ロシア機、トルコ軍戦車基地に誤爆
2017年02月10日付 Hurriyet 紙


トルコ国軍(TSK)と自由シリア軍(ÖSO)共同でのアル・バーブに対する最も激しい攻撃が続く中、当該地域でイスラム国に対して空爆を行うロシア機が、昨日(9日)朝、あるビルを誤爆したことで3人の兵士が犠牲となり、11人の兵士が負傷した。ロシアのプーチン大統領は、電話会談でエルドアン大統領と話し、この「悲劇的な事件」について遺憾であると述べ、犠牲者らの冥福を祈った。クレムリン宮殿から出された文書による発表では、「2人の首脳は、シリアにおける対テロ闘争において、ロシア・トルコ両軍隊間の協力関係がより強化されることで合意した」と伝えられた。

「ユーフラテスの盾」作戦開始以降、トルコ国軍のアル・バーブに対する最も激しい攻撃が続く中、昨日朝8時40分頃にロシア軍の戦闘機がTSKのメンバーが潜入しているビルを誤爆した。この事件で3人の兵士が犠牲となり、1人の重傷者を含む11人が負傷した。犠牲となった3人の兵士らの遺体は、鉄道でキリスへ運ばれ、そこからヘリコプターでガーズィアンテプに輸送された。トルコ国旗に包まれた犠牲者らの遺体は、警察の護衛とともにガーズィアンテプ県法医学研究所へと運ばれた。犠牲者らの遺体は、今日(10日)行われる葬儀の後、それぞれの故郷へ輸送されると予想される。

■ロシア「これは事故だ」

参謀司令本部は、今回の犠牲者のニュースを昨夜17時50分に公表した。この発表の中では、以下のように伝えられた。「ユーフラテスの盾作戦が実行されている地域において、2017年2月9日の8時40分頃、ロシア連邦に属する戦闘機によるイスラム国を標的として実行された空爆の際に、偶発的にトルコ国軍のメンバーが潜入しているビルに向けて放たれた爆撃によって3名の勇士が犠牲となり、1人の重傷者を含む11人の勇士が負傷した。負傷した兵士らは、治療のため迅速に病院へ搬送された。ロシア連邦の関係者らは、今回の事件は事故であると述べ、遺憾と追悼の意をわれわれに伝えた。この事件に関する捜査は、両国の立場から現在も継続中である…。」当該地域における兵士らの所属については、爆撃されたビルにいたのは戦車兵らであったと伝えられた。

■「緊密な電話連絡」

事件が起きた後、アンカラ政府とモスクワ政府の間では、ムヴリュト・チャヴショール外相とセルゲイ・ラヴロフ外相とで最初の連絡が取り持たれた。2人の外相は電話会談で、事件の詳細を明らかにすることで合意した。軍関係者らによって得られた情報によると、ロシアのワレリー・ゲラシモフ参謀総長もフルシ・アカル参謀総長に電話をかけて、誤ってトルコ人兵士らがいるビルが爆撃されたと聞き遺憾であると述べ、追悼の意を示したという。

■プーチン大統領は追悼の意を述べた

クレムリン宮殿から出された文書による発表でも、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が電話会談でレジェプ・タイイプ・エルドアン大統領へ「トルコ人兵士らの死亡という結果となったこの悲劇的事件」について遺憾を述べ、追悼の意を示したと伝えられた。またこの発表の中では、さらに以下のように述べられた。「両首脳は、シリアでの対テロ闘争において、ロシアとトルコ両国の軍部間における協力関係がより強化される方向で合意した。ロシア・トルコ・イラン3ヵ国での戦略によって実現した、アスタナでのシリアとの和平交渉が議論された。両首脳はアスタナ及びジュネーブでの和平交渉プロセスを、積極的に支援していく意向であると話した。」また、プーチン大統領は昨日、この事件を受けて安全保障委員会を招集し、セルゲイ・ショイグ国防相とワレリー・ゲラシモフ参謀総長を迅速に呼び寄せた。セルゲイ・ショイグ国防相は会談において、望ましくない事件は作戦内容が十分に共有されていないことに起因しており、今後同じような事件が起きないよう、ロシア・トルコ両国の軍幹部らを近いうちに招集して、より緊密な協力関係について議論すると述べたことがわかった。

ロシア機が誤りであったとはいえトルコ人兵士らが潜伏するビルを爆撃したことは、シリア問題並びにラッカでの軍事作戦について視察するため、CIAのマイク・ポンペオ長官が初外交の場所としてアンカラを訪問する日程と重なったことも注目された。

■3県で喪中

爆撃で倒壊したビルのがれき下から、オメル・アックシュさん(23歳)とメフメト・シャーヒン・トルコ上級軍曹(25歳)、そして戦車兵のエムレ・ミュジャヒト・トパル上級伍長の遺体が発見された。戦車兵のエムレ・ミュジャヒト・トパル上級伍長の、アダナ県ユレイル郡にある実家には痛ましい知らせが届いた。1年間上級伍長として務め、5人兄弟の長男であったトパルさんの実家は、トルコ国旗で喪中の装飾が施された。また、戦車兵のメフメト・シャーヒン上級軍曹の殉職の知らせは、バルクシェヒル県ビガディチ郡に住む家族へ伝えられた。家族らはこの痛ましい知らせに涙で暮れた。そして、同じく戦車兵のオメル・アックシュ兵卒のサカルヤ県カイナルジャ郡のウザックシュラ町にある実家にも、痛ましい知らせが届けられた。この知らせを受け取った父であるマフムト・アックシュさんの家では、悲痛な叫びがこだました。家の前では救急車が待機する中、殉職した彼の実家にはトルコ国旗が掲げられた。

■アサド政権軍とわずか3kmの距離

当該地域の軍関係者らは、トルコ国軍がアル・バーブ南部からも侵攻を開始した結果、トルコ人兵士らと南東部からアル・バーブへ侵攻する体制軍との距離は徹底的に詰められ、その位置間の距離は3km程度まで縮まったと強調した。TSKとアサド政権軍間では未だ戦闘は起きていないが、戦闘の可能性を排除するためロシアとともに継続的な交渉が行われていることが明らかとなった。当該地域のある軍関係者は、「アル・バーブではしばしば映画の『黒い鷹が落ちた』のシーンと似たような出来事が起きている。都市中心部の一部地域にはわれわれも侵攻した」と語った。

■戦闘が起きたとの情報

夕刻、シリア軍とトルコ国軍が支援している自由シリア軍との間で、激しい戦闘が起きたとの情報が流れた。ダマスカス管制部に近いアル・マスダールニュースのサイトは、シリア軍がエブ・ズィンディン村で軍の侵攻を阻止しようとしたÖSOの車両を攻撃したと記事にした。このニュースでは、4名のÖSO兵士らが負傷し、対戦相手は機関銃で応戦したと伝えられた。ÖSO側は、昨日ソーシャルメディアのアカウントから出した発表において、エル・グズ村付近でシリア軍の兵士2人を殺害し、BMP戦車1台を押収したと伝えた。

■クルチダルオール党首からアル・バーブへコメント

共和人民党(CHP)のケマル・クルチダルオール党首は3名の兵士が犠牲となった今回の事件に関し、「我が国の兵士らが犠牲となったことは、ロシアからの追悼の意によって看過されるほどのものではない重大な事件である」と述べた。

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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:42137 )