モースル近郊から避難の住民、IS支配の惨劇を証言
2016年10月28日付 Hurriyet 紙


イラクで続くモースル作戦のため近隣の村や町から逃れる市民らが、北イラク自治政府(IKBY)の首都アルビルにあるキャンプに移り住んでいる。およそ2年半にわたりイスラム国(IS)の支配下で暮らさざるを得なかった難民たちは、「ISは人々にひもじい思いをさせた。彼らに反抗する者を『スパイ』と呼び、処刑していた。(モースルの)作戦が始まるや否や、私たちはすべてを置いて逃げてきた」と語る。

最も厳しい衝突が発生したモースルの南東部に位置するハズル地区付近に設立されたハズル難民キャンプでは、現在およそ200の家族が生活している。その多くはシェベック人(クルド語を話すスンニー派を信仰する少数民族)から成る難民であり、彼らはアルビルやモースルと隣接するトプザーヴァ村から来ているという。イラク政府の監督下に置かれているキャンプでは難民らに対しきちんと食事が提供されるものの、彼らは食事以外の必要最低限の事柄について、自分たちで賄わなくてはならない状況に置かれている。しかしながら、高級品を含めすべての財産を村に置いてきてしまった人々は、必要最低限のものすら賄えないという困難な状況にある。

作戦で家の庭に砲弾が落ちたために孫の一人が負傷したというゼイネル・ハレフ氏は、次のように話している。「作戦が始まったとき、私たち一家は家から出られませんでした。市内に残るということは安全ではありません。ISのメンバーには、ここを去りたいと伝えましたが、彼らはこれを認めませんでした。 私の家に落ちた砲弾の影響で、孫が負傷しました。またそのとき、我々の家に避難していた親戚を亡くしました。私たちはすべてを置いてここまで来たのです。 今着ている服以外、何も持つことができませんでした。村全土に爆弾が落とされたのですから、今村に戻ることはできません。」

■ISは食事を与えなかった

(村が)IS支配下に置かれていた際、村を捨てることができなかったと話すシャハプ・アフメド氏は、次のように語っている。「ISは、私たちが村を去ることを許しませんでした。しかし特別な許可を得ればモースルに行くことを認めていました。ISはすべてをそのコントロール下においていました。周りのパン屋やスーパーは、すべてISの管理下にありました。ISが私たちに食料物資やパンを与えることはありませんでした。食べるものが何もない日もありました。意識的に人々を空腹な状態にしていたのです。モースル作戦が始まったときも、私たちが村を去ることを認めませんでした。けれど、あらゆるリスクを考慮したうえで、私は家族と子供たちを引き連れてアルビルに来たのです。作戦が終了したら、家に戻りたいと思っています。」

■村の中心地で処刑

2日前にアルビルにやってきたという匿名希望のシェベック人家族は、IS支配下での生活を以下のように説明した。「ISに人道的なことは何一つありません。テレビ、ラジオ、電話で話すことも禁じました。我々がひげをそることも許さなかったのです。彼らが着ている服を我々も着るよう求めました。すべては彼らが望むようにいなくてはならなかったので す。ISは、彼らに反抗する人々をスパイだとして非難していました。そしてスパイだと宣告された人の罰は死だったのです。スパイであるとされた村の知人は、村の真ん中で処刑されました。」

■本格的移民はモースルから

想定される移民危機のため、アルビルには5つの難民キャンプが設置されている。ペシュメルゲとイラク軍がモースルに進出すれば、かなりの人々がアルビルへと移動することになると話すイラク人関係者らは、新たなキャンプ設置に向けた取り組みを開始したことを明らかにした。移動した難民に対し支援をするために、 赤十字メンバーもアルビルで働いている。トルコから送られた20TIR(訳者註:International Road Transports, 輸送には、輸送用車両やコンテナなどが用いられる)分の食材が赤十字によってアルビルにある倉庫に持ち込まれた。

■IS、2日間で256名処刑者

国連人権理事会のスポークスマンを務めるラヴィーナ・シャムダサーニ氏は、昨日(10月27日)行われた記者会見において、ISがモースルとその近郊において、一昨日(10月26日)に計232名を処刑したこと、このうち190名はイラク治安部隊のかつてのメンバーであったことを発表した。シャムダサーニ氏 はまた、ISが火曜日(10月25日)に24名を殺害したと述べた上で、彼らが8,000人に及ぶ家族を誘拐し、モースルで人間の盾として利用していると語った。

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( 翻訳者:木全朋恵 )
( 記事ID:41507 )