独メルケル首相、エルドアンに苦言
2017年02月02日付 Cumhuriyet 紙


アンゲラ・メルケル独首相は今日、外遊のためトルコに到着した。メルケル首相は最初にレジェプ・タイイプ・エルドアン大統領と会談し、その後の記者会見で報道・言論の自由に懸念を表明したと語った。「大統領制」への質問には、「三権分立」への注意を促した。メルケル首相は、エルド アン大統領が反発し使用の自粛を求めた「イスラーム系のテロ」という言葉を、ユルドゥルム首相との会談でも再び使用した。また、「私の訪問は、トルコ国民の決定に影響を与えることはない」と語った。

 メルケル独首相は、大統領官邸でのエルドアン大統領との会談で、報道・言論の自由についても、国民投票についても注意を促した。記者会見では論争中にもかかわらず「イスラーム系のテロリスト」であるとの表現を用いた。権力分立について強調した首相は、大統領制についても触れ、「国家元首には謙虚さが求められる。その点、フランスやアメリカの同僚が羨ましく思える」と語り、解決プロセスに戻るよう提案した。

■「権力が分立されている」とは言えない

 アンゲラ・メルケル独首相は、わずか10時間という短時間のアンカラ滞在で、タイイプ・エルドアン大統領に報道・表現の自由と国民投票の過程について注意を促した。メルケル首相は、「政治が変わる過程では権力の分立を保証し、社会の多様性を認めるため、努力がなされるべきだ」と語った。一方でエルドアン大統領は、権力分立の基本である三権それぞれの監督権限には言及しなかったものの、権力の分立について新しい定義を示し、大統領制においても「立法、 行政、司法」は成立すると述べた。メルケル首相は、会談後の声明で、論争中にもかかわらず「イスラーム系のテロリスト」という表現を用いた。

 メルケル首相は、昨日の日中にアンカラを訪問し、最初にエルドアン大統領と会談した。また、短いアンカラ滞在の間にトルコ国民議会(TBMM)を訪ね、 アフメト・アイドゥン副議長、ビナリ・ユルドゥルム首相、最大野党のケマル・クルチダルオール(共和人民党)党首、人民の民主主義党(HDP)幹部らと会談した。メルケル首相は、民族主義者行動党(MHP)のデヴレト・バフチェリ党首との会見は求めなかった。

 メルケル首相にとり7月15日のクーデター未遂後初のトルコ訪問で、アンカラに13:00到着、最初に大統領府に向かった。タイイプ・エルドアン大統領とメルケル首相は、2時間40分にわたる会談後、共同記者会見に臨んだ。

 メルケル首相は、国民投票を控えているトルコに対し、権力の分立について注意を促したと述べた。「特に、これほどに重要な政治的変化の過程では、権力分立を保証するため、また社会の多様性を認めるため、努力がなされるべきだ。国民投票の期間には、欧州安全保障協力機構(AGİT)の代表や各オブザーバーを配置することが重要だ。トルコ国民がかの7月(クーデター未遂時)に守り通した民主主義の原則全てが、政治制度においても確保されることが必要だ。野党の存在はあらゆる民主主義にとって重要で、私たちはそれを日々、民主主義の中で体感している。」

 エルドアン大統領は、権力分立の基本である、全ての権力が互いに監督する原則については言及せず、自らが持ち込もうとする制度を次のように述べた。「野党が権力分立について主張した意見書が、今日明日中に議会から私に届けられるが、それにはわずかな真実すら含まれていない。立法権も、行政権も、司法権も存在す る。三権分立を無くすものではない。一旦、行政の多様な活動を確保する機会を設け、立法権のさらに多様な決定が再び可能になる道を開くものだ。もちろん司法も変わらぬ形態で存在し機能し続ける。」

■自由な報道への要望

 メルケル首相は会談で、テロとの戦いが重要であり、クーデターを試みた者や首謀者を罰することは必要だとしながらも、「同時に罪を個別に立証することが必要だと申し上げた」と述べた。また、「その過程では、言論の自由に配慮することが非常に大事だと申し上げた。報道・言論の自由にも触れ、その点で懸念を持っていると申し上げた。また、イスラーム系のテロを含む、あらゆるテロとの戦いで緊密に協力することが必要だと申し上げた」と語った。メルケル首相は、 トルコがドイツに引き渡しを要求しているギュレン派についても注意を促した。「ドイツではいくつか判決が下っている。一部の条件下では受け渡しが難しい見通しだ。ドイツの司法大臣が交渉を行う予定ではあるが、裁判所の判断や独自の調査結果を、もちろん尊重しなければならない。」

