国会審議紛糾、女性議員乱闘騒ぎ
2017年01月20日付 Hurriyet 紙


アンカラ選出の無党派議員であるアイリン・ナズルアカ議員が、トルコ大国民議会本会議の壇上に手錠をかけた後、緊張が走った。公正発展党(AKP)と国民の民主主義党(HDP)所属の女性議員らの間で議論が激化し、争いが生じた。AKPのギョクチェン・オズドアン・エンチ議員がHDPの議員を蹴ると、レイラ・ビルリキ議員、ブルジュ・チェリキ議員と髪を掴み合っての喧嘩となった。騒動では、共和人民党(CHP)のシャファク・パヴェイ議員が仰向けに倒れた。義手を落としたパヴェイ議員は、同じ党の議員らによって外へ運ばれた。壇上で胸を殴打されたHDPのペルヴィン・ブルダン副議長も体調不良を訴えた。壇上での様子がカメラに写っていたAKPのエンチ議員の様子には注意を引いた。エンチ議員は、憲法改正案第8条の投票に担架に乗せられて出席した際、議会で野党の反発を受けた。ソーシャルメディアもエンチ議員について触れている。

■ナズルアカ議員、壇上に手錠

議会では憲法改正案の第2回投票が行われていたが、その際過去に類を見ない事件が起こった。女性議員の間で喧嘩が起こったのだ。無党派のアイリン・ナズルアカ議員が壇上に手錠をかけると、答弁は中断した。1時間半後、AKP女性議員らが壇上でマイクロフォンを奪い取り、事件はひと段落した。

ナズルアカ議員は壇上から、特に民族主義者行動党(MHP)議員らに対して次のように呼びかけていた。

「やめなさい、票を投じないでください。我々の未来をどうか考えてください。我らが共和国の建国者であるムスタファ・ケマルの議会を閉ざさないでください。MHP議員の皆さん、あなた方に呼び掛けているのです。あなた方の良心に呼び掛けているのです。あなた方の家族や、妻の顔をあなた方はどうやって見るのですか?アタテュルクの議会が閉ざされようとしています、私自身をもここに鍵をかけます。」

■AKPの女性議員がマイクロフォンをはずそうとし、ナズルアカ議員は悲鳴

ここで、AKP執行部が自分たちの間で戦略を話し合い、女性議員らにそれを伝えた。中断の終了に向け、AKPの女性議員らは突然ナズルアカ議員を取り囲み、素早くマイクロフォンを奪い取ろうとした。AKPのイルクヌル・インジェオズ会派副代表が手にドライバーを持って手錠を外そうと試みた。この間、ナズルアカ議員は大きな悲鳴を上げていた。

■AKPのエンチ議員、HDP議員に蹴りを入れる

AKPとHDPの女性議員らの間での議論も激化し、諍いが生じた。AKPのギョクチェン・オズドアン・エンチ議員は、HDP議員に蹴りを入れ、レイラ・ビルリキ議員やブルジュ・チェリキ議員と髪を掴み合っての喧嘩になった。

■CHPのパヴェイ議員、倒れる

この騒動で、CHPのシャファク・パヴェイ議員が仰向けに倒れた。パヴェイ議員は義手を落とし、同じ政党の議員らによって運び出された。騒動で胸を殴打されたHDPのペルヴィン・ブルダン副議長も体調不良を訴えた。アイリン・ナズルアカ議員は野党側の方に運ばれた。

アイシェ・ヌル・バフチェカプル副議長は3時間後、審議を始めた。

憲法改正案第8条は339票を得て、国民投票にかけられることが承認された。

CHP議員の助けを得て鎮まろうと努めたナズルアカ議員は「私を痛めつけて妨害したのはAKPの女性議員だった。でも共和国以前は、我々女性は無視されていた。投票すらできなかった。彼女らや私たちが議会にいられるようにした共和国体制を変更しようとしている。私の髪を引っ張り、シャファク議員は倒れた。私はあの場所で、特にMHPの議員に対してメッセージを述べ、彼らの注意をひくためにこの行動にでた」と述べた。

シャファク・パヴェイ議員もその後、アイリン・ナズルアカ議員の隣に来た。

■ギョクチェン・オズドアン・エンチ議員は病院で治療

一方、AKPの女性議員であるギョクチェン・オズドアン・エンチ議員も、殴打を受けたために病院に搬送されたことがわかっている。

エンチ議員は首と腰に殴打を受けたとされている。エンチ議員は病院で治療を受けていたが、票を投じるために議会に戻ってきた。エンチ議員に対して、ビナーリ・ユルドゥルム首相、大臣らや議員らが「お大事に」と声をかけた。

■車いすで登場

車いすで病院に運ばれたAKのアンタリヤ選出国会議員のエンチ氏は、後に投票にコルセットをつけ、車いすに乗って戻ってきた。彼女の投票の際に、CHP側から「うそ、うそ」とヤジを受け、バフチェカプル副議長は、「嘘つき呼ばわりはよしなさい」と述べた。これを受けCHP側は「うそ、うそ」と唱和した。

