コラム:職を守るために国籍を偽るシリア人たち(2)
2017年04月01日付 al-Quds al-Arabi 紙


■トルコのシリア人たちは職を守るため自らの国籍を偽る

【イスタンブール:アフマド・ザーザー】

コラム:職を守るために国籍を偽るシリア人たち(1)より続き)

ニザールさんの場合も同様である。彼はシリア人で、町の中心部の有名なオルタキョイ地区にあるスポーツマッサージ店で働いている。彼もたいていの場合、顧客の前で自身のシリア国籍を明かすことを避ける。とあるトルコ人の顧客に侮辱されてからは、特に避けている。その客はニザールさんがシリア人であるというだけで、辛らつな言葉でマッサージをやめるよう求めた。ニザールさんによると、職を守るためにイラン人を装うことを余儀なくされたという。

自らの国籍を否定するシリア人らがいる一方で、別の目的でシリア国籍を利用する人たちもいる。イスタンブールの有名なイスティクラル通りで自らをシリア人だと主張するトルコ人の物乞いは、もはや珍しくない。彼らはわずかなシリア方言のアラビア語をマスターし、できるかぎり多くの関心やお金を集める。アフマドさんもそのひとりで、初見ではみすぼらしい服と痩せこけた体でわれわれの悲しみをかき立てた。彼はわれわれの同情をひこうとして自分はアレッポのタリーク・バーブ出身だと主張したが、われわれが彼の家族に関してさらに質問を投げかけると、彼はすぐさま顔をしかめ眉をひそめた。彼がアラビア語を少しも理解できずに困惑しているのは明らかだった。彼は「俺はアレッポ出身のシリア人だ、俺はアレッポ出身のシリア人だ」と繰り返したが、われわれを説得しようとした一連の試みが失敗に終わると、彼は看板を持ち別の場所へと去った。

ヨルダン人女性のタグリードさんは、夫に続いてドイツへ難民として入国するために偽のシリア人身分証明証を買った。「私はヨルダン人なので難民として入国する資格がなく、イスタンブールへ行って100ドルの偽の身分証明証を買うしかありませんでした。そして密航船でドイツへ渡る道を辿ることにしました。シリア人女性として、難民としての権利も手に入れられました。今に至るまで、取り立てて言うほどの問題に直面したことはありません。このようなことをするのは私だけではなく、ドイツには多くのヨルダン人やレバノン人がシリア人として難民の権利を獲得しています」と彼女は語った。

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( 翻訳者:朝武絢奈 )
( 記事ID:42587 )