【社説】パレスチナ:パレスチナ人をサウジ・イラン間の対立の中に投げ入れる
2017年11月19日付 その他紙


■パレスチナ:パレスチナ人をサウジ・イラン間の対立の中に投げ込む

【アル=アラビー・アル=ジャディード紙:フッサーム・カナファーニー】

アラブ諸国、中東地域、国際社会がレバノンのサアド・アル=ハリーリー首相をめぐる問題、および同首相の辞任と彼がリヤドにいる話に注意を惹きつけられる中、同時期にパレスチナのマフムード・アッバース大統領がリヤドを訪問し、ムハンマド・ビンサルマーン皇太子と会談を行ったことは、メディアの目に留まることなく何事もなかったかのようにさっと過ぎ去っていった。この訪問が事前に計画されたものではなく、サウジアラビアの当局者らがアブー・マーズィン(注:アッバース大統領のこと)を呼び出したと思われた直後、急遽行われたことなど、本来調べるべきこの訪問の背景に対し、メディアは関心を払わなかった。

会談に関してこれまでに出てきた情報によると、会談では米国のドナルド・トランプ大統領が来月発表するとしている文書が話し合われた。そしてこの文書は、パレスチナ-イスラエル間の紛争解決のための新たな案を策定することを目的としたものであると言われている。この案に関して詳細ははっきりと明かされていないが、その政治的な目的が地域におけるイランの影響力の拡大に立ち向かうことにあることは明らかだ。そしてサウジの当局者たちやトランプ大統領は、この目的に完全に同意している。サウジ政府がイランを排除すべき敵のリストの筆頭に位置付けていることは、よく知られた事実である。この目的のため、サウジはイスラエルと直接連携をとるためのルートを開設する用意を行っており、このことは目的の達成のためであると同時に、後見人である米国の機嫌取りのためでもある。イエメンにはじまり現在はレバノンにまで及んだ地域におけるサウジの行動すべてについて、米国はこれらをかばうようにして振る舞い、ムハンマド皇太子が実施する国内の措置についてもこれを賞賛している。

サウジとイランの敵対関係は周知のとおりであるが、今日我々が新たに目にしているのは、まさにイエメンで起きたこと、そして現在レバノンで起きていることと同様に、パレスチナ人をこの対立の中に投げ込もうとする試みである。アブー・マーズィンのサウジ訪問もこの目的のために行われた出来事である一方、訪問の中で何があったのか、そしてサウジがイランとの対立の中でパレスチナをどのように利用しようとしているのかは依然不明である。ともあれその第一歩は、アッバースを説得または圧力をかけることで、この目的に資すると目されているトランプ大統領の提示する案を受け入れさせることにある。

トランプ「文書」を受け入れるようアブー・マーズィンに圧力がかけられていると考えることで、トランプ大統領がその矢筒に何を仕込んでいるのか、おおよそ見当がつく。アッバース大統領は紛争解決と和平交渉を提唱する主要人物の一人であり、ここ数年は(パレスチナの)最終的な地位とパレスチナ国家の宣言について協議すべく、イスラエルを交渉のテーブルに着かせるために相次いで譲歩を行っている。国家の宣言はアッバースが一方的に追い求めたものであり、これらの試みは成功しなかった。またよく知られているように、アブー・マーズィンは自身の代で国家の宣言という目的がまず達成され、パレスチナ国の名が刻まれればそれ以上は望まないという姿勢をとっている。そして、この最低ラインを大きく下回ることがなければ、和平交渉を受け入れるようアッバースを促すのにさほど圧力をかける必要はない。しかし、この問題におけるサウジの動きからは、アッバースの示す要求の最低ラインを下回る結果となることが推測される。すなわち、サウジがアラブ和平イニシアティブの再策定に動く、あるいはこのイニシアティブを埋もれさせ、トランプとの同盟関係から生まれる新たな案とともに再出発する可能性もある。

パレスチナ問題に関するサウジと米国の動きに関して、今後更に情報が出てくるだろう。そしてその動きは、まず間違いなくパレスチナ問題(の解決)に資するものではなく、サウジとイランの対立を画策し、パレスチナ人を当事者としてこの中に投げ込むためのものとなるだろう。

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(翻訳者:北本芳明)
(記事ID:43805)