Murat Yetkinコラム;あと10日、イエスとノーは拮抗
2017年04月06日付 Hurriyet紙

 昨日、トルコの主要アンケート会社3社の幹部と4月16日の国民投票の結果予測について話をした。数値については皆様にお伝えしない。

 なぜなら、1つには各社がまだフィールドワークを完了していないからだ。2つ目には、大まかな予測では「イエス」と「ノー」の差が2~4%で、これは統計的な誤差の範囲内だからだ。つまり2%の差がある、と言った場合のその差は、どちら側にも有利に捉えられるかもしれないのだ。3つめには、まだ10日残っているとはいえ、政治的な基盤は脆く、バランスが絶えず変化しているからだ。そうした理由から皆様には、対話で得た具体的な印象や分析についてお伝えしたい。現時点で政治的な状況をより良く理解する観点から、票数をお伝えするよりもより有益だと思っている。そもそも今までお読みくださった皆様は、イエス・ノーの争いが、僅差で続いているということはとっくに了解ずみだろう。

 話をした経験豊富な3人のうち、ただ1人だけが「論理的に」イエスが勝利する筈だと話し、その理由を数の上で優位に立っているからだとした。しかし、そう話す際にも「ノー派の論拠の方がより強固だろうか」と付け加えるのを忘れなかった。イエス側が数的に優位なことと、その優位での弱点については後述したい。

 まず、「イエス」「ノー」キャンペーンが平等な条件下で続いていると言い切るのは難しい、と言っておかなければならない。ノー派の不満はそもそもそこにある。レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領とAKP政府が国家権力を用いて「イエス」キャンペーンを進め、その一方で、ノー派に対しては、しばしば非常事態法を使って妨害していると非難している。

 10日前の様相については、さあ一緒に見てみよう、

 AKPは2015年6月7日の選挙で40.9%の票を獲得し、2015年12月1日の前倒し選挙では49.5%に躍進した。この躍進はMHP、HDP、至福党の得票率の下落で説明ができた。MHPの票は16.3%から11.9%へ、HDPの票は13.1%から10.8%へ、至福党は2.7%から0.7%へと下落したのだ。CHPの票は同じ水準に留まり、各25.0%、25.3%だった。得票数の分析としては、エルドアン氏が2014年の大統領選で獲得した票が52%だったことを付け加えておかねばならない。

 MHPのデヴレト・バフチェリ党首がイエス支持を表明したとき、またその他の条件も含め、そもそも「イエス」キャンペーンはその日に勝利宣言をすべきだった。なぜならAKPとMHPの票の合計は、6月7日には57.2%、12月1日には61.4%に達していたからだ。しかしMHPはその間に分裂。党でも著名な一部議員が党首の決定に反旗を翻して「ノー」側に回り、バフチェリ氏も彼らをMHPから追放した。MHP内で「ノー」側に回った議員らは、都市部寄りで教育レベルの高い有権者を基盤にしていると推測されているが、普段「イエス」を掲げることを期待されるこの集団のどれ程が実は「ノー」と言っていて、どれ程が投票に行かないかという予測は出来ないし、少なくともまだ出来てはいない。

 AKPはMHPによるキャンペーンの効果に満足していない。その唯一の理由は、MHPが予想よりも、大きな政党であったという事実に向けられてはいない。エルドアン大統領がアルプアルスラン・テュルケシの墓を訪ね、ビナリ・ユルドゥルム首相がMHPのキャンペーンに加わったのは、全てMHPの基盤を活性化させるためだ。AKPサイドでは、例えばバフチェリ氏がわずかな数のミーティングしかしておらず、そもそもそれも、元々AKPが強勢を占めている場所で行ったということも注目される。これを「お付き合いだけの振る舞い」と評したあるAKP派の人物は、もうバフチェリは横におき、CHP票の一部を「イエス」あるいは投票棄権に引き込む形で、アダナ、メルスィン、イズミルのような場所での活動が期待されていた、と述べた。

 MHPの活動に対する不満により、AKPはキャンペーンの中でクルド系の票に関心を示すこととなった。イラクのクルド指導者、メスト・バルザーニーのアンカラ訪問に対する期待は――もちろん、理由はそれだけではないが――部族的な結束の強い、山岳地域のクルド票の関心を得ることだった。しかし、バルザーニーが戻るやいなや、キルクークにクルディスタンの旗を掲げ独立クルディスタンに向けた住民投票を目指す意向を示すと、トルコ政府も必然(そうでなければMHPが反発するだろうことにも配慮して)バルザーニーを非難・警告することとなり、そうした期待は水泡に帰した。

 国民投票で驚きだったのは、至福党指導部が「ノー」キャンペーンを支持したことだった。しかし、6月7日後の11月1日の選挙で、AKPに2%近い支援を与える結果となったといわれている。至福党には「ノー」票が存在するものの、棄権に回る票もあり、それは、イエス派を減らすものとみられている。

 話をしたアンケート会社幹部全員が、CHPの有権者の1%が「イエス」に投じるだろうと述べている。それは統計的に間違いないといえよう。しかし、HDPについては別々の評価をしている。評価が分かれるのは、HDPが「ノー」側で論じた政治決定が脆弱という理由ではない。主に2つの理由に基づいている。

 1つは、HDPの共同党首、セラハッティン・デミルタシュとフィゲン・ユクセキダーを含む数多くの国会議員や千人以上の地方政治家が、PKK支援の疑いで拘束されている、つまりキャンペーンを展開できていない。2つ目は、対話が破綻してPKKがテロ活動を開始した後、2015~16年に起きたバリケード・塹壕の流血蜂起と軍事オペレーションの結果、南東アナトリアの一部地域での居住が不可能になったことだ。その過程で50万もの人々が住居を放棄し、他の地域に移動したと見られている。これは、そうした地域での選挙基盤も破壊されたことを意味している。全ての有権者が、すぐに新しい居住地域で再登録したと考えるのは難しい。大半がHDPの有権者だと考えられ、その彼らが投票に行けないことが、「イエス」派にとって1~1.5%程度プラスに作用すると予測される。

 他に、イエス派に有利となるのが在外票だ。ドイツ、オランダで起きた騒動は、メヴリュト・チャヴシュオール外相も「ヨーロッパの政治家の馬鹿のおかげで」と強調したように、在ヨーロッパの有権者の反発を招き、エルドアン大統領を支援するため「イエス」に向かわせることとなった。このことも1~1.5%プラスに作用すると予測される。

 ただ、「イエス」派の弱点も、世論調査者らによればAKPの構造に起因している。AKP政権も、党支持者の100%が、全ての権力が大統領の手に集中することに「イエス」と言わないだろうことを懸念している。MHPがそうだったように「声なきノー派」が比較的教育レベルが高く、都市部在住のAKP有権者の中にいる。ある評論は、「35歳以下の」と追加した。信頼性のある割合は――いまだに――不明だが、AKPが「いまだに説得できていない」この集団は、2~4%に達すると推測される。エルドアン大統領とユルドゥルム首相が最近、CHPに再びターゲットを移し、都市部票の獲得に傾倒している理由もそのためだと考えられる。

 ギリギリで続くこのレースでは、少なくとも全ての票が重要なのは間違いない。さらに、「深い沈黙の中にいる」旧「国民の視座」派の人々もおり(注:ギュレン派の系統)、AKPでは彼らについて推測さえ出来ていない状況だ。

 国民投票は10日後に迫っているが、私の政治状況の具体的な見立ては以上の通りだ。

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(翻訳者:貝瀬雅典)
(記事ID:42431)