シリア国境、壁のそばの暮らし・・・
2017年06月15日付 Hurriyet 紙


トルコは、911Kmにわたるシリアとの国境に、2016年9月、世界で3番目に長い壁を築き始めた。シリアからの攻撃や不法な入出国を防ぐために築かれ、もうすぐ完成するこの防壁の3分の2が通るシャンルウルファ、マルディン、シュルナクの各県で、我々は壁のそばの暮らしを取材した。

マルディン県クズルテペ郡の国境地帯で、人々は収穫機で麦刈りをしている。中心部を鉄道が通過する旧くは町、今は区となっているシェンユルトと、シリアのアル・ダルバシヤを、今ではどの場所も有刺鉄線が張り巡らされた高さ3メートルのコンクリートブロックからなる壁が隔てている。この灰色の壁は、シェンユルトの正面に築かれ、視界が遮られる。国境門が閉ざされるとターミナルビルは打ち捨てられ、人のいないゴーストタウンになってしまった。
私たちが出会った数人の高齢者は、「国境の門は、50日前まで開いていた。IDカードをもっているシリア人はここから向こう側へ渡っていたものだ。門の封鎖で商業が成り立たなくなった。若者も仕事を求めて海岸の方へ行ってしまった」と語った。

■警備は最高レベル

国境の村、サルクムとカラテペの国境沿いに敷かれた古い鉄線と新しい防壁との間にある道は、軍人が巡回警備している。幅500メートルの間隔で土が盛られ、砲弾が設置された。壁沿いに新しく置かれた各駐留所へは、戦車や装備品が大量に送り込まれた。アルトゥクル郡のサカラル村とアルパテペ村は、この壁に面している。壁に分かたれた両側では二つの群れが放牧されている。

シリアのカムスル郡向かいに位置するマルディン県ヌサイビン郡へ近づくと、国境にある防壁が二列になっていた。ヌサイビンとカムシュルの国境では、高校生のイレムさんが壁に向かって座り、友達をまっている。「壁はもちろん良いが、親族とも離れ離れになってしまった」と語る。

ジズレとスィロピの間で、シリアとの自然的国境線をひくディジレ川は美しく滔々と流れている。カルフ村のディジレとの関係は、壁が断ち切っている。セラ八ッティン・チョラクさんは、「神に感謝しよう、我々は平和の中にいる。壁が構築されれば、さらに安全だ」と話す。しかし甥のメスト・チョラクさんは、壁の向こう側のディジレ川から、畑に水を引けなくなり困り果てている。「壁ができる前は、ディジレ川から水をひいて畑に水をやっていた。今は禁止され、許可が下りない。大土地を所有する者は自由にできるが、私たちは電動の井戸から水をひいている」と述べる。

■旗のレース

シリアのテルアブヤドに隣接するアクチャカレでは、ちょうど二年前にISISから逃れた何万人ものシリア人たちが入国した国境門が閉じられた。少し前に完成した壁には、テルアブヤドのサイロに面して、70トンほどもある巨大な門がつくられた。テルアブヤドではためくYGPとアメリカの国旗に、バルコニーで旗竿と巨大なトルコ国旗が返事をしている。

■景色がなくなった

コバーニー国境にあるアシャウ・ケンディルジ村のイブラヒム・ポラトさんはこう語る。「壁は一か月前完成し、私の見ていた景色がなくなった。コバーニーにいる姉の土地は、壁の向こう側になってしまった。もう仕事の合間に姉の姿を見ることもできない。姉が死んでも会えないだろう。」

■世界初

TOKİ(集合住宅局)が2016年に入札手続きをして建設を始めた911キロメートルにわたるシリアとの国境防壁と道路が7月に完成すれば、万里の長城やイスラエルの壁に続いて、世界で3番目に長い防壁になる。重さは7トン、高さ3m、幅2m、厚さ30cmを誇り、弾丸を通さないほど頑丈な壁で、建設費用の総額は7億7千万TL(約245億円)に上る。

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( 翻訳者:庄原茉美 )
( 記事ID:42811 )