エジプト:ISISが教会襲撃の犯行声明を発表、当局は騒乱回避に備える
2017年12月31日付 al-Hayat 紙


■ダーイシュが教会への襲撃について犯行声明、エジプト政府は「騒乱」回避に備える

【カイロ:ムハンマド・サラーフ】

エジプト検察の捜査によると、(カイロ南郊)ヘルワーンにあるマール・ミナ教会を襲撃したテロリストは、教会を訪れていた人々や同教会の警備隊および周辺の居住建築物に向けて機関銃を発砲し、弾丸150発を発射した。一方、ダーイシュ(注:イスラーム国のアラビア語での略語)が傘下のアアマーク通信を通じて声明を発表し、今回の攻撃の犯行声明を出したことを受け、(エジプト国内に)騒乱を拡散させる陰謀への懸念が強まった。当局は、ダーイシュがエジプト国内のキリスト教徒をしつこく狙い続けたことに対し、警告を発した。

当局は、教会周辺および砂漠の中心部にある修道院に続く山道の治安対策を強化するとして、襲撃事件後の事態の収拾に努めた。

先週金曜日(29日)の夜に事件の犠牲者らが弔われる中、教会が繰り返し襲撃されることに対してキリスト教徒たちは怒りをあらわにし、若者たちは怒りのスローガンを繰り返し叫んだ。一方、カイロ中心部の教会を統括するアンバー・ラファエル総主教(H.G. Anba Raphael Bishop of Central Cairo)は、テロリズムの思想に立ち向かい、「暴力・狂信・テロ・憎悪」を拡散する精神を断罪する必要性を強調した。ラファエル総主教は「問題は武器を手に取る人にあるのではない、そのような行動をとるよう彼らをけしかける人物にある」と述べ、「こうした事案が国家の安全保障(に関わるもの)に分類され、対策がとられないはなぜなのか」と疑問を呈した。同総主教はテロリズムについて、「我々キリスト教徒のみに危害を加えるのではなく、テロはすべてを喰らう」と警告を発した。

アズハル大学総長のアフマド・タイイブ師は、アレクサンドリア教皇および聖マルコ大主教区総主教タワドロス2世に連絡を取った。タイイブ師は、今回の襲撃の実行犯らは「一つの国民の間に分断と騒乱を引き起こすために、流してはならない血を流した」ことを強調し、アレクサンドリア教皇に対して、「我々は我らが同胞である貴方たちとともに手を携え、この国を守り、この国の国民の一体性を維持する」と述べた。

ファトワー監視局(注:エジプトの政府機関「ファトワー委員会Dar al-Ifta al-Misriyyah」が所轄する、タクフィール主義・暴力的過激主義対策の機関)は、「エジプトのキリスト教徒を狙った攻撃は、テロ組織ダーイシュが計算した上で定めた確固たる戦略の一つである。ダーイシュは、宗派間の騒乱を引き起こすことが、国家の解体そしてその支配につながる第一歩になると考えている」と述べ、国民が国家機関とともに団結することが、「エジプトを終わりなき宗派間戦争に陥れようとする悪しきテロリスト勢力に対抗する障壁」になると強調した。

一方、犯罪科学の専門家の第一次報告によると、襲撃の実行犯は機関銃を所持してバイクに乗っており、その後バイクを降りて居住建築物に向けて発砲し続けた。治安機関が犯人を負傷させ拘束することに成功するまで、犯人は150発の弾丸を発砲した。検察が治安当局から受けた調査報告によると、負傷したテロリストは手術を受ける前に、過去に複数の襲撃に関与したことを認めた。

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( 翻訳者:北本芳明 )
( 記事ID:44062 )