■ソーシャルメディアはエンチ議員を取り上げた

騒動の最前線にいたエンチ議員の状態は、ソーシャルメディアでも話題となった。

■CHPのパヴェイ議員:激怒したかのように攻撃していた

倒れて義手を落としたCHPのシャファク・パヴェイ議員は、以下のような声明を発表した。

「激怒したような形で、我々皆を攻撃した。この攻撃は憲法草案が可決された後、彼らが我々に対して何をするかを示している。私は壇上のその場所にいた。AKP・アンタルヤ選出のギョクチェン・オズドアン・エンチ議員がまず殴ろうとした。

その間に、HDPのブルジュ・チェリキ・オズカン議員が割って入った。彼女は髪を引っ張られた。エンチ議員は私を押し、私は倒れた。他の議員らはオズカン議員の髪を引っ張って振り回した。激怒したかのように、我々皆に対して攻撃してきた。実際この様子を写真や動画でも見られるだろう。」

■ペルヴィン・ブルダン副議長、病院へ搬送

一方、胸を殴打されたHDPのペルヴィン・ブルダン副議長は、まず議会医務室に、その後アンカラ・ギュヴェン病院へ搬送された。

このことに関してHDP所属の議員らは声明を発表し、AKP・アンタルヤ選出のギョクチェン・オズドアン・エンチ議員がブルダン副議長の胸を殴打したと述べた。

■「極東護身術に登録された」

CHP・アダナ選出のエリフ・ドアン・テュルクメン議員は、ロビーで記者らに対して「極東護身術に登録された。ギョクチェン議員の蹴りから身を守り、また議会で女性に対してなされるこのような暴力から身を守るため、防衛という手段を学ぶ必要がある。ここでは女性に対する暴力が激しい」と述べた。

■HDPの議員らは、引きちぎられた髪を法務大臣に示した

事件が収まった後、HDPの議員らは再び本会議に現れ、生じたことに強い反発を示した。事件の間、AKP・アンタルヤ選出のエンチ議員に髪を引っ張られたというHDPのブルジュ・チェリキ・オズカン議員は、その手に一掴みの髪を持ち、それをベキル・ボズダー法務大臣に示し「あなたたちの議員がこのようなことをした。その女性がここへ来る」と述べた。

暫く後に始まった審議では、HDP・イスタンブル選出のフィリズ・ケレステジオール議員が発言し、HDP所属でTBMMの副議長でもあるペルヴィン・ブルダン氏が、アイリン・ナズルアカ議員を説得するためにそこにいた間に押し倒され、エンチ議員によって胸に蹴りを食らったと述べた。HDP会派副代表であるフィリズ・ケレステジオール議員は「TBMMのブルダン副議長が胸を蹴られたことは到底受け入れられない。小さな謝意では済まない、暴力事件だ」と述べた。

■HDPの女性議員、記者会見を開く

フィリズ・ケレステジオール議員は、HDPの女性議員と共に記者会見を開催し、本会議で「深刻な暴力事件」が起こったと述べた。

ケレステジオール議員は、アンカラ選出・無党派のアイリン・ナズルアカ議員が民主的な権利を行使し、壇上で手錠を装着し、憲法案に関する意見を述べようとしていたと述べたうえで、「尊敬するナズルアカ議員は、壇上に立った少し後に、自分が狙われていると感じ、女性議員らを自らの側に呼んだ。私たちもそこに行った。彼女に手がかけられると共に、アイリン議員と一緒に叫び始めた」と述べた。

ケレステジオール議員は以下のように述べた。「AKP・アンタルヤ選出のエンチ議員は以前、『犬は入場不可』とのスローガンを発していたが、彼女は階段の上に立って、ブルダン副議長の胸に蹴りを入れた。これは全くもって受け入れられないし、小さな謝意では済まない暴力事件だ。一人の女性がこれを起こしたことは、より重大であり、深刻である。暴力に遭った人がどの政党であろうが、私たちには関係ない。ペルヴィ ン・ブルダン副議長ではなく、アイシェ・ヌル・バフチェカプル副議長もありえた。暴力に対する反発を示すために、女性らとの連帯を進めている。

ペルヴィン・ブルダン副議長は病院に搬送され、血圧が非常に高い状態だ。ブルジュ・チェリキ議員も顔に引っ掻き傷があり、髪が何本か抜けた状態だ。彼女も暴力を受けた。シャファク・パヴェイ議員に対する行動も受け入れられない。

私たちはこれからも同じ行動を続け、ここで暴力が起きることを許さない。この事態が何事もなかったかのように終わることを許さない。『彼女らを殴って手が汚れた』と言うような女性議員に対して直面している。」

■本会議は2回の中断をはさんだ

一方、騒動の後、本会議は中断され、記者も議事堂から出された。1時間の中断の後、本会議が再開された。

審議が再開され、HDPとCHPの議員が、AKP・アンタルヤ選出のエンチ議員を罰するべきだと訴えた。これに関して再び口論が発生し、 AKPの議員らがCHP議員の集まりに突っ込んでいく様子が見られた。短時間の言い争いが発生した際に、2度目の喧嘩が始まった。その後、本会議は再度中断された。

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( 翻訳者:神谷亮平  )
( 記事ID:42004 )