Taha Akyol コラム:中東の問題、さらに深刻に
2017年06月30日付 Hurriyet 紙


シリアやイラクの問題は中東の結びつきにおいてさらに大きくなっているように見える。
なぜなら、アメリカとロシアが関与を増しているように、バルザーニーの独立宣言とカタール・サウジ危機によって地域の緊張が完全に高まることは、我々の前の困難が増大することを示しているからだ。
この問題は、トルコから見れば第1級のテロ問題である。ISのテロと、トルコから見れば国の全体性と主権の危機であるPKK/PYDのテロ…。シリアやイラクの問題は、PKK/PYDのテロの根源である。

■PKKの地中海への道!

右の地図は、北イラクの最も戦略的に重要な地域を示している。
地図の緑色の地域は、トルコのユーフラテスの盾作戦によって安全な状態となった場所だ。このようにしてPKK/PYDの支配下にある黄色のマンビジュとアフリーンがつながることを妨げ、地中海へ到達するPKKの計画を阻止した。
しかしアメリカとロシアはPYDを支持している。ロシアはPKKをテロ組織のリストに載せないよう抵抗している。
アメリカに重火器を供与されたことによって勇気づけられ強化されたPYDは、アル・バーブの南を動き回りながらマンビジュ・アフリーンを繋いだ(黄色の破線矢印)。
アサドもトルコに敵対しているため、支配下のピンクの地域の使用許可をPYDに与えた。
シリアのバランスにおいてトルコが「単独で」残されたことを示しているのだ、これは。

■軍事力

アメリカが6月2日に開始させたラッカ作戦にトルコが参加していたら、この安全地帯はアル・バーブからラッカまで伸びていただろう…。
だがそうはならなかった。アメリカはラッカ作戦をPYDとともに行ったのだ!それゆえ、PYDに重火器を提供しているのだ。
ジム・マティス米国防長官がトルコに保証の書状を書いたとしても、現場における状況は常に紙の上の文章よりも重要である。
さらに、PYDはテロ組織である。書状や協定、合意、何を書くというのか!
PYDは、ラッカ作戦を自分たちの勢力範囲を広げるために利用する。
トルコは何が出来るだろうか?
我が国の当局者たちが言っているように「交戦規則を適用する」。
つまり、PYDの行動への報復を行う。PYDの迷惑行為である攻撃に対して砲撃を行っている。
忘れないでほしいのは、我々が何度も「マンビジュを掃討する」と言ったにも関わらず、ロシアとアメリカの軍がマンビジュに姿を現し、予め仕組まれた通り支配権をPYDの代わりにアサドに移したため、これを我々が行うことは不可能になったことだ。

■政治的合理性

PKKが北シリアに8,000人の戦闘員を送ったと、イェニ・シャファク紙で読んだ。数はおよそのものかもしれないが、PKKが北シリアに戦闘員を増強したことはもっともらしいことである。
トルコでの活動を減らした理由の1つはメフメッチキ(トルコ兵)の作戦が成功し戦闘員を失ったことではあるものの、もう1つの理由は北シリアに専念したことだろう。
軍事力は非常に重要である。しかし、最終的な要素は政治的なものだ。「マンビジュ」の例でもこのことを見た。
特にヨーロッパ、民間ではドイツとサウジ・エジプトの断絶によって生じた諸問題が増加すると、政治要素はより困難なものとなる。

バルザーニーの独立宣言とカタール危機によって加熱している状況で、トルコがレスリング選手のようにではなく、ビリヤード選手やチェスプレイヤーのように非常に注意深く、巧妙に、計算された外交を進展させる必要がある。
ビナリ・ユルドゥルム首相の、「敵を減らすことは友を増やすことだ」という言葉は本当に正しかった。私もヒロイズムから合理主義に転向する希望をもって支持していた。
トルコには、ローザンヌで作り上げられた国土と主権のバランスと国の安全を守る以上に重要な訴訟はない。別の問題で「敵を勝ち取る」ことを避け、この不可欠な訴訟において政治的に力を持つために、「味方を勝ち取る」ことに焦点をあてた外交を、我々はパンや水同様に必要としている。このための道は政治的合理主義であり、敬意を払うことであり、全ての国と共通の利益を進めることである。

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( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:42908 )