イラク:中央政府とクルド自治政府の和解は選挙を待ってから開始
2017年12月17日付 al-Hayat紙


■中央政府とクルド自治政府の和解は選挙を待ってから開始

【バグダード:本紙】

政治情勢に詳しい消息筋が本紙に伝えたところによると、イラク中央政府とクルド自治政府は双方とも、両者間の和解につながり得る本格的な交渉を現時点では望んでいない。両政府は、2018年3月に当面実施予定のクルディスタン地域議会選挙及び大統領選挙、そして来年半ばに実施予定のイラク国内総選挙の結果を待ってから、交渉を行いたいと考えている。この総選挙では、イラク中央政府の首相が決定する。

同情報筋は、クルディスタン地域における石油問題や、複数の石油会社との長期契約および同地域が外国関係者から得ている融資の問題の解決は、予想以上に複雑であるため政治決定では解決できないと指摘した。同情報筋は、「クルディスタン地域における石油問題は非常に複雑であり、多国間の合意が必要だ。イラク中央政府単独では解決できない。そしておそらくこうした事情があるからこそ、中央政府とクルド自治政府は双方とも国際社会の介入への依存を強める方向に動いているのだろう」との見解を明らかにした。

クルド自治政府のネチルバン・バールザーニー首相は、ドイツ訪問に向けて準備中である。この訪問で同首相はドイツ政府に対し、自治政府と中央政府間の悪化する関係を仲裁してもらうよう促そうとしている。自治政府外交関係局は昨日(16日)、バールザーニー首相がハイレベル代表団とともにドイツを訪問し、アンゲラ・メルケル独首相およびその他複数の独高官と会談を実施する予定であると述べた。本訪問の目的は、「クルド自治政府とイラク中央政府間の懸案事項の対処枠組み」について協議し、「対話および平和的手段を通じた問題解決を図る自治政府の立場を確認する」ことにあるという。

バールザーニー首相はアルビールから陸路でトルコに移動し、そこで飛行機に搭乗してベルリンへ向かうものと予想される。同首相は今月上旬にパリを訪問した際もこのルートを使用し、訪問先でエマニュエル・マクロン仏大統領と会談を行った。今年(2017年)9月25日にクルディスタン地域独立住民投票が行われた数日後、イラク連邦当局はスレイマーニーヤ空港とアルビール空港を閉鎖した。その結果、同地域を出入りする渡航者はバグダード空港を使用せざるを得なくなった。しかし、イラク中央政府とクルド自治政府の関係が悪化する現在、バールザーニー首相がバグダード空港を利用することはできない。

ある情報筋によると、イラクではなくトルコを経由した移動を選択していること自体、両政府間の関係悪化の度合いを表すとともに、イラク軍と人民動員隊(PMF)がキルクークおよびその他係争地を制圧して以降、両政府の関係悪化が危険な段階に突入したことを指し示している。イラク軍はクルディスタン地域とトルコ・イランの国境検問所へのアクセスも要求しており、国境検問所に向かって前進するにあたりクルドのペシュメルガ部隊と小規模な戦闘を繰り広げている。

クルド自治政府は住民投票実施以降、諸懸案事項について中央政府と交渉する用意があることを強調してきた。また、同自治政府は住民投票の結果を承認しないとする連邦裁判所の決定にも同意しているが、中央政府が求めるとおり住民投票の撤回を公式に発表することは拒否している。一方、中央政府は自治政府との交渉について、これは政治的な性質を帯びるものではなく技巧的なものであり、国境や空港、両者間の係争地に中央政府の主権を及ぼすことを可能にする手段、および石油生産に焦点を絞ったものであると繰り返し主張している。

同情報筋によると、イラクのハイデル・アバーディー首相は、中央政府がクルディスタン地域の石油歳入を受領すれば、同地域の職員に対して給与を支払うことを約束した。一方、クルディスタン愛国者同盟は昨日、バグダードの中央政府がクルド人を「無視」し、独立住民投票に対する制裁措置の一環としてクルド人の利益を妨げていると非難した。同同盟のメンバーであるナジーバ・ナジーブ(女性)議員は昨日、「クルド人国会議員からの仕事に応じない、またはそれが円滑に進まないようにする指示が、中央政府の上層部から省庁や政府機関に対して下っているように我々は感じている」と述べ、「ほとんどの大臣、次官、行政官、諸機関の長が、特定の問題に関する照会・問い合わせ、または(政府の)決定・法律に対する抗議のために我々が行う連絡に応じない」ことを明らかにした。

ナジーバ議員は、「空港や検問所を封鎖するといった措置は(クルド地域の)市民の利益に影響を与えるものであり、(同地域の)高官に影響を及ぼすものではなかった」と述べ、「イラク中央政府は、首相が以前に宣言した約束に反し、(クルド人)職員の給与支払いに真剣に取り組んでいない。(中央政府の)措置は給料カットや空港の封鎖に留まらず、人々の生活の糧に関わるものとなった」ことを明らかにした。

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(翻訳者:北本芳明)
(記事ID:43979)