放射線物質投棄で立ち入り禁止のはずが・・・・
2016年12月23日付 Hurriyet 紙


4年前に、イズミル県のガーズィエミルで「放射性廃棄物が埋められている」ことが発覚した。国は事態に手を打った。一帯を隔離し、周囲を鉄条網で囲った。歴史上最大の刑罰がくだされた。それで結果はどうなっただろうか?刑罰は執行されなかった。責任者たちは無罪放免となった。鉄条網は取り払われ、市民は放射性廃棄物の上を歩いて職場や学校に通い続けているのだ・・・

今からちょうど4年前の2012年12月。ガーズィエミルで昔は銃弾工場だった土地に埋まっていた廃棄物が発見された。そしてこの廃棄物が、原子力発電所や原子力潜水艦にしかない放射性物質に汚染されていることが分かった。しかしこれらがどこから来たかは特定できなかった。

報道の後、この件に関するトルコの唯一の機関であるトルコ原子力機関の担当者たちは事態に手を打った。計測を行ったところ、自然界では何百年も無くならない放射性同位体が廃棄物に汚染したことが確認された。すぐに「隔離」決定が下された。この土地の周辺は鉄条網で囲われた。全面に「近づかないでください。死の危険」との看板がかけられた。監視カメラが設置され、廃工場に警備員が配備された。環境都市計画省はこれらの廃棄物の責任者たちに570万トルコリラという、トルコ共和国史上最大の環境に関する罰金を科した。現地を調べる必要があること、下水が放射性物質で汚染されている可能性があること、廃棄物をすぐに除染する必要があることが説明された。

■全員無罪放免

一連の事態が展開する中、責任者の刑事裁判が行われた。銃弾工場の所有者は2000年に亡くなっており、工場は一時期所有者の子供たちによって運営された後、2010年に閉鎖されていた。工場の所有者の立場にある6名について裁判が行われた。しかし裁判の結果、責任者たちはいかなる罰も受けず、全員無罪放免となった。現在この刑事裁判について控訴手続き中だ。国の責任者たちについても取り調べを始めるよう要請があった。しかしいかなる件についても取り調べの許可は出なかった。

■唯一の対策:穴の空いた鉄条網

さらに、これほどの展開にも関わらず、土地についてはこれまで鉄条網以外いかなる措置もとられなかった。政府高官は、「一刻も早く廃棄物は除去されなければならない」と述べたが、今日までこの地域では何の動きもない。

工場のすぐ側に住む住民たちは、何年間もこの土地を突っ切って通勤していた。国が「隔離」の決定をとった後、市民を放射線の危険から守るために一帯に鉄条網を張り巡らせて「死の危険」と書いた看板をかけた。しかし今では、鉄条網の大部分は壊されている。破られた鉄線の間を抜け、放射性廃棄物のある土地を通って子供たちは学校に、大人は職場に通っている。

■「通るのは危険」

エーゲ大学の教員で市民健康の専門家、アリ・オスマン・カラババ教授は、地中の廃棄物の人や環境の健康への影響について次のように語った。
「皆さんが歩いている一帯に、影響のある放射線があれば、そこを通り続ける限り放射線を浴びることになる。リスクが増える。知らないうちに廃棄物が燃えており、それによる重金属のスモッグを人が浴びればこれも問題となる。放射線はそこに滞留しており、どこかへ行くことはない。どれほど深くに埋まっているかに関しても危険は継続している。その上を通れば通るほど、この危険に晒されるのだ。」

■廃棄物を誰が除染するのか

ガーズィエミルにとって最も重要な問題の一つは廃棄物の最終処分だ。解体プロジェクトに向けた入札をトゥランラル株式会社という企業が落札した。この過程でまず解体作業については「環境アセスメントは必要ない」との決定が下された。しかし一帯で活動するエーゲ環境プラットフォームはこの決定に対して裁判を起こした。問題の放射線を含む物質が環境や人の健康に大きな被害をもたらすことを明らかにし、環境アセスメントの過程が機能するよう要求された。この要求は裁判所に認められた。4年経った今年、環境アセスメントが始まった。

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( 翻訳者:南澤沙織 )
( 記事ID:41818 )