦線のペシュメルゲ達は、軍の食事に招待する。たっぷりのバターを塗ったオムレツ、パン、紅茶。みなご機嫌である。モースルへの地上戦をいつ開始するのかと問うと、みな同じ答えを返す。「イラク政府がいつ許可を出そうと、我々の総司令官であるメスド・バルザーニがいつ指令を出そうと…。」ハミド司令官は「イスラム国とはクルド人の敵として戦っているのではない。イスラム国は全人類の敵であるから我々は戦っているのだ」と言 う。

■常に迫撃砲が落ちうる

セルベスト・アマドは父のアマド・メジドとともにバシカ戦線でイスラム国と戦うために待機している。彼は「平静だ。我々は皆敵とどう戦っていけばいいか100%知っている」と言う。父のメジドは若者たちを示して笑いながら「全員の年齢くらいペシュメルゲとして闘ってきた。私は70歳だ。40年間これらの山や地域を手の中にあるように知っている。イラン・イラク戦争に参戦した。」ハミド司令官はレシーバーで話すあるペシュメルゲに耳を傾けた後、我々を厳しく警告した。「我々がいる場所にもイスラム国の迫撃砲が落ちている。いつ新しい砲撃がくるかわからない。すぐにここを立ち去るべきだ。」

■殉教する準備はできている

友人たちから「クルド人のランボー」と言われているべフラム・ヒュセイン氏はその年齢と伝統的なペシュメルゲの民族衣装で我々の注意を引いた。彼の眼は常にイスラム国戦線を見ている。彼が言うには「33年ペシュメルゲである。人生を山で引き金に手をかけて過ごしてきた。サダムの圧政からイランに逃げ、17年とどまっている。多くの苦しみを目撃し、経験した。イスラム国のテロリストと戦い殉教する準備はできている。私には8人の子供がいる。私だけがペシュメルゲとなった。彼らは大学で勉強することを選択した。」

■イラクのイバディ首相は戦線にいる

イラクのハイダル・アル=イバディ首相は昨日モースル作戦のため戦線に行き、兵らと会って司令官らから状況説明を受けた。イスラム国と戦う軍人らは首相と写真を撮った。

■ハシュディ・シャビ:テラフェルへの支援をする

シーア派の大多数がいるハシュディ・シャビ民兵組織はモースルの55㎞西にあるテラフェル市へ向けて進むイラク軍を支援すると明らかにした。テラフェルの大半はスンナ派とシーア派のトルクメン人で構成され、そのうちシーア派の人々は、地域が2014年にイスラム国の手に渡った後、この地域から逃げた。シーア派のトルクメン人の一部はイスラム国の占拠後にハシュディ・シャビへ加入した。イバディ首相はモースルの中心地にはイラク軍と警察のみが入れると発表した。

■アメリカの軍人と協力

イラク軍最高司令官らとアメリカが率いる国際連合軍の専門家らがモースルの南に位置するマフムル郡にある二ノヴァ共同作戦司令部に集まった。ヘリコプターで司令部に来たアメリカの軍人らは、その後、カイヤラ空軍基地に移った。アメリカ軍の中には女性軍人もいるのが見て取れた。

■キロ単位の長さのトンネル

イラク軍とペシュメルゲの手に渡った地域で数メートルわたるトンネルの存在が明らかになった。モースルの東にあるバルティラ地区には家から家へのびるトンネルが確認された。 イスラム国が無人航空機と偵察機に見つからないためにこのトンネルを使したと推測される。奪取地域では爆弾やブービートラップの排除作業が行われている。

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( 翻訳者:奥村 茜 )
( 記事ID:41450 )