パレスチナ:安保理はエルサレム首都宣言撤回決議案を否決、米が拒否権
2017年12月19日付 al-Hayat紙


■14か国の賛成票に対し米が拒否権、アラブ側が提出したエルサレムに関する決議案を否決

【ガザ:ファトヒー・サッバーフ;ニューヨーク:本紙】

ドナルド・トランプ大統領がエルサレムを「イスラエルの首都」と認定し、米国大使館をエルサレムに移転させるとした決定について、アラブ側はこの決定の撤回を求めて安保理決議案を提出したが、これに対し米国は予想されていた通り拒否権を行使した。これにより、同決議案を直接国連総会に付託し、「平和のための結集」決議の下これを可決することで、安保理を含む全国連機関に対する拘束力を同決議案に持たせるという今後の流れが整えられた。

ニッキー・ヘイリー米国連大使は、(今回の)安保理での投票は「侮辱であり、我々はこのことを決して忘れないだろう」と述べ、今回の一連の経緯は「国連がイスラエル・パレスチナ紛争に対処するにあたって有効的な土台である以上に、阻害要因となっていることを示す新たな事例である」との見解を示した。

パレスチナ大統領府は米国の拒否権について、国際社会の「軽視」であると述べた。同大統領府のナビール・アブー・ラディーナ報道官は米国の拒否権行使について、「非難されるべきであり、受け入れられない。国際社会を軽視しており、その安定を脅かすものだ」と述べた。また同報道官は、「米国の今回の措置は悪影響を及ぼすものであり、国際社会に対する挑戦を含んでいる。同様に、安全保障の強化ではなく、混乱や過激思想の増長に資するものである」と述べた。同報道官は、米国は「(今回の件で)孤立を強めた。国際社会は今こそパレスチナの人々を守るべきである」と指摘した。

また、パレスチナのマフムード・アッバース大統領は、昨日(18日)夜ラーマッラーの大統領府で行われたパレスチナ上層部の会議冒頭で、和平プロセスにおける米国の仲介を拒否することを改めて表明した。アッバース大統領は、トランプ大統領の宣言に対して種々の対抗措置をとること、そして22の国際機関に加盟することを宣言した。同大統領は、「米国は和平プロセスにおける誠実な仲裁者であることを選択しなかった」と述べ、「我々は国連における完全なメンバーシップの獲得を目指して動く。そして、エルサレムに関するトランプ大統領の宣言に対し、法的・政治的・外交的な対抗措置をとっていく」と述べた。

(米国を除く)全安保理メンバー国は昨日、パレスチナの決議案への支持を通じて、トランプ大統領の決定を拒否するという直截的なメッセージを米政府に対して発した。パレスチナの提示した決議案は、「エルサレムの特性、状況、人口構成の変更を目的とした決定や措置は法的効力を有さず、無効であり、撤回されなければならない」ことを確認している。しかし、米国の拒否権行使によりこの決議案は否決された。これについてヘイリー米国連大使は、「(米国の立場は)米国の主権に基づく決定から生じるものである」と説明し、米国は「自国の大使館をどこに設置するかについて、どの国からの指図も受けつけない」と述べた。

15の安保理メンバー国のうち14か国が決議案に賛成票を投じ、米国の代表のみが孤立した。(米国を除く)すべての安保理メンバー国はその発言において、和平プロセスは安保理の関連諸決議に立脚することを繰り返し確認した。これらの決議は、イスラエルがエルサレムにおいて主権を有していないことを確認している。

ヘイリー米国連大使は投票が行われた会合に先立って声明を発表し、その中でエルサレムへの「大使館移転を決定する権利を、米国は主権国家として全面的に有している」と発言した。さらに、同国連大使はイスラエルを示唆しつつ、「国連は中東で最も堅実な民主主義に敵対する場となってしまったことで、その名を汚している」と述べ、国連を非難した。同国連大使は、米国は「ダブル・スタンダードを受け入れることを拒否」し、エルサレムへの「大使館移転を通じて」イスラエルそして「米国国民の意志」に寄り添うと述べた。また、同国連大使は決議2334号について、米国の歴史に付けられた「汚点」であり、「仮に今日この決議について投票が行われれば、私は間違いなく反対票を投じるだろう」と述べた。同決議は(イスラエルの)入植活動を非難するものであり、昨年バラク・オバマ前政権が投票を棄権したことで、安保理で可決された。

