パレスチナ:サウジ・ヨルダン首脳会談、トランプの決定がもたらす影響を議論
2017年12月12日付 al-Hayat 紙
パレスチナ人とイスラエル人の衝突、トゥールカリム県にて(写真提供:AFP)
パレスチナ人とイスラエル人の衝突、トゥールカリム県にて(写真提供:AFP)

■サウジ・ヨルダン首脳会談、トランプの決定がもたらす影響を議論

【アンマン:ムハンマド・ハイル・ラワーシダ;ブリュッセル:ヌールッディーン・ファリーディー;ラーマッラー:ムハンマド・ユーニス;カイロ:本紙】

トランプがエルサレムをイスラエルの首都に承認した決定に対する反応について協議すべく、昨日(11日)アラブ諸国によるハイレベルの会合が速やかに行われた。ヨルダン政府外交筋が昨日伝えたところによると、アブドゥッラー2世ヨルダン国王は二聖都の守護者サルマーン・ビン・アブドゥルアズィーズ・サウジアラビア国王およびムハンマド・ビン・サルマーン皇太子と今日(12日)リヤドで会談を行い、米国大統領の決定後のアラブ地域における最近の動向について協議するとともに、明日(13日)イスタンブールで開催されるイスラーム協力機構(OIC)の首脳会議を目前に両国の立場を調整する。また、カイロでは昨日エジプトのアブドゥルファッターフ・スィースィー大統領とパレスチナのマフムード・アッバース大統領が会談を行い、米国の決定にどう対処するかを議論した。アッバース大統領はその後イスタンブールへ移動し、OIC首脳会議に出席する。

ラーマッラーの情報筋は昨日本紙に対し、パレスチナ・イスラエル紛争および被占領エルサレムに関する米政権の立場に関して、パレスチナ人は防御態勢から攻撃に転じたと話した。同情報筋は、「(和平プロセスの)後見役であった米国が自らを仲介者の立ち位置からはじき出し、」エルサレムをイスラエルの首都と承認することで「完全に占領国家イスラエルの側についた以上、」アッバース大統領は「米国の和平の呼びかけまたは和平案には何ら意義が認められない」との発言を行うだろうと述べた。

アッバース大統領の側近の高官は、「ヨーロッパから中国、ロシア、安保理理事国、そしてサウジアラビアやエジプトをはじめとするアラブ諸国にいたるまで、各国の広範な助力を得ることにより、アッバース大統領は今日トランプの和平案に対してノーを言うことができる」と述べた。

アッバース大統領政治顧問のナビール・シャース氏は、「安保理で行われた議論および各国が立て続けにとった立場は、世界が米国の立場を拒否し、パレスチナの側についてくれたことを示した」と述べた。

実際、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はこの二日間、トランプ大統領の決定に対しヨーロッパではこれを拒否する声が広がっている事実に直面した。欧州連合(EU)のフェデリカ・モゲリーニ外務・安全保障政策上級代表は昨日スピーチを行い、「イスラエルとパレスチナ人の紛争を解決する現実的かつ唯一の方法は、1967年の国境線に基づきエルサレムを互いの首都とした二国家解決案以外ない。これが我々の立場であり、エルサレムの地位をめぐる紛争が交渉により解決されるまで我々は国際社会の合意を尊重し続ける」と述べた。ネタニヤフ首相は昨日モゲリーニ上級代表とバイ会談を行い、その後EU加盟国の外相らとの会議が行われた。

モゲリーニ上級代表は、ネタニヤフ首相を招いて行われたEU外相会議後、「新たな和平イニシアティブは存在しない。同様に、米国の干渉がなく、イスラエル人とパレスチナ人の和平交渉を再開させようとする動きも存在しない」と述べた。同上級代表は、「米国は独力で成功を収めることができるといういかなる幻想も抱くべきではない」と警告し、交渉再開に寄り添い続けるための国際的活地域的な枠組みが必要であると述べた。

モゲリーニ上級代表は、「EUは現状の困難に負けず和平プロセスを復活させるために、エジプトやヨルダンをはじめとする中東地域の当事国およびパートナー国との協力に向けた取組を重ねていく」と述べ、1月28日のEU外相会議にアッバース大統領を招く予定であると指摘した。

AFPによると、ワシントンではマイク・ペンス米副大統領の補佐官を務めるガルウード・アイゲン氏がパレスチナ当局に対し、ペンス副大統領の中東訪問での会談を拒否したことで同地域の和平プロセスについて議論する機会を「放棄」したと非難した。

同補佐官は、ペンス副大統領は今月これから行われる訪問でイスラエル首相およびエジプト大統領と会談することを楽しみにしていると述べた。しかし、同補佐官の発言からするに、トランプ大統領の決定が怒りを買ったパレスチナ当局に関しては、いかなる高官もペンス大統領と会談することはないものと思われる。

さらに、ヨルダンの下院議会は今日、ヨルダンとイスラエル間で結ばれている合意の見直しを開始する予定だ。見直しの対象となる合意の中には、1994年に締結されたワーディ・アラバ合意(注:イスラエル・ヨルダン平和条約のこと)も含まれており、これを撤回または破棄する方向で見直しが行われる。

西岸被占領地の主要な都市では昨日も連続してデモが行われ、トランプの決定に対する抗議が行われた。

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( 翻訳者:北本芳明 )
( 記事ID:43952 )