パレスチナ:アラブとイスラームの怒り、抗議デモ…国際社会は「宗教的過激化」に警告を発する
2017年12月09日付 al-Hayat紙
意識を失ったパレスチナ人女性を移動させるデモ参加者達、エルサレムのダマスカス門にて(AFP通信提供)
意識を失ったパレスチナ人女性を移動させるデモ参加者達、エルサレムのダマスカス門にて(AFP通信提供)

■パレスチナ:アラブとイスラームの怒り、抗議デモ…国際社会は「宗教的過激化」に警告を発する

【ワシントン、ロンドン、ラーマッラー、ガザ、カイロ:本紙】

国連は昨日(8日)、ドナルド・トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都として一方的に承認する宣言を行ったことを受けて安保理緊急会合を開き、「暴力が激化する危険に対する深刻な懸念」を表明した。アラブ世界およびイスラーム世界において怒りが高まり、欧州のパートナー国が異議を唱える中、米政府はトランプ氏の決定がもたらす影響の緩和に努め、この決定はエルサレムの「最終的な地位に言及するものではない」と弁明した。

国連のニコライ・ムラデノフ中東和平プロセス特別調整官は、緊急会合においてエルサレムからビデオ中継でスピーチを行い、「今月(12月)6~9日」を「怒りの3日間」とする宣言がなされたと述べた。ムラデノフ氏は「宗教的に過激化」する危険について警告を発するとともに、世界の首脳らに対して中東地域に平穏を取り戻すべく「賢明に振る舞う」よう求めた。

ムラデノフ氏は、エルサレムは「最も複雑な」最終的地位問題の一つであり、これに関する一方的な決定はいかなるものであれ「和平の取組を損ない、地域全体レベルで影響を及ぼしかねない」と述べた。同氏はまた、トランプ氏の宣言は「境界線の画定は、聖地の現状を維持しつつ、両者(イスラエルとパレスチナ)の交渉に基づいてなされる」ことに言及していたと述べた。

ムラデノフ氏は、国連安保理および国連総会の決定が紛争解決の「土台・原則を定める唯一のもの」であり、「これに代わる解決策は存在しない」と述べた。同氏はイスラエルとパレスチナの双方、および国際社会に対し、既存の土台に立脚した「和平に資する環境の醸成」を求めた。

米国のニッキー・ヘイリー国連大使は、「米国はエルサレムの境界線に関して何の立場も示しておらず、聖地に関わる取り決めに対するいかなる変更も支持しない」と述べた。ヘイリー氏は、米国は「和平プロセスの支持にコミットしており、イスラエル人とパレスチナ人からも信頼を得ている」と述べ、米国は「説教や講釈」は受け付けないと指摘した。

レックス・ティラーソン米国務長官はトランプ氏の決定がもたらす影響の緩和を図り、「大使館の移転は今年も来年も恐らくないだろう」と述べた。ティラーソン国務長官は、ジャン=イヴ・ル・ドリアン仏外相との会談後、この件に関してトランプ大統領より出された決定はエルサレムの最終的地位に言及したものではないと述べた。トランプ大統領は昨日、ビル・クリントンやジョージ・ブッシュ、バラク・オバマら歴代大統領を批判し、「私は選挙公約を実施した。しかし他の大統領は」自分たちが公約に掲げたことを「実施しなかった」とのつぶやきをツイッター上に投稿した。

ル・ドリアン仏外相はティラーソン国務長官との会談前に、パレスチナでインティファーダが勃発する「危険」について警告を発し、冷静になるよう呼びかけた。

英国のマシュー・ライクロフト国連大使は、米国に対して「イスラエル・パレスチナ間の紛争解決に関する詳細な案を提示」するよう強く促した。

ロシアのワシーリー・ネベンジャ国連大使は、イスラエルとパレスチナの双方に対して「ロシアで首脳会談」を開くよう呼びかけ、ロシアには「その用意がある」ことを指摘した。ネベンジャ氏は、ロシアは「米国が具体的な提案を行い、また大使館のエルサレム移転理由を説明してくれることをずっと」待っていたが、まだそれに対するレスポンスがないと述べた。

