ザッラーブ裁判の矛盾する諸問題
2017年11月22日付 Hurriyet 紙

アンカラでは11月27日の(米国での)レザ・ザッラーブの裁判に向け緊張が高まっていたが、裁判所はレザ・ザッラーブの裁判を12月4日に延期した。理由は、審判団が構成されていなかったことである。これはよく起こる状況ではない、実際に裁判も通常の法的裁判とははるかに異なっている。

中央銀行のあらゆる努力に関わらず、延期決定により、アメリカドルの価値は少し下がった。これは一部の人によれば、両替不当利得者の仕業だそうだが、我々が考察するべきは、より政治的側面であり、経済にも影響しうるその諸結果である。

タイイプ・エルドアン大統領の怒りが増したことは、昨日、公正発展党(AKP)グループでのスピーチから理解できた。ザッラーブ裁判はトルコに対する陰謀である、という。自身とAKP政府を2013年12月17日ー25日に、さらには、昨年の7月15日(のクーデター)で失脚させられなかった人々は、この陰謀を企ている、のだそうだ。

エルドアンがここまで怒ると、ケマル・クルチダルオール党首も共和人民党(CHP)グループでこの件に触れ、エルドアンを「犯罪パートナー(共犯)」と非難し、イランでさえも、ザッラーブ裁判にここまで関心を寄せていないと述べた。

ザッラーブは「2013年12月17日―25日事件」の捜査の一環で拘束され釈放されてから、裁判も他のものと一括され、訴追を免れた。しかし、なんと、その後、2016年3月21日にフロリダでアメリカの警察によって拘束され、イランへの禁輸制裁措置を破った罪で起訴された。2017年3月28日には、国民銀行(ハルクバンク)のハカン・アッティラ副頭取が、公式の訪問時に拘束された。彼らは共に裁判にかけられている。

この件は、最近ではトップレベルの折衝では、ビナリ・ユルドゥルム首相がアメリカのマイク・ペンス副大統領と11月9日の会合した際に議題に上がった。ユルドゥルム首相は、 「証拠は無効だ」と述べたが、一方で禁輸制裁措置違反への対応が、トルコに害を与えることを心配しているのを記者たちにほのめかした。

エルドアンとAKPには二つのレベルの心配事がある。一つはザッラーブが起訴状の罪を認め罪の軽減のために交渉に入ること。二つ目はこのことを遥かに越えて罪の軽減のために起訴状をも超える新たな罪を認め、関係者の名前、つながりを口に出すことである。

この段階で裁判の流れをより良く理解するために、あまり聞かれないいくつかの質問を並べてみるのもいいだろう。

ザッラーブ(主張によると賄賂を渡しことを簡単に運ぶために)トルコ国籍に移り、ルザ・サッラフの名を取得する前は、イラン国民であった。マフムード・アフマディーネジャード元大統領の時代に、アメリカの禁輸措置を破り、金の洗浄を担うグループのメンバーであった。そのグループの長バーバク・ザンジャーニーは、ハサン・ロハーニ大統領の時代に公金とみられる25億ドルの口座を渡さなかったため死刑が言い渡され、刑務所で残りの日々を数えている。今はその日々がトルコがクーデター未遂に向かっているということがわかっているが、当時すでにイランの秘密機関(VEVAK)からもフェトフッラー派からも身を護ることができないという心配に陥ったザッラーブは、秘密裡にFBIと接触を図り、フロリダで拘束される映像を晒してアメリカに身柄を引き渡した可能性はあるのか?国家諜報機構(MIT)はこの件について調査をしたか?

ーエルドアンとAKPは、アメリカがザッラーブからトルコとのつながりについてあらたな自白を導きだすのか、おそらく複数の証言を引き出すのかに注意を注いでいる。しかしドナルド・トランプ政権下のアメリカがイランを問題にした際に、イランからいかなる新たな繋がりや人物名が出てくるかは注目すらしていない。しかし、バラク・オバマ前大統領がイランのローハニ大統領とサインをした核協定もトランプ現大統領側から標的とされている状況である。ザッラーブがイランとのつながりを罪の軽減のために取引材料としたということは十分に考慮しているのか?ザッラーブの一部の親戚が罪の軽減のためアメリカに情報を提供する用意ができているという情報が裏でささやかれる中、トルコはまたこれを基に悪い状況に陥るか?トルコ政府はこの件に関して手を打っているのか?

ー裁判の問題はイランに対する国連の禁輸措置ではない、アメリカの禁輸措置である。そのためトルコの法からすると直接的に罪は犯していないのである。つまり、ザッラーブは「容疑者」から「証人」になった際に、裁判ではたった一人の容疑者として残ったとしても、ハカン・アッティラ副頭取がザッラーブに反証してザッラーブがアメリカ禁輸措置を破った罪が宙に浮く可能性もある。しかし、この状況ではザッラーブは罪を受け入れたことになる。というのも、トルコで行ったといわれる「賄賂」、「マネーロンダリング」、 「文書偽造」などの罪の対応者、もしくはいれば犯罪の共犯に関する罪状をもって捜査を始めることが議題となりうるからである。政府はこの件に関して準備はできているか?

ー政府の他の心配事と言えば、アメリカの諸銀行がハルクバンクをはじめ一部のトルコの銀行に対して行動に移ることである。何日間もメフメト・シムシェキ副首相から銀行規制と監督機関に至までの責任者が、「ハルクバンクへの制裁はない」と発言する度に、実はこの主張を煽っていることになる。しかし発表を行わなくても、実際には噂の域を出て増殖し始めた。イランが昨日ハルクバンクと一切問題がないとの発表は、行く末を修正したのか、台無しになったのかは、明白ではない。特に、この政府から政府にお金がなくなること、関連する会社に制裁があることを想定して、対処することも難しいのか?政府はこのような状況が経済にもたらすショックと負担に準備はできているか?

また、梱包針を自分たちに刺すような質問:2013年17日-25日事件の後、この諸裁判を「陰謀」論で退け、覆い隠す代わりに、以前の問題が閉じられた後に主張をゼロから、真摯に捜査する法的プロセスが始っていれば、今日アメリカの法廷で自分らの問題を論じる状況に陥っていなければ、良くなかったか?

しかし、すでにことは起こるべくして起こった。今、怒りでもって行動し損害を被る代わりに、先を考えて、この状況から国を最小のダメージで救い、また腐敗と戦い、また透明なデモクラシーへ向かう途上で教訓を導きだす術を身につける時である。

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( 翻訳者:内山千尋 )
( 記事ID:43799 )