■「イスラーム系のテロ」について応酬

 メルケル首相は、エルドアン大統領が「イスラーム系のテロ」とも対決するよう要望したが、エルドアン大統領はこの表現に反発した。「その表現は我々ムスリムを激しく悲しませるものだ。なぜならイスラームとテロは無関係だからだ。イスラームという言葉は、そもそも平和という意味だ。その表現が使われている間は、我々は同意できかねる」と述べた。

 エルドアン大統領のこの批判に対して反論したメルケル首相は、「イスラーム系とイスラーム」という言葉の違いに注意を促し、「ドイツではムスリムの信仰が自由であるよう全力を尽くしている。また、ドイツの各ムスリム団体も、あらゆるテロに反対する声を上げた。だからイスラームとイスラーム系の間には、その用語の間には違いがある。人々がムスリムと連帯して、このテロと戦うことが必要だと信じている」と説明した。

■「イスラーム系のテロ」での主張

 首相府でアンゲラ・メルケル独首相は、トルコ訪問がトルコの政権への支援なのか否かについて、「私の訪問がトルコ国民の判断に影響するとは思っていない。私は、与党以外の政党の指導者とも会う予定だ」と語った。エルドアン大統領が反発し使用の自粛を要請した「イスラーム系のテロ」との表現を、メルケル首相はユルドゥルム首相訪問の際にも再び使用し、「イスラーム系のテロについて取り上げた。大統領閣下にも話した。別に、ムスリムに対して懐疑的な見方をしている訳ではない。あのような者たちは民主主義の崩壊を望んでいる」と語った。メルケル首相は首相府でユルドゥルム首相と会見した。

■ユルドゥルム首相「意図はない」

 ユルドゥルム首相は、非常事態(OHAL)の間の施政について「愚かな集団は、残念ながら大きな爪痕を残した。施政についての不満は、私の耳にも届いている。(しかし)あれほど大きな事件であり、何十万もの関係者がいるあのクーデターの試みの中では、誤りも起きるものだ。ただ、何かの意図がある訳ではない。トルコは法治国家であり、復讐の感情で行動している訳ではない」と語った。

■質疑はAAとTRTからのみ

 メルケル独首相は、大統領府にエルドアン大統領を訪問した後、首相府でも言論・報道の自由について注意を繰り返し、「今後進められる政治的なプロセスで、言論・出版の自由や、権力の分立がいかに重要かを重視するよう希望する」と語った。メルケル首相には、エルドアン大統領との会談ではラジオ・テレビ高等機構(TRT)のみが質疑を許されたが、ユルドゥルム首相との会見時にはTRTとアナトリア通信(AA)の記者のみが質疑を許された。
 メルケル首相は、難民合意とビザ撤廃についての質問に答え、トルコの対テロ法改正が必要だと強調した。一方、ユルドゥルム首相は、「テロとの厳しい戦いに直面しているトルコが、地域やヨーロッパの治安に貢献しているという形で認識され、また、欧州委員会でもそのように認識されることがより有益だと提案した。活動は続いている」と述べて反発した。ドイツのPKK(クルディスタン労働者党;非合法)の存在について質問されたメルケル首相は、「ドイツでPKKに繋がる人物は、もちろん調査して監視を行い、対策を取っている。ドイツでもPKKは違法組織だ。私たちにもたらされる各案件を緻密に調査している。そのため、我が国のインテリジェンスは内相と連携していかなければならない」と語った。

■メルケル首相「支援ではない」

 国民投票前に実現した訪問を、野党が政権支援と受け止めている可能性があるが、との質問に対し、メルケル首相は、「難しい時期に、政治家が政権の一人ひとりと会談するのは重要なことだ。私の訪問が、トルコ国民の決定に影響するとは考えていない。与党以外の政党の代表らとも会談する予定だ。トルコ国民は自ら決定を下すと思う。会って見解の相違を理解することができる。こうしたことをドイツで話すより、相互に話し合ってこそこの違いをより理解できると考えている。私たちは、どのような問題からも逃げることはしなかった。あらゆる問題を取り上げた」と語った。

ユルドゥルム首相は、「野党の心配は杞憂だ。メルケル首相も選挙を控えているが、私には投票権はないし、メルケル首相も我が国で投票権がある訳ではない。トルコではトルコ国民が、そしてドイツでもドイツの有権者が、問題に決定を下すものだ」と答えた。

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( 翻訳者:貝瀬雅典 )
( 記事ID:42096 )