ネベンジャ氏は、ロシア政府が安保理決議に則した和平プロセスの土台に立脚し続け、西エルサレムはイスラエルの、東エルサレムはパレスチナの首都であるという認識を維持し続けることを確認した。

パレスチナのリヤード・マンスール国連大使は、「国連決議および国際社会の総意に基づき、エルサレムと神殿の丘の歴史的地位を十分に尊重する」ことを要求し、安保理に対して「エルサレムへの侵害行為に対し、関連諸決議を維持すべく至急行動する」よう促した。マンスール氏はトランプ氏の決定について、「関連する安保理決議および国際社会の長期にわたるコンセンサスに反するとともに、現状を揺るがし深刻な影響を及ぼす脅威となる」と述べた。同氏はまた、米国の決定は「イスラエル人がパレスチナ人に対する犯罪行為を黙認し、免責してきたことに対する報酬」であると述べ、この決定は「和平プロセスの後見役としての米国の主要な役割を損ね、その資格を失わせる」ものであると述べた。

マンスール氏は米政府に対してこの決定を見直し撤回するよう呼びかけ、エルサレムに関する安保理の諸決議は「エルサレムの地位及び特性に変化を加えるためにイスラエルがとるあらゆる措置には一切の法的妥当性が認められず、第4ジュネーブ条約の重大な違反であるとともに、これらの措置は無効となり即座に中止すべきものとみなされる、と明確に規定している」ことを強調した。同氏は、アメリカの決定がエルサレムを含む被占領パレスチナ地域の「現状を変えることはできない」と述べ、「いかなる政策・決定も、国際的に認められたパレスチナ人の権利を奪うことはできない」と述べた。

イスラエルのザイーフ・エルキン・エルサレム担当大臣は昨日、トランプ氏の決定は「最終的にエルサレムの一部にパレスチナの主権が及ぶ余地があること、すなわちエルサレムの分割と思しき選択肢を示唆する形でなされた」ことを認めたが、イスラエルはこれに反対するだろうとの見解を示した。

安保理は昨日、この問題を協議すべく、8か国からの開催要請を受け緊急会合を実施した。アラブ世界およびイスラーム世界では怒りが広がり、米政府の欧州パートナー国からは(トランプの決定に対して)総じて非難の声が上がった。予想される会合の結果について質問されたある外交官は、この紛争において米政府が孤立する結果となるだろうと述べた。他方、別のある外交官は(会合から得られうる結果について)「何もない」とコメントした。

フェデリカ・モゲリーニ欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表は昨日、ヨルダンのアイマン・サファディー外務・移民大臣とブリュッセルで会談を行った際、(トランプ大統領の決定がもたらす)「恐るべき影響・結果」についてEUとヨルダンの見解は「一致している」と明らかにした。

アラブ世界およびイスラーム世界では、米国の決定に対する暴力と怒りの波が高まりを見せた。被占領パレスチナ地域の様々な街・村・難民キャンプでは昨日、衝突の発生や民衆のデモ行進が広い範囲で見られ、トランプの決定に対する抗議がなされた。その際、ガザで殉教者が1名発生し、何百人もの負傷者が発生した。パレスチナ赤新月社は昨日夜、西岸、エルサレム、ガザ地区で767人の負傷者に対応したと述べた。また、複数のアラブ諸国およびイスラーム諸国、特にヨルダンやチュニジア、イラク、イエメン、イラン、トルコ、インドネシア、マレーシア、パキスタン、アフガニスタン、ソマリアの首都・都市では、金曜礼拝の後に何十万人もの人々がデモ行進を行った。

アズハル大学総長のアフマド・タイイブ師は、今月下旬に実施することを了承していたペンス米副大統領との会見に関して、その正式依頼を「断固として」拒否すると明らかにした。アフマド総長は声明で、「第3次パレスチナ・インティファーダ」を呼びかけた。

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(翻訳者:北本芳明)
(記事ID:43938)