「クーレバル」たちの死の対価(4)
2017年02月01日付 Iran 紙

 この地方の男たちは人々は一切れのパンを手に入れるために、重い荷物を肩にかつぐ。

荷物のオーナーは国境近くで自動車を止め、私たちを待ちます。そして私たちが彼らのところへと駆け寄るというわけです。私たちが道中で死んでも、彼らが悲しむのは自分たちの荷物のことだけ。かわいそうなクーレバルとその妻子のことなんて、誰も考えてはくれないのです。

私たちは国の経済にダメージを与えているって言う人もいます。でも私たちだって、こんなことしたくはありません。でも本当のことを言いますが、仕方がないんです。ただ、私たちはクスリだとかアルコールとかは持ち込んではいません。実入りがかなりよくても、です。私たちがこっちから運んでいくのは、家庭用品だとか燃料だとか、乾物とか、布とかです。

有刺鉄線や地雷原を抜けたり、動物に襲われたり、山から落ちたり、荷物のロープが首に絡まったり、国境警備艦に逮捕されたり、寒気に襲われたりと、私たちを待ち構える危険は多いですね。あまりにも気温が下がってしまって、一度靴が脱げたら二度とはけなくなってしまうなんてことも、ときにはあります。荷物のロープが緩んで、それがクーレバルの首に巻き付き、命を落としてしまうってこともあります。

警備隊のことも忘れちゃいけません。ときどき彼らの射撃が妙に正確なことがあって、クーレバルたちの胸部にあたるってことがあるのです。もちろん、体に障害を抱える危険も忘れるわけにはいきません。地雷原〔に足を踏み入れたり〕、〔山から〕落下したりすると、足や手を切断しなくちゃいけなくなります。それでもクーレバルたちは義手や義足をつけて、仕事を再開せざるを得ないんです。


取るに足らぬ収入

 密輸による主な収益は、荷物のオーナーのポケットに入る。〔‥‥〕このクーレバルは次のように言う。

〔イラン側からイラク側の〕国境ゼロ・キロ地点に運ぶ荷物一つにつき、4万〜5万トマーン〔※約1300円〜1600円〕を受け取っています。あちら側〔=国境のイラク側〕からの荷物があれば、それも国内に運んでいます。逮捕されないよう、私たちは夜、移動しています。夜は、一歩ごとに死の危険が私たちを待ち受けている時間帯です。午後6時に出発して、だいたい朝6時に戻ってきます。この12時間で、〔うまくいけば往復で〕10万トマーン〔※約3300円〕の稼ぎになるわけです。それも命の代償と引き換えですけどね。

つづく


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( 翻訳者:KT )
( 記事ID:42218 )