一方、仏国連大使は「エルサレムの象徴性、そしてこの土地がイスラエル人とパレスチナ人間の和平のカギになっている以上、エルサレムに関する合意なしに和平に到達することはできない」と述べ、「我々を一世紀分後戻りさせるような第三国の一方的な決定を通じてではなく、国際社会の助力を得ることで両当事者は自分たち自身で合意形成を行う」ことができるとの見解を示した。また同国連大使は、「(今回の)決議案の文言は、これまで可決されたエルサレムに関する関連諸決議を踏襲している。そして今日の決議案は、国際法及び関連する安保理諸決議、イスラエル・パレスチナ紛争の解決において既に合意された諸原則に基づいた、エルサレムに関する国際社会の総意を再び確認するものである」と述べた。同国連大使は、フランスは決議案に賛成票を投じるつもりであり、「これらすべての理由から、決議案支持が我々の基本的立場である」と述べ、「二国家解決案以外この紛争を解決する手立てはないことから、」フランスは「米大統領がこの解決案に基づいて行動するよう促していく」と指摘した。

マシュー・ライクロフト英国連大使は英国の決議案への支持を確認し、その理由について「同決議案は、これまで長期にわたりエルサレムに関して合意されてきた立場に則しており、これまでに可決された安保理関連諸決議とも一致している。我々は、中東における恒久的かつ平和的な解決に資する努力を当事者らが重ねるよう呼びかける」と述べた。また同国連大使は、エルサレムに関する英国の立場は米国のそれとは異なること、および英国政府が「現時点でテルアビブから大使館を移転させることはない」ことを繰り返し強調した。

イスラエルのダニー・ダノン国連大使は今回の会合に先立って声明を発表し、その中で「安保理のメンバー国による投票行動がさらに100回繰り返されたとしても、エルサレムがイスラエルの首都でありそして今後もそうであり続けるという純然たる事実が変わることはないだろう」との見解を示し、「世界中の国が自国の首都を定める権利を有する中、ことイスラエルに関しては、なぜかその権利が非難や不信の対象となる」と述べた。

今回の決議案は、「エルサレムの状況に関する最近の決定に深い遺憾の意」を表明しており、エルサレムについて「関連する国連諸決議に沿って、交渉を通じて解決すべき最終地位に関する問題の一つ」であることを強調している。また、同決議案は「力による土地の収奪は許されず、エルサレムが有する特殊な地位を考慮せねばならない。特に、関連する国連諸決議を考慮しつつ、エルサレム特有の精神的・宗教的・文化的特質を守り、これを維持せねばならない」ことを確認している。

今回の決議案は、「関連する安保理諸決議に従い、エルサレムの特性、状況、人口構成の変化を目的としたいかなる決定・措置も法的効力を有さず無効である」ことを確認している。また、これに関して同決議案は、「1970年に可決された安保理決議478号に照らして、エルサレムに外交使節を設置することを控える」ようすべての国に対して呼びかけており、「エルサレムに関する安保理諸決議に従い、これらの決議に反するいかなる措置・手続も承認しないことを、すべての国に対し要求する」としている。

今回の決議案は、「二国家解決案の実行可能性を脅かす現状の悪い流れに抗う」よう呼びかけるとともに、「関連する国連諸決議およびマドリード会議での諸原則に基づき、国際社会と地域の双方において、公正かつ包括的・恒久的な中東和平を遅滞なく実現させるための努力および支援活動を強化・加速させ、1967年に始まったイスラエルの占領を終わらせる」ことを呼びかけている。また、同決議案はこの諸原則について、「土地と平和の交換原則やアラブ和平イニシアティブ、中東和平カルテット(米・露・EU・国連)が策定したロードマップが含まれる」としている。

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(翻訳者:北本芳明)
(記事ID